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2019年冬アニメの中で劇伴が印象に残ったものを書いていく。■どろろ■ブギーポップは笑わない■ケムリクサ■バーチャルさんはみている

2019年1~3月の間に放送している、冬アニメの中で劇伴が印象に残ったものを書いていく。

まだ数話時点で書いている。終わるまで書き足していく予定。

ブギーポップは笑わない

音楽:牛尾憲輔
音響監督:はたしょう二
音楽制作:KADOKAWA

「"世界の敵"と戦うために一人の少女の中から浮かび上がってくるブギーポップと名乗る人格と、様々な夢や、希望や、あきらめや、悩みや、いろいろな思いを持っている少年少女達の物語。」

僕はシリーズ通して初見。

海外ドラマのような、いわゆる「アンダースコア」といわれるメロディのない、密度の薄い音楽がついている。

それによって、群像劇の含みのある、陰湿な雰囲気が出ていたり、セリフが聞きやすいなと感じた。

ただ、演出での音楽の使いかたがあまりよくない。

音がついている時間が長く、つけすぎている。また、シーンが変わっても同じような音が続くので、メリハリにかける。

もっとびっくりさせる部分やスピード感を出す部分を挟んだりして緩急がほしい。

音楽の内容の試み自体は、日本っぽい劇伴から逸脱しようという気持ちを感じておもしろい。

ケムリクサ

音楽:高橋哲也
音響監督:阿部信行
音響制作:エスターセブン

「けものフレンズ」のたつき監督が手がけるアニメ。

「赤い霧に包まれた、荒廃した建造物に囲まれた人気の無い世界を舞台に3人の姉妹が生き抜く物語。」

けものフレンズの音楽はフワフワしたつけかただったけれど、ケムリクサはわりと王道スタイルで音楽がついている。

セリフや演出はたつき節、という感じだけど、音楽の使い方が全然違う。

音響や作曲家が変わったことで音のつけかたも違うように感じる。たぶん音響さん主導でほとんど音をつけている。音楽先行で作っているシーンもないっぽい。

たつきさん自体はあまり音楽のつけかたにこだわらない方なのかなと思った。善し悪しではなく。

戦闘シーンにはトラップが使われていて、今っぽい。

約束のネバーランド

音楽:小畑貴裕
音響監督:清水勝則


『色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す...と孤児たちは教えられていた…』

言葉を使わずに、音だけで不穏さを出すなど、演出自体がとてもいい。

「ブギーポップは笑わない」と同じく、パッドだけのような音も多いが、メリハリが効いているので効果的。

盛り上げる部分はきちんと盛り上げ、曲ごとの楽器の使い分け方も効果的で、お手本のような音楽。

音楽は関係ない部分だけど、

「感情を表情に出したらバレるんだけど出してしまう。でもなぜかバレない。」

という場面があって、原作が絵だけで伝える「漫画」でなければそこは変わっていたのかもな、という気がした。

どろろ

音楽:池頼広
音響監督:小泉紀介
音響効果:倉橋静男

手塚治虫原作。

「戦国時代の北陸や能登半島を舞台に、妖怪から自分の身体を取り返す旅をする少年・百鬼丸と、泥棒の子供・どろろ。この2人の妖怪との戦いや、乱世の時代の人々との事件を描く。」

内容、音楽ともに過不足がない。
ベーシックなんだけど、必要以上の音が入っていない。

尺八だけの場面があったり、戦闘はキメがビシっとしていたり、引くときは引く、押すときは押す。詫び寂びのある劇伴。

原作のもっているイメージををきちんと再現することを目標にしているな、という感じ。そうなってくると、未完であるラストが気になる。

バーチャルさんはみている

音楽:高橋良典、高山淳、岡島俊治
音響監督:大山徹也

バーチャルYouTuberたちのオムニバス形式のアニメ。

劇伴にはオーディオストックの音楽(僕のものも含む)も使われている。

オムニバス形式で内容もまちまち、ストーリーも特に繋がっていないということで、書き下ろす必要性がうすいから、という判断のように感じる。

通常のVTuberの投稿動画のように音楽をぶつ切りにしないで、きちんとキメをつなげて終わらせたりしているのがプロの音響の仕事だなと思う。

内容はいつもの投稿動画の延長線上で、動きやレンダリングを凝ったりしていないので、通常のアニメーションよりも低予算で、かついい感じに、みたいな目標も見える気がするが、実際に低予算で作ることができているのかは全然わからない。

内容そのもののおもしろさよりも、「地上波のアニメ」「小林幸子さんや庵野さんが関わった」のようなバーチャルYoutuberの今後の活動の布石になる実績作りのための番組、という感じがする。

なので、内容が普段の動画投稿だったり、バラエティに近くても、「アニメ」という呼び方にしているんだと思う。

1つだけ注文したいのは、Youtubeみたいに字幕がほしい。


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