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【一人抄読会】非正規皮質-扁桃体経路による逃避のトップダウン制御

公開日 :2023年1月17日
研究機関:Department of Psychology, Tulane University
主体ラボ:Jonathan P Fadok

抄録

Survival requires the selection of appropriate behaviour in response to threats, and dysregulated defensive reactions are associated with psychiatric illnesses such as post-traumatic stress and panic disorder1. Threat-induced behaviours, including freezing and flight, are controlled by neuronal circuits in the central amygdala(CeA)2; however, the source of neuronal excitation of the CeA that contributes to high-intensity defensive responses is unknown. Here we used a combination of neuroanatomical mapping, in vivo calcium imaging, functional manipulations and electrophysiology to characterize a previously unknown projection from the dorsal peduncular (DP) prefrontal cortex to the CeA. DP-to-CeA neurons are glutamatergic and specifically target the medial CeA, the main amygdalar output nucleus mediating conditioned responses to threat. Using a behavioural paradigm that elicits both conditioned freezing and flight, we found that CeA-projecting DP neurons are activated by high-intensity threats in a context-dependent manner. Functional manipulations revealed that the DP-to-CeA pathway is necessary and sufficient for both avoidance behaviour and flight. Furthermore, we found that DP neurons synapse onto neurons within the medial CeA that project to midbrain flight centres. These results elucidate a
non-canonical top-down pathway regulating defensive responses.

生存には脅威に対する適切な行動の選択が必要であり、調節不全の防衛反応は心的外傷後ストレスやパニック障害などの精神疾患と関連している1。凍りつきや逃走など、脅威によって誘発される行動は、中枢扁桃体(CeA
(CeA)2。しかし、高強度の防衛反応に寄与するCeAの神経細胞興奮の原因は不明である。今回われわれは、神経解剖学的マッピング、in vivoカルシウムイメージング、機能的操作、電気生理学を組み合わせることで、これまで知られていなかった背側足趾(DP)前頭前皮質からCeAへの投射の特徴を明らかにした。DPからCeAへのニューロンはグルタミン酸作動性で、脅威に対する条件反応を媒介する主要な扁桃体出力核である内側CeAを特異的に標的としている。条件付凍りつきと逃避の両方を誘発する行動パラダイムを用いて、CeAに投射するDPニューロンが、文脈依存的に高強度の脅威によって活性化されることを見いだした。機能操作により、DPからCeAへの経路が回避行動と飛行の両方に必要かつ十分であることが明らかになった。さらに、DPニューロンは、中脳飛行中枢に投射する内側CeA内のニューロンにシナプスすることがわかった。これらの結果から、防御反応を制御する非正規的なトップダウン経路が明らかになった。

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抄録(Abstract):
脅威に対する適切な行動選択は生存に必要であり、防御反応の調節異常は心的外傷後ストレス障害やパニック障害などの精神疾患と関連している。凍結と逃走行動は中央扁桃体(CeA)の神経回路によって制御されているが、高強度の防御反応に寄与するCeAの神経興奮源は不明である。この研究では、神経解剖学的マッピング、体内カルシウムイメージング、機能操作、電気生理学を組み合わせて、背側延髄(DP)前頭皮質からCeAへの未知の投射を特徴付けた。DPからCeAへのニューロンはグルタミン酸性であり、脅威への条件付け反応を媒介する主要な扁桃体出力核であるCeAの内側に特異的に標的を定めている。条件付け凍結と逃走を引き起こす行動パラダイムを使用し、CeAに投射するDPニューロンが文脈依存的に高強度の脅威によって活性化されることを発見した。機能操作により、DPからCeAへの経路は回避行動と逃走の両方に必要で十分であることが示された。さらに、DPニューロンは中脳逃走中枢に投射するCeA内のニューロンとシナプスを形成している。これらの結果は、防御反応を調節する非典型的な上位下位経路を明らかにしている【8†source】。

背景(Background):
中央扁桃体(CeA)が凍結と逃走行動を制御することは知られているが、CeAの神経興奮源として機能する経路は明らかにされていなかった。この研究では、背側延髄(DP)前頭皮質からCeAへの新たな投射を特定し、それが高強度の防御反応に重要な役割を果たすことを明らかにした。これにより、DPからCeAへの経路が、回避行動や逃走反応を制御する上位下位経路として機能することが示唆された【9†source】。

方法(Methods):
この研究では、体内カルシウムイメージング、化学遺伝学的操作、オプトジェネティクス操作などの技術を用いた。DPからCeAへのニューロンが高強度の脅威に反応して活性化されるかどうかを調べるために、特定の行動パラダイムを使用した。また、この経路が回避行動や逃走反応にどのように影響するかを検証するために、異なる実験モ

デルを使用した【10†source】【11†source】【12†source】【13†source】。

結果(Results):
DPからCeAへのニューロンは、特に高脅威文脈での白色雑音(WN)やショック中に最も活性化された。また、これらのニューロンの活性化は文脈依存的であり、低脅威文脈ではWNによる活性化は減少し、応答はより均等に分布していた。化学遺伝学的操作により、DPからCeAへの経路は回避行動に必要だが、それ自体では十分ではないことが示された。一方で、オプトジェネティクス操作により、この経路は条件付き逃走反応に必要かつ十分であることが示された【10†source】【11†source】【12†source】【13†source】。

議論(Discussions):
この研究は、DPからCeAへの経路が高強度の脅威に対する防御反応、特に逃走行動に重要な役割を果たしていることを示した。これは、精神疾患や恐怖関連の反応における神経基盤の理解に新たな洞察を与える。

限界(Limitations):
この研究は主にマウスを用いた実験に基づいており、その結果が人間に直接適用可能かどうかは不明である。また、使用された技術には特有の制限があり、他の手法を用いて結果を検証することが必要かもしれない。

可能な応用(Possible Applications):
この研究の結果は、恐怖や不安障害の治療に関連する新たな標的を提供する可能性がある。また、脅威に対する行動応答の神経基盤に関する一般的な理解を深めることができる。

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