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さびしかったのか、あいたかったのか

叶わない恋は決まって昼間か深夜。

会いたいというメッセージを待たなくてはいけない。こちらが会いたくてもそれは頭の片隅に置いて別のことを考えて呼吸をする。

メッセージは昼間が多かったが、深夜にもくることもあった。家族と住んでいた私はこっそりと夜な夜な家を抜け出してあなたに会いに行く。

近道はそのために覚えた。

昼よりも数分早くあなたのもとに着く。待ち合わせはいつもあなたの家の近くのセブンイレブンの前。別れるのもセブンイレブンの前、決して家を教えてくれなかったあなた。煙草を吸う私にいつもひと箱用意して待っていてくれた。そんな優しさに魅かれていった。

あなたが車に乗ってから逢瀬がはじまる。

深夜に一緒にいる時間は私にとって「瞬間」としか思えてならなかった。

それでもあなたに会いたかった。それとも、叶わない恋だからさびしかったのか。今では考えたくもないが、そのときは確かにあなたが「大好き」な私が存在したことは明らか。