創造的イノベーションは「美意識」で加速する

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
という本が、「なぜクリエイティブなことが経営に生きてくるのか?」という問いに対して、これまで言語化できずにもやもやしていたことを分かりやすく説明してくれています。なぜイノベーションを起こすには分析・論理思考だけでは無理なのか?という疑問に対する答えが見えはじめているのです。

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グローバル企業が幹部を美術学校へ送り込む

本の内容を簡単に説明すると、今世界ではMBAの出願数が減少し、アートスクールや美術大学のエグゼクティブトレーニングにグローバル企業が幹部を送り込んでおり、「美意識」を鍛えようとしている。という話が冒頭に書かれています。

名だたるグローバル企業が創造的イノベーションを加速させるために、美術系の学校へ幹部を送り込んでいるのです。

その理由は、これまで企業は分析的・論理的な情報処理のスキルばかり高めてきてきました、しかし、分析・論理だけだと基本的に誰もが同じ正解へとたどり着きます
誰もが同じ正解へとたどり着くとコモディティー化(同質化、競争激化)が起り、差別化が困難になり、価値の高い商品を提供できなくなっています。

また、現代は不安定・不確実・複雑・曖昧な時代であり、分析・論理手法のように「静的な因果関係モデル」では対応しきれなくなっているといいます。

因子の増加、因子同士の関係が「動的」に変化する現代においては、多くの企業が「分析麻痺」になっていると。

そのため、これらを解決するには、ホールネス(全体性)を直覚的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる打ち手を創出する構想力・創造力が必要である。ということが書いてあります。

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これまでは「安定」を求める時代だった

ここからは上記の「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」についての私なりの解釈です。

これまでの時代は「安定」を求める時代でした。戦後、物がなく社会基盤が構築されていなかった時代には安定をつくることが最も重要でした。

建築物、鉄道、自動車、電化製品など、生活を安全で暮らしやすくするために必要なものをつくることが経営が目指していることであり、会社にとって利益をもたらすことでした。

つまり、この時代に必要だったことは、分析・論理の思考によって誰が描いても同じものになる設計図を描くことが重要だったのです。

「安定」をつくるためにはそこに間違いや不確実性があってはいけません。
誰が描いても同じものになることがとても重要視されてきました。

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これからは、安定を破壊し、どうやって新しい価値を創造するか?が重要

ですが、現代においては、分析・論理の思考プロセスは共有されてしまい、誰もが同じ答えにたどり着くことができるようになりました。
そうすると同質化、競争激化が起こり、差別化の消失が起こっているわけです。新しい価値を生み出すことは難しくなりました。

つまり、「安定」はもう作られてしまいました。これからの時代はむしろ安定を破壊し、どうやって新しい価値を創造するか?という時代になってきています。

ですので、誰が描いても同じになる設計図を描くことではなく、自分だけの「創造物」をつくるようなことが求められているわけです。
分析や論理はそれを肉付けするための手段です。

世界の状況を全体的・瞬間的に捉え、それを頭の中で構築・創造する能力が求められており、これまで分析・論理の思考ばかりを学んできた人にとっては新しい思考の方法です。

そのため、グローバル企業の幹部たちは「美意識」を学ぶためにアートスクールや美術大学へ通うのでしょう。

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「分析・論理思考」だけでは不正に陥る

面白いのは「美意識」には真・善・美が入っているという点です。

分析・論理思考だけでは真・善・美をカバーすることができず、ここ数年日本の大企業でもよく目にする不正に陥ってしまう組織になってしまうといいます。

過度に分析論理の思考に偏ると、経営の目的が「分析・論理の数字を良くすること」になってしまうのではないかと思います。
分析・論理思考だけで経営した際に陥る罠なのでしょう。

しかし、海外のグローバル企業では、美意識を学ぶことによって、同時に真・善・美の意識を学び、経営の舵取りにおいて、分析・論理思考と真・善・美のバランスを取っているのです。

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今後はデザインやアート系の人たちが企業でリーダーシップをとる

これまでは、グローバル企業の社長にはデザインやアート系の人がいませんでした。
安定を求めていた時代においては、分析・論理の思考こそが重要だったため、創造的な思考をするデザインやアート系の人には経営は難しかったのかもしれません。

しかし、今後はまさに個人が創造物をつくるような発想が求められる時代になります。その時代においては、デザインやアート系のような人たちが企業でリーダーシップをとっていくようになるのではないかと思います。

社会で起こっていることのホールネス(全体性)を一瞬で捉えて、新しい価値を構築・創造していくことが現代の経営で求められていることと言えると思います。
分析や論理はそれを補完するための手段になってきているのです。

創造的イノベーションは「美意識」で加速する。というのは非常に興味深い捉え方だと思います。今後さらに分解していき、私なりにまとめていきたいと思います。

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鳥越 康平

組織改革

組織を改革し、イノベーションを起こすための方法をまとめた記事
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