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横殴りの雨の中でも

雲行きが怪しくなって小さな雨粒たちが空から申し訳なさそうに降りてきた今日の夕方に私は二輪車で家路を走っていた雨が降ってくる前に帰れると思ったのだが読み違いで少しずつ身体が濡れていくのが分かる忘れてしまったレインコートに思いを馳せながら滑りやすくなり始めた道路を軽やかにアクセルを握って走っていく途中駅前の商店街に入り込んでいくと何故か足を止めている人々を何人も見かける走りながら横目で見ていくと自分の店の前で持ち帰り用の食べ物や飲み物を売っているそれも1店だけでなく数えるだけでも5店あった雨が降っているのに大丈夫かなと一瞬考えながら瞬きをしてみると傘をさしながら購入する民と笑顔で商品を受け渡す濡れたままの売人先ほどから少しずつ雨が強くなっているのにもかかわらず徒歩で家路に向かう民に夕食と称して佇む小さな露店は得をしているのか損をしているのか分からずただこの時世で自分の生活を従業員のことを考えながらありがとうございましたをしていた数か月前はそんな売り方をしていなかったはずの商店街だったがいつのまにかあたらしいスタンダードいや売り上げアップの一つの作戦なのかもしれないことが始まっていたのだそんなことをかんがえながら私も二輪車を道路の片隅に置いて露店に寄ろうと思ったが雨の強さに負けてしまって気持ちだけそこに置いてアクセルを握って後ろ髪ひかれる思いで商店街の道を通り抜け家路に向かった前の車がずぶ濡れの私が後ろにいるのをバックミラーで確認してニヤッとしながらゆっくりと速度を落とすそして濡れ度が高くなるああ意地悪とはこういうことなのかと思いながらウインカーを出して抜け道に私の心を預けた横殴りの雨は続く私は走る家路は遠く。