人間が生きる上で

 YouTube shortで流れてきた、麻生太郎の名言に胸打たれるものがあった。

質問「人間が生きる上で大切なものは何か?」
麻生「朝、希望を持って目覚め 昼は懸命に働き 夜は感謝と共に眠る」
 この気持ちだと思います、と締める麻生に、議会からは感嘆の声が漏れる。

 何もせずベッドに横たわってゆうに数時間が経過していたが、この動画に巡り会えたのなら全てチャラになる気がした。
 明日からの俺は違う。麻生太郎のこの台詞を座右の銘に生きるのだ。立派な一人の人間として、胸を張って街を闊歩する自分の姿が浮かんだ。
 
 翌日。

 朝、14:00に目覚め
 昼(夕方)はPS4を起動し
 夜は何もしてない焦燥感と共に眠る

 己の最悪さが浮き彫りになっただけだった。麻生太郎の台詞はただの台詞でしかなかった。俺はあの偉大なる発言を、単なるコンテンツとして消化しただけに過ぎなかった。

 
 とは言えども、今月は割と忙しかった。ライブやお手伝い、ネタ見せ、番組のシミュレーションスタッフなど数えると、17日間稼働していた。その他の日は基本バイトを入れていたので、上記のような堕落した生活はそれ程なかった。

 ただ毎夜、焦燥感が僕を襲う。あれしてないこれしてないと、0:00を過ぎたあたりで気づき始める。
 結果、4:00頃に就寝する事になり、翌日朝からのバイトで死んだ体を引き摺る事になる。もしくはやはり14:00に起きるかだ。

 芸人として売れる売れない以前に、人生で成功を収められる人間は、自然と麻生の言うような事を実践できているのだと思う。日々を懸命に生き、己の限界に挑戦し、悩むより先に行動力で示す。
 この癖を付けないと、どんな職業であれ一流になるのは難しいのではないのだろうか。同世代に差をつけ、先輩方の背中を追い抜くためには、相応の努力とマインドが必須なのは明瞭である。
 限られた、それでも平等な時間の中で、どれ程有意義に過ごすことができるのか?サボろうよと囁く悪魔の誘惑を払って、死ぬまでに登る階段をどこまで駆け上がって行けるのか?感謝と共に眠る日を、どれだけ重ねることができるのか。
 
 そんなことを考えながら、僕はプレステの電源を入れた。

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