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No.3 ノンフィクション小説「ブロークンライフ!!」

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どこの会社もそうだろうが、期末の業務は慌ただしく過ぎていく。既に3月も中盤にさしかかっていた。暖かい日が増え、梅を筆頭に、春の花々達も春の訪れを待ち望んでいるように見えた。

その、花達を見ながら、

(俺も、4月のベトナム渡航が待ち遠しいよ。)

そんな風に思いながら、通り過ぎた。

佐藤支社長から、寺内人事部長に渡航スケジュールを後ろ倒しにするよう依頼してもらった事もあり、ベトナムへの渡航は4月中旬に決まった。

スケジュール的には少し余裕が出たのだが、通常業務をしながら、海外部門とのやり取りも日々増えていき、中々に忙しい。仕事の合間や、休日を利用して、予防接種に行ったり、ビザ申請のために東京にある駐日ベトナム大使館にも行く。

「大した事はしてないんだけど、慣れない事ばかりだから、何かやたら疲れるな。。」

独り言を呟きながら、東京で、渡航の為の諸手続きを終え、駅に向かう道で携帯が鳴った。

「よお!今どこでサボってんの?」

「人聞き悪い事言わないで下さいよ!ちゃんと営業回ってますって!」

電話の相手は、職場の同じチームで、一つ上の期の、本橋先輩だ。関西生まれで、ユーモアがあり、ノリが軽い。3年前に東京の支社から、横浜支社に異動して来てからの付き合いなので、もう3年になる。始めは、

(うわ。この軽いノリ、俺の苦手なタイプだ。。)

と思っていたが、後輩の面倒見も良く、同じ部署の先輩として一緒に仕事をし、飲みにも行く中で徐々に打ち解けてきた。今では、社内で一番仲の良い先輩だ。

「またまた〜。今東京だろ?」

(え、何で知ってるんだろ?)

そんな風に勘繰る僕に構わず、

「噂なんてすぐ広まるから!もう結構知ってる人もいるよ!」

「そうなんですか。」

(何て口の軽い人達だ。。内辞なんて、こんなもんか)

「まあ、それはさておき、今日夜空いてる?ちょっと付き合えよ!」

「大丈夫です!では、また夜に」

そう言うと、「じゃーな!」ブチっと電話は切れた。

(忙しない人だな〜)

クスッと笑って、歩き出した。今日は諸手続き以外に予定も入れていないから、あとは会社に戻って、引継書の作成位だ。

「お疲れ様で〜す」

夕方に会社に戻ると、まだ人はまばらだ。

「田中先輩、ちょっと良いですか?」

振り向くと一つ下の後輩の富永が遠慮がちに声を掛けていた。富永は女性で、本橋先輩含め、よく飲みに行く中だ。

(何だろう?)

「大丈夫だよ!どしたの?」

「ここじゃあれなんで、、応接室で良いですか?」

(他の人に聞かれたくない話。もしかして、、)

予想は当たった。富永に、法務部からオファーが来ていた。

ちなみに、僕に来ていたオファーのうち、海外部門を除く3つは既にお断りの連絡をしていた。

「どうしましょう。私、法務部なんて考えた事なくって、どうしたら良いと思いますか?」

「う〜ん、、そうだな。。富永はどうしたいの?」

「いや、全然検討も付かなくって。。」

「まあ、そうだよね。初めての事だし。これは俺の主観的意見だから、耳半分で聞いて欲しいんだけど、ウチの会社は、富永もよく知っている通り、営業部門が間接部門を見下している風潮がある。最近は薄まってきているけど、まだ根強いよね。法務部門は、新しい部門ではあるけど、間接部門である事に変わりはない。出世という面でも、ポジションが少ないからなかなか難しいと聞くよね。ただ、富永は、どんどん出世して、上の役職でやっていきたい!っていう感じでもないから、あまり関係ないかも知れないけど。それを知った上で、もし法務部門に興味があるのであれば、チャレンジするのは良いと思うよ!」

「そうですか。実は、興味は少しあって。新しい部門っていうのも面白そうだなと。」

「そっか。期日があるだろうから、いつまでも悩めないだろうけど、自分の直感に従うと良いと思うよ!ちなみに、もう知ってるかも知れないけど、俺は、ベトナムに行く事にしたよ」

「あ、おめでとうございます!噂では聞いてたんですけど。良かったですね!」

「うん、ありがとう。もし富永が法務部門に行ったら、お互い新しいチャレンジだね。どっちを選ぶにしても、お互い頑張ろう!」

「はい!ありがとうございました!もう少し考えてみようと思います。」

それから数日後の話だが、富永は法務部門に行くことを決めたとの事だった。相談して来た時とはうって変わって、清々しい表情をしていたので、一安心だ。

「ふう。大体終わったかな〜」

本橋先輩の方をチラッと見る。

(俺ももう少しで出られるから、お前先に出てろよ)

アイコンタクトでそう言っているのが分かったので、帰り支度をして、先に事務所を後にした。

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