「パクる」か自分らしい生き方を見つけるか?

これからの時代、論理だけでは通用しないといわれています。
大企業は基本的に外部の事象を引っ張ってきて論理で動くことが多いですが、それでは通用しない時代になってきているわけです。

しかしほとんどの日本企業は論理で動いています。それでも事業成長し続けているのはなぜでしょうか?
それは、論理はパクる時には機能するからです。


本来、論理だけでは全ての情報量をカバーできない

どこかでうまくいっている事業や事象をそのままパクる時には論理は機能します。
うまくいっている現象を分解し、自分たちの企業にフィットするように作り変えることですから、論理的に分解し、誰もがわかりやすいようにする必要があるわけです。

しかし、イノベーティブな新しいことを始めようと思ったら論理だけでは全ての情報量をカバーできません。
そのため論理以外の方法で判断していく必要があるのですが、誰かがやっていることをパクるだけなら、見るべき情報量が狭められているため、論理だけでも十分にやっていけるのです。

もちろん、パクることも相当難しいことなのですが、戦後長らく米国企業がやってきたことを手本にしてきた日本企業は、その手のことは熟練と呼べるほど上手くなったのです。

しかし、現代では大きな問題が発生しています。とても長い間私たちの周りにまとわりついて、取り除きたくても決して取り除けない苦しい空気が日本全体を覆っているのです。


パクリ続ければ十分豊かな生活を継続できる

戦後継続して行ってきたように、このままパクリ続けて事業成長だけを行っていけば、生活は豊かで、格差はよりなくなり、幸せになるはずです。それで十分なはずです。
ですが、私たちはそれではこれ以上生きていけないことに気がつき始めているのです。

ようやく気がつき始めたこと。それは、「私たちはより高次元な精神的豊かさを求めている」ということです。

マズローの5段階欲求に当てはめれば、生理的欲求や安全欲求、社会的欲求など低次の欲求は満たされました。もう十分なほど満たされているのです。そのため、現代の人々が求めていることはより高次元な欲求、「自己実現」レベルの欲求を求めているのです。

簡単にいえば、もうパクるのは嫌なのです。パクることに疲れたのです。(人間は)パクっている限りは決して心地よくなれない。自己の実現ではない。そう気が付いたのです。

米国企業が構築したビジネスモデルをそのまま日本に持ってきて利用する。それで事業自体は立ち上がりますし、成長もしますが、私たちは気が付いてしまったのです。
「私はなんのために生きているのだろう?」と。

だからこの20年ほどの間、ずっと日本全土を閉塞感が覆っているのです。

私たちは誰も「自分ならではの生き方」を模索する道を知らないのです。
もうパクることは嫌だと気が付いているのに、日本のほとんどの企業がパクることでしか事業継続できない体質になってしまったのです。


イノベーションとは「自分らしい生き方を見つけること」

パクらないとすればいったい何をすれば良いのか?それがイノベーションを起こすことです。
私個人の定義では、イノベーションとはこの社会における「自分らしい生き方を見つけること」です。

社会にとって新しい価値を自分ならではの視点で見つけ、事業化することです。

私は事業を継続するだけなら、今後もこれまでと同じようなパクリベースのやり方でやれると考えています。
多少、米国企業にシェアは奪われていくでしょうが、彼らがやっていることをパクれば良いですし、彼らのビジネスに乗っかってやればいいだけです。将来安泰です。

また、日本企業の事業継続が危ぶまれていますが、そもそも、大企業が潰れたり、買収されたりすることは今に始まったことではありません。
シャープや東芝が経営危機に陥ったのは、時代背景もさることながら単純に経営陣の怠慢によるものでしょう。

現に依然として堅調に収益をあげている日本企業はごまんとあります。

ただ、もう生き方として受け入れられないのです。

誰かが始めたこと。うまくいっていることをパクるという生き方が、自分の人生をかけてやることだとは思えないのです。
そういう時代になってきているということです。


「自分たちが本当はどう生きたいか?」を語ろう

だからといって、日本の企業で働いている人全員がいきなり会社を辞めて起業する、というのも少し無理がある話でしょう。
それよりも企業の中で多くの人たちが「自分にしかできない何か」を探せる機会をもっと増やすべきでしょう。

意外と、「自分たちが本当はどう生きたいか?」を語り合う機会があるだけでも随分と空気は変わると思います。企業ごとにやれることは無数にあると思います。

最も危険なことは、この時代の流れに企業の経営層が全く気がつかずに、今後もパクリと論理だけで経営していくことです。
そんな企業では優秀かつ意欲の高い人材は出ていってしまうでしょうし、会社全体の士気は下がり続ける一方でしょう。

もう米国企業を追いかけることはやめた方がいいと思います。
彼らがやってくることはきっちりと押さえた上で、より新しい価値を、自分たちにしかできない方法で実現していかなければならないし、そこにこそ人間としての欲求を叶える術があると考えています。

新しい組織、新しい事業、新しい時代は、20年以上閉塞感を抱えてきた私たちだからこそ創り出せる。

そう信じています。

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鳥越 康平

ZEPPELIN

ZEPPELINの出来事、ナレッジ、デザイン、エンジニアリング、組織、事業創造、サービス開発に関わる記事
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