強烈な夜明けが僕の目を射る。だが僕は目を反らすことができないでいた。まるで待ち合わせていたかのように夜明けは其処に在ったのだ。
大阪で映画の企画のプレゼンをした帰りの夜行バスからの景色だった。
「打ちひしがれる」とはいつも言葉ばかりで、本当に打ちひしがれたことなどそれまでにあっただろうか?
自分が自分で全力だと思っていたものは本当は全力ではなかったのだと知らされ、ようやく得たチャンスはいざ前にすると掴みようもないほど遠くを泳いでいるのだった。
たった一時間の面談の前と後で重力の感じ方が変わっていた。結果が出るまで希望は捨てないことにしていた。それでも重力は少しずつ少しずつ僕の足を地に沈めようとしているように思えた。
それでもあの時、夜行バスの通路のカーテンが開かれたあの時、朝陽は確かに僕を見ていた。
沈みかけた僕の体とはまるで無関係にその景色は新しい季節と新しい一日を知らせていた。
ああ、なんて無責任な希望だろうか。
それは、昨日沈んだ太陽と同じ太陽だとはとても思えないほど無垢で力強い光を放っていた。
その時僕が純粋に希望を持てたかどうかは覚えていない。ただ、忘れ難い夜明けだった。
それから一年が経ち明日の夜、僕は再び夜行バスに乗り大阪へと行く。
届かなかったチャンスが再び巡って来た。
この一年で幾らか考えも変わったし、成長したところもあれば失ったものもあるだろう。或はまた打ちひしがれるだけなのかもしれない。
ただ、天気は大変良いという。眩い朝陽がきっと見られることだろう。
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