雨上がり、晴れ上がり
「ね、雨上がりって大体、晴れているでしょ?」
「曇りの時もあるけど」
「そんなことはどうでもいいの。私、雨が上がる瞬間の、その境目が好きなの」
「どういうこと?」
「晴れでもなく、雨でもない、その瞬間って名前が無いじゃない?」
「あるんじゃない?知られていないだけで」
「もう!分からないかなぁ」
「はいはい」
「でね、雨上がりって言葉の、反対みたいなの、晴れ上がりってあるのかなぁ」
「知らないよ」
「もういい」
「ごめんごめん、晴れ上がりなんて聞いたことないし」
「私が今言ったんだもん」
「その、晴れ上がりってあるかってこと?」
「そう、晴れ上がり。その後の天気って予想できなさそうじゃない?」
「雨か、曇りか、雪?」
「どれかだけど!でもその境目って、雨上がりの境目と比べると長そうじゃない?」
「イメージ的に長そうだね」
「そうそう。だから、その境目は嫌。」
「なんで」
「だって、※〇△✖§■▼◇÷・・・」
人込みに紛れて聞こえなくなった会話。視点が楽しくて、つい聞き耳を立ててしまった・・・。
晴れ上がりか。