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小学校の仮校舎を、なぜ近隣の土地に建てられないの?

小日向台町小学校改築問題での大きな問題点のひとつに、近隣にある財務省跡地(国家公務員小日向住宅跡地)の活用があります。

この財務省跡地に仮校舎を建てることを住民や保護者は要望してきた経緯がありますが、現在、文京区は財務省跡地の仮校舎建設を拒否しています。財務省跡地の活用についての見解は、改築方針を策定し始めた当初と現在では180度異なっています。今回は、その経緯について説明したいと思います。

※小日向台町小学校改築問題の概要はこちら(まずはこの記事をご覧ください)



財務省跡地とは?

財務省跡地は、以前は国家公務員小日向住宅(「官舎」と呼ばれていました)があった土地です。

大きな官舎で、まだ建物があった頃は官舎に住んでいる家族の子どもたちが小日向台町小学校に通っていました。OBや保護者の中には、クラスメイトに官舎に住んでいる子がいた人も多いと思います。

しかし、年々老朽化が目立つようになり…徐々に官舎に住む人は減っていきました。そして、いずれ取り壊されて官舎がなくなることは、少なく見積もって10年以上前からわかっていました。

小日向台町小学校も戦前に建てられた古い校舎で、そう遠くない未来に改築(または改修)が行われることは10年以上前から認識されていました。

小日向台町小学校が改築されるのなら、仮校舎を建てる必要がある。
その土地として、建物が取り壊された後の財務省跡地を活用できないか?

このような流れで、小日向台町小学校の学区内にあり、しかも徒歩数分という近さの財務省跡地に仮校舎を建てる案は、建物解体前から要望が出ていました。区長や区議との話題になることもありました。

つまり、文京区は仮校舎を財務省跡地に建ててほしいという住民や保護者の要望は、建物解体前から把握していたと思います。

しかし、文京区はこの財務省跡地に特別養護老人ホーム(特養)などを用途として、2015 年5月国に要望書を提出しています。

今回の問題が持ち上がって調べたところ、こんなに早く要望書を提出していたことに本当にびっくりしました。土地活用についての説明会が開かれ、パブリックコメントが募集されたのは2022年11月です。この7年以上の間に特養建設の詳細が固められ、決まったところで形だけの「区民の声」を聞いてていたということでしょうか。

という感じで、特養が建設されることになった経緯についても疑問はたくさんあるのですが、それを書くと長くなるので、ここでは仮校舎への活用についてだけまとめます。また追ってnoteにまとめたいと思います。

※詳細な財務省跡地の扱いについては、「たすけ」さんのnoteに詳しく記載されています。

改築検討委員会スタート時での区の見解

財務省跡地は、関東財務局(国)の持ち物です。
文京区が活用案(特養建設)を国に提出し、文京区が仲介するような形で、特養を運営する民間事業者に国が土地を貸し出します。

仮校舎を建てるためには、国が土地を貸した特養事業者から、一部の土地を文京区が転貸してもらうことになります。

しかし、国のルールで、事業者に貸した土地を区に転貸することはできない。
だから、仮校舎を財務省跡地に建てることはできない。

それが文京区の見解でした。

そのため、2021年11月にスタートした改築基本構想検討委員会(改築検討委員会)は、財務省跡地が使えないことを前提とした議論が行われていました。委員会は7回の会議が開催され、その結果「報告書」として方針がまとめられています。

https://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0281/7557/2023510123339.pdf

議事録を見ると、何度も「財務省跡地は使えないのか?」という内容の発言が出席者からありましたが、その度に「国のルールで使えない」と文京区側が回答しています。

町会員の問い合わせにより、転貸可能と判明!

しかし、この前提が180度違うことがわかりました。

2023年11月24日、ひとりの町会員が持ち主である関東財務局に問い合わせたところ、転貸が可能と判明したのです。


そうなると、今までの委員会で議論されてきた方針内容が変わってきます。

しかし、文京区としては、財務省跡地が「法的に使えない」前提で作られた改築整備の方針を取り消す考えはないとのこと。

「使えない」ハンコが押された方針を、なぜ使えることになった現在も、そのまま推し進めようとするのでしょうか?素朴な疑問です。


財務省跡地が使えない理由の根拠は?

転貸可能が判明したことを踏まえ、小日向台町町会は区に方針の再検討を求める要望を提出しました。それに対する区の回答は「すべてできない」でした。

※町会の要望と、それに対する区の回答についての詳細は前回のnoteをご覧ください。

「すべてできない」理由は、いろいろと書かれています。

・特養と仮校舎を一緒に建てるのは面積的に不可能
・国に要望をすでに提出している
・一度決まったものは差し戻せない
・特養の建設が年単位で遅れる
・国から補助金もらって特養建てるので、そのお金がもらえず特養ができなくなるかも

などなど。

しかし、それらの理由の明確な根拠は示されていません。

財務省跡地が法的に「使える」ことを前提にした方針を!

前回も書いたのですが、なぜ「できない」が大前提で、できるように工夫したり考えたりアイデアを出し合ったりしないのでしょう?

これまで議論してきた報告書の方針を、すべて変える必要はないと思います。
しかし、財務省跡地が法的に使える/使えない、という意思決定に関わる大前提がくつがえったならば、そこをポイントにして議論し、再検討してほしいです。

文京区は「方針を取り消す考えはない」とのことですが、取り消す必要はありません。ただ、再検討すべきところを改訂してもらえれば良いのです。

文京区には、「使えない」ハンコが押された改築方針ではなく、「使える」ハンコが押された改築方針を策定することを強く求めます。

※今回の図は、note筆者がわかりやすく伝えるために主観を込めて簡略化したものです。詳細な客観的な内容を知りたい方は、ぜひ改築検討委員会の議事録や改築方針をお読みください。


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