こうぺい(哺乳類)🙆‍♀️

1987年生まれの哲学愛好家。趣味は忍者探しでござる。思索、読書、オーケストラでの打楽…

こうぺい(哺乳類)🙆‍♀️

1987年生まれの哲学愛好家。趣味は忍者探しでござる。思索、読書、オーケストラでの打楽器演奏などをやりながら、国内で忍者を探す、これが日々のミッションでござる。 哲学的思索の残滓や、書評を感性のおもむくままに書くでごさるよ。

最近の記事

『ドライブ・マイ・カー』どこが面白いのか

 年末休みに、amazon primeで視聴できるようになった映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。  原作は村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」だが、小説のほうは50ページほどの短いお話なのに対して、映画は2時間58分もある・・! 村上作品はむずかしい? 村上春樹の作品は平易な文章で書かれているので読みやすいのだが、物語は難解だといわれる。わかりやすい起承転結がなく「何が言いたいのか分からない」という人も多いだろう。  村上自身は物語のとらえ方について、既存の論理で

    • 映画を早送りで観ちゃダメですかね?

      最近、映画を早送りで見る若者がいて、 ポップス曲のギターソロをスキップして聴く輩がいるらしい。 なんなら、イントロが長すぎるともう聴いてられないっていう輩までいるらしい。 そんな話を聞いて、最初は驚きとともに「そんなの、情緒もリアリティもあったもんじゃない」と憤りを感じたものです。 多くの中高年が「最近の若者は嘆かわしい」という印象を抱いているようです。 それからというもの、この件について、日々あれこれと思考を巡らしていたわけですが、最近は「まあそれもそれでいいんじゃな

      • なぜ憎い人と結婚するのか? 〜芥川賞『おいしいごはんが食べられますように』から考える〜

        高瀬隼子さんの小説『おいしいごはんが食べられますように』が第167回芥川賞を受賞しました。 書店には平積みで置かれていて、私もさっそく手に取り読んでみたら、ふんわりしたタイトルからは想像つかないほど不穏な人間模様を描いた作品で、奥が深く、とても面白かったです。 そこで今日は、この本を自分なりに考察してみようと思います。 解釈は人それぞれだと思いますし自分の解釈が必ず正しいとは思いませんが、ご興味のままに受け取っていただけると幸いです。いつも通りネタバレありますのでご注意くださ

        • 終わることによって始まるものがある。『コントが始まる』を深読みする

          何かの終わりというのは同時に何かの始まりであること― そして始まっている瞬間というのは意外と気づかなかったりするもので、後になって「あぁ、あれが始まりだったんだなぁ」と思うこと、ありますよね。 そんな事をしみじみと感じさせてくれる、 日テレの土曜10時のドラマ『コントが始まる』が非常に面白い!という事で、以下ご紹介。(第1話のネタバレあります) 菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀の3人が演じるお笑いトリオ「マクベス」とそれを取り巻く2人の姉妹の群像劇。小説を原作としないオリジ

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          人生の後悔と世界線。『30年目の待ち合わせ』を深読みする

          今回は、人はなぜ後悔という感情を持つのか?後悔に対してどのように向き合えばいいのか?そんなことを考えてみたいと思います。 先日、早川書房の2021年新刊、フランス作家エリオット・アベカシスの『30年目の待ち合わせ』(訳:齋藤可津子)を読了しました。 いやぁ、これは・・。切なすぎて心が締め付けられるストーリーでした。以下、ネタバレあります。まずは本の公式紹介文を引用。 1980年代末、パリ、カルティエ・ラタン。 アメリとヴァンサンは20歳。 本の趣味が合って、ずっと話してい

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          三浦しをん『エレジーは流れない』を深読みする

           三浦しをんの最新作『エレジーは流れない』を読了。爽快感たっぷりで最高に面白い本でした!  舞台は海と山に囲まれた餅湯町という温泉街。そこで暮らす男子高校生の怜が、自身の複雑な家庭事情や将来の生き方に悩みながらも、自由奔放なクラスメイト達に振り回されるドタバタな暮らしの中、少しずつ友情や愛情の在り方に気づいていく。そんな青春群像劇です。  物語そのものが、青春満載、愛情満載、さらにはおバカな面白さ満載で、読み終わった後もこの世界に浸っていたい、と思える作品です。  登場人

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          朝井リョウ『正欲』を深読みする

          東京、大阪、兵庫、京都に発令されている緊急事態宣言が5月31日まで延長される方針との事です。 昨年に続き、今年もどこにも行けないGWでしたが、最近すごく話題になっている朝井リョウの新刊『正欲』を読了し、面白い本だと思ったので簡単に紹介と感想程度ですが何か書きたいと思いました。 以下、ネタバレあります。 朝井リョウ作家生活10周年に放たれる本作は、朝井リョウ本人も「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と発言するほど、いわば意欲作な

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          現金で支払いする

          セブン&アイホールディングスが7月1日にリリースしたばかりのスマホ決済サービス「セブンペイ」で、早速、不正アクセスによる被害が発生した。 PayPayやLINEペイなどのスマホ決済サービスが出てきて、少しずつキャッシュレスが進んでいる中、「どんどんキャッシュレス推進してほしい、キャッシュレスわっしょい、現金なんて時代遅れ」という人と、「やっぱり現金のほうが安心する」という人、どちらもいると思う。 僕はどちらかと言えばまだ現金派だったりする。でもなんで現金のほうが良いって思

          生命の/宇宙の神秘に触れる

          今、巷で話題の『海獣の子供』という漫画を読んでいる。 「私が好きそう」との事で、G8読書会の先輩がおすすめしてくれた。 そしてこれが、めちゃくちゃ面白い。 海の不思議や生命の神秘、宇宙の神秘をモチーフにした物語で、生物がどこからきて、地球とは何なのか?という事を考えさせられる。世界中の漁師や漁村で集めた実話の証言と思われる“海にまつわる不思議な話”もところどころに挿入されていて非常に興味深い。 漫画や映画によくある「感動」「面白い」といった要素はほぼないが、代わりにもっと壮

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          文系と理系に分ける

          なぜか人は人を文系と理系に分ける。 文系とは社会学、法学、文学、言語学、経済学などの文系学問を専門とする人で、理系は数学、物理学、生物学、医学など理系学問を専門とする人のことである。 「文系っぽいね」「さすが理系」「私は文系脳なので・・・」 なんて会話をよく聞くが、 ところで、文系と理系の違いをちゃんと言えるだろうか? もちろん、よく考えれば誰もが理解できると思う。でも、私はしばしばこんな誤解をよく耳にする。 『理系は数学を使う。』 これは単純な誤りである。なぜなら文系の学問

          雨を好きになる

          本格的に梅雨入りですか。 雨の日は、空間の密度がぎゅっと高くなって 時間の流れもいつもと違う感じがするから好きだ。 特に強すぎず、弱すぎず、しっかり降っている雨がいい。 外界と己との間を遮断する無数の水分子が、 空気中を舞う塵を取り込み地面へ落ちる。 人工物を少しずつ朽ちさせながらも、自然を潤す、そんな雨。 今日の撮り下ろしではないけれど、撮影した写真たちです。

          思考が物質を創る

           形而上世界と物質世界の法則は一致する。そのように私は思う。  例えば人生という形而上の概念は道という物質を用いてその一般法則を語ることができるし、それらの法則は微に入り細に入り一致している。多く先達の踏んだ道は慣らされて歩きやすい。視野を広く持てば行く先の可能性は広がり、足元を見つめれば己自身の在り方を知ることができる。  これらの事象から、形而上世界と物質世界の法則は一致している。そのように君も思うだろう。  では、君に問う、そして自分自身に問う。 それら法則の一致は、

          忍者を捜索する

          生まれは忍者のふるさと滋賀県。 17歳の時に知り合ったブラジル人から、ある時「忍者はどこか」と聞かれた、 それから私の忍者探しは始まりました。 捜索範囲は、 哲学、アート、文学、クラシック音楽、J-POP、人間行動学、言語学。 大学院時代は、アフォーダンスという哲学思想を、人間行動学と認知学に当てはめることで、完全に環境(外界)由来で決定されるような空間認知プロセスの構造化を試み、それを空間デザインの分野に応用するという研究をしていました。 オーケストラでは、ティンパ

          なぜ、どこもかしこも「いいね」ボタン?

           仕事中、会社からのメールで、就業コンディションに関するアンケートが届いた。  アンケートはたったの3問。画面はこんな感じ。 「Q1.仕事に対する満足度はいかがですか?」 「Q2.あなたの職場の人間関係は良好ですか?」 「Q3.最近、よく眠れていますか?」 それぞれの問いに対して、快晴マークから大雨マークで回答するというものだ。  これは、「Geppo(ゲッポウ)」という従業員のコンディション変化発見ツール。リクルートとサイバーエージェントのHRテクノロジーが2017年に

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          仁徳天皇陵が世界遺産に…

          大阪堺市にある日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」を含む「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録か。13日、ユネスコの諮問機関が登録を勧告したとのこと。7月初旬にはユネスコ世界遺産委員会にて正式に決定する見通し。 令和初の世界遺産登録と世間でも騒がれているが、あらためて世界遺産の定義を調べてみたところ、 文化財、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つこと との事。 なるほど、顕著であることと普遍的であることが世界遺産の条件であるようだ。 日本の

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          プラハにて

           音楽とは、瞬間の芸術だなあ。  二度とない時間に、その時にしか響かない音があり、空気がある。  チェコの首都・プラハを流れるブルタヴァ川にかかるカレル橋上にて。  サックスとベースで奏でる『Moon River』――  素敵な演奏に出逢いました。  日本では古来より農作や炭鉱の傍らで人々が口ずさんだ歌があると言われる。その中には、曲名もなければ、毎日変化をし続け、特定の形を持たなかった歌もある。いつからともなく歌い始まり、さまざまな人を巻き込み、いつともなく終わる歌。常