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漫画のネームを描いて思ったこと。

先日、東京ネームタンクが主催する漫画ネーム講座をコルクBooks(漫画投稿SNSサイト)のイベント経由で、有料受講した。

どんな講座か

漫画家向けの講座。漫画のネーム(漫画を描く際、コマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などをざっくり記したもの)を実際に受講者が描くことになる。

商業漫画の考え方をベースに、漫画の構造・ストーリーと演出をどう作り込んでいけば、漫画として成立して、どうやったら読んでもらえるコンテンツにしていけるか、レクチャーを受けながら体験する講座だ。

最初に誤解がないように言っておくと、講座を受ければ必ずデビューができるorヒット作や名作が必ず作れるということではない。

講座内容は、過去世に出た商業漫画をロジカルに分析して、その結果に基づいた客観的な漫画制作アプローチ指標の一つだ。

ざっくり言うと、こう描いたら、もっと伝わりやすくなる、こうすれば、みんなが読みたくなる漫画になるよという単純なものでもない。考えるために必要なアプローチのヒントを得るイメージだ。

ヒントをもらって、実践しても、必ずしも正解が見つかるとは限らないと受講してみて思った。

もらったヒントをきっかけに、過去の漫画作品の分析した傾向と照らし合わせて、客観的にじぶんの描いたネームを考察することになる。

何よりも大切なのは、漫画をアウトプットして、世間のフィードバックをもらって、またアウトプットして、繰り返すこと。量が必要だと思う。1回講座受けて知識としてただあっても、あまり意味がないなぁと思った。

とにかく、得た知識を参考に、じぶんの漫画を日々考察して、アップデートしていくことが大事だと思った。

漫画家ではないじぶんがネームを描いてみて

ぼくは漫画家ではない。

編集者の立場で、実際ほとんど描いたことのない漫画のネームを今回描いてみて、ぼくなりに発見があった。

実際描いてみると、ほんと描けない

教えてもらった講座内容を聞いて、「うんうん、なるほど」と理解したつもりだったけど、描いてる途中で、じぶんが一体何を描いているのか、何を伝えたいのかわからなくなっていた。

最初から教えてもらった講座内容のことば通りに描こうとすると、途端に筆が止まる。何が描きたいかがわかってないことに気づく。踏み込んで考えると、今描いているものが本当に描きたいと思っているものではないと思った。本当に描きたい動機がない。

なぜなら、講座の授業で描くからという理由が動機として先にきているからだ。

8P(ページ)のネームを描くことを、毎日続けるのは、なかなか大変だと正直思った。日々の描き手の感情と思考体験が求められる。

漫画を読むのと描くのとでは、全然思考のアプローチが違う。

描き方は人それぞれ

じぶんでネームを描くと、絵から先に描いてコマ割りをしていく方がやりやすいと思った。なので、じぶんの場合、絵と吹き出しはあっても、セリフが描いてない。

受講者の中には、セリフを先に描いてコマ割りをする方もいて、人それぞれだなと思った。

講師曰く、どちらでもじぶんのやりやすいやり方から入るので問題ないそうだ。

毎日漫画をアウトプットするのは大変、でもやらないと力がつかない

毎日漫画をアウトプットできる方は、本当にすごいと思った。素人から見て、毎日描けるだけでも、たいしたものだと思う。

繰り返しアップデートして描き続けた作品や経験が、誰かの心や人生に強く響けば、ヒット作や名作に繋がっていくのだと思いたい。

ただ漠然と描き続けてもダメなのだと思う。インプットと深い思考の旅が必要なのではないだろうか。一朝一夕では身につかない。また、ロジカル思考も必要な気がしてきた。

編集者として、インプットと深い思考の旅のサポートをするのが役割だと思った。

キャラを考える時の思考について

漫画を描く時、登場人物のキャラを立てるのが大事だという。読者は、キャラに共感し、時に投影し、キャラと一緒に物語を歩んでいくことになるからだ。

そのキャラの主義(価値観、過去、背景にも繋がっていく)を意識すると、生きたキャラクターの人物像がリアルに浮かんでくる。

主義を意識することは、読者にとって、キャラの印象が記憶に残りやすいし、ある程度先の話の流れが予想できて期待しやすくなる。読みはじめとしては、イメージが想像しやすいキャラの方が安心だ。

じぶんでも不思議だなって思ったことがある。実際じぶんでキャラを作る時に、自然と頭に浮かんできたキャラの主義が、じぶんの主義(ぼくの場合、ヒトリ至上主義が現在執着にある)だったことだ。もしかしたら、ある人は別の気になる人を思い浮かべたかもしれない。

今回考えたキャラは2人。2人はぼくとぼくの奥さんに似ているところが多い。一方、気づけばじぶんの憧れや不満などの要素も勝手にキャラのプロフィールに盛り込んでいた。

あらためて、じぶんはこんなところにこだわりがあるんだなと気づく部分があって興味深かった。

ちなみにじぶんで描いたネームこちら。時間内に終わらず、途中までになっている。セリフもないから、なんの話かわからない。たしか約45分ぐらいで描いた。


創作に没頭すると、じぶんでは面白い、伝えたいと思って描いていたことが案外素人から読んだら伝わってないし、何が面白いのかわからない。

そもそもじぶんが何を描きたかったのか、感情として何を伝えたかったのか、描き手自身がわからなくなってることがある。今回のぼくがそう。

描いていてじぶんがわかってないことについて、気づくきっかけとして、この講座はロジカルで役立つと思った。


漫画家に限らず、編集者や創作・自己表現を日々している人にも、おすすめかなと思いました。

宣伝になってしまいますが、もっと詳しく知りたい方は、こちらです。


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