幸福の自己責任論

色々な統計によると幸福度と最も関連が深いのはルックス、スタイル、学歴、地位、名誉、肩書、収入、資産などよりも自己肯定感であると言われています。要するに幸福な人ほど自分のことが好きで、不幸な人ほど自分のことが嫌いな傾向が強いということですね。何故そうなるかというと人は自分自身を肯定できる分だけ自分以外のことも肯定できるからだと思います。例えば自分を100%肯定できる人は人生の100%を肯定できます。人生の100%を肯定できたらそりゃあ幸せですよね。

ではどうすれば自己肯定感を高めることができるでしょうか。結論から先にいうと自己肯定感とは自分で自分を大切に想う気持ちですから、自分で自分を大切にすることでこれを高めていくことができます。例えば歌って踊っていれば自然と楽しくなってくるように、感情は行動に一致していくものなのです。だから自分を大切にしていれば自然と自分を大切に想えるようになるんですね。

ただし自分で自分を大切にするということは快楽に溺れることではなくて、むしろ後悔のない充実した人生にしていくことだと思います。快楽とは努力が不要なものの後味が悪くなりやすい刹那的な幸福感です。例えばギャンブル、酒、タバコ、ドラッグ、浪費、借金、浮気、過食などです。これに対して充実感とは努力が必要なものの後味が良くなりやすい持続的な幸福感です。例えば助け合い、チームワーク、ボランティア、仕事、自己実現、子育て、家事、節食、運動、歯磨きなどです。要は幸福感を後味の悪い快楽と後味の良い充実感に分けて考え、もしも後悔のない充実した人生にしたければ後味に着目することで快楽よりも充実感を選択していきましょうということです。後悔も充実感も後味ですからね。まぁそうしていくと自分で自分を大切にしたことになるので、行動に感情が一致していき自己肯定感と幸福度が高まっていくという訳です。逆に快楽に溺れるほどに自己肯定感も幸福度も下がっていくので注意が必要ですね。

でも昼寝する犬や猫ってとっても幸せそうですよね。なぜあまり複雑なことを考えてなさそうな動物達は幸福度があんなにも高そうなのでしょうか。実はあらゆる生命にとって自分で自分を大切にすることは最も自然な行動原則なのだろうと考えます。幸せになるために難しいことをする必要なんてないんです。人間は他の動物に比べてとても頭が良いのでついつい考えすぎてしまい、後味の悪い行動を繰り返してしまうのでしょうね。だからもしも後味の悪い毎日になったときや人生で迷子になったときは基本に立ち返り、意識的に自分で自分を大切にすることでそこから抜け出ることができます。逆に言うと、人生で迷子になったときは①「自分で」②「自分を」③「大切にする」のどれかを見失ってる可能性が高いのでそれら3点について詳しくみていきましょう。

①「自分で」を見失っているときは周りに期待ばかりしているときです。期待、つまり相手が自分に何かをしてくれて当然だという思い込みである当たり前のラインや要求水準が上昇するとそのラインより低い結果に対して否定的な気持ちが生まれてしまいます。テストの点数で例えるなら100点が当たり前だと期待すれば99点でも悲しくなる訳ですね。人生もこれと同じで期待や要求水準が高いときほど物事を否定的に評価するようになるし、逆に要求水準がゼロ近くまで下がれば「生きてるだけで丸儲け」という心境になります。だからお坊さん達はたくさん修行して期待を手放していくんですね。それに自分の本当の気持ちなんて自分にしかわからないのですから、人に期待するより自分でやった方がよっぽど早いしずっとずっと的確です。よく言われるように過去と他人は変えられず変えられるのは未来と自分だけですから、人に期待するのは幸せと時間と労力の無駄だと気付きましょう。

②「自分を」を見失っているときは自分のことよりも相手のことを優先する自己犠牲の罠に陥っているときです。自己犠牲を続けていると疲れてきて心のゆとりがなくなるので、かえって周りにきつくあたってしまいます。逆に自分を最優先していると心が満たされていき、満たされた心が願うのは相手の笑顔だけになっていきます。これは幸せそうな人と不幸そうな人とではどちらが周りに優しいかを考えれば一目瞭然ですね。キザな言い方をするなら、人間の本質は愛なので常に自分を最優先していると自分のために相手を大切にするようになります。人を幸せにすること以上に後味の良いことなんてないからです。絞り出す愛は枯渇するけど溢れ出る愛は永遠なんですね。

③「大切にする」を見失っているときは後味の悪い快楽に溺れているときです。快楽は努力が不要なもののその反動で後味が悪くなるため次の充実感への努力すら困難となり、快楽から快楽へという悪循環が生じやすいです。逆に努力が必要なものの後味の良い充実感は毎日少しずつ続けることで習慣化し、努力しているという感覚が減っていきます。そうなると充実感から充実感へという好循環が生まれます。快楽よりも充実感を選択するポイントは後味の良いことを毎日少しずつ続け習慣化していくことですね。

もう1つのポイントは先入観に惑わされないことです。後味が行動後の感情であるのに対して先入観とは行動前の思考です。例えば「どうせ〇〇だ」とか「〇〇すべきだ」とか「〇〇しなければならない」とか「〇〇が正しい」などという思い込みのことですね。先入観って突き詰めれば自分以外の誰かの体験や考察に基づくものですが、みんな現在地も目的地も違うので誰かの近道や答えが自分と一緒とは限らない訳です。それに先入観は楽な方へ楽な方へと行こうとしますが、楽な方向って基本的に快楽ですから先入観に従えば従うほど快楽に溺れやすくなります。何事もやってみなけりゃわからないのですから、やる前に考えるだけ時間の無駄というものです。だったら先入観は極力無視し、とりあえずやってみる。それで後味が良ければ続ければいいし、後味が悪ければやめればいいんです。シンプルイズベストですね。

まとめると、幸福度を高めたければ自己肯定感を上げること。そのためには自分で自分を大切にすること。自分の幸せに責任を持つということですね。人に期待せず「自分で」やること。常に「自分を」最優先すること。先入観よりも後味を、そして快楽よりも充実感を「大切にする」こと。眠い中で歯を磨くかどうかという小さなことから人生の大きな選択まで、とにかく迷ったときは後味の良さそうな方を選ぶこと。ごちゃごちゃ考える前に、とりあえずやってみること。後味に身を委ねること。そうやって進んでいけば後味の良い人生、言い換えれば後悔のない充実した人生になっていくと思います。

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TAKAHASHI HIROKAZU

精神科臨床の場面で思うことや感じることをたまにnoteにまとめようかなと思います。
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