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旅15-Ston, Stone,ストーン↑↓

悪天気のアドリア海紀行。つかの間の晴れ間に喜ぶ、ロンドンのよう。
冬季間近であるわけなので仕方のないことであるが、少々残念かな。
スプリットからフェリーでコルチュラ島、そしてコルチュラという町、
ずっと天気が芳しくなく、コルチュラ2日目には石畳が川になった。
コルチュラを出る日の朝に快晴に。そして、ストンに向かう。

コルチュラ発のバスは6:45発。出発を待つ間に白み始めた。
前日とは打って変わって快晴であり、この街の美しさを最後に実感。
そして、バスは近くの港からフェリーに乗り、本土へ向かうのだ。
島の美しさ、アドリア海の美しさはこの、朝の約1時間に凝縮された。
今までのことがなかったかのような青空&青い海。
終わり良ければすべて良し、である。

そして、ストン(Ston)である。ここは塩田で有名な町。
町の背後に山があり、起伏をもった砦が町を囲い、向こうに塩田と港。すばらしい。最高のセットである。観光のために作られたかのようだ。僕は、海より山、な人間である。間違いなく海より山が似合う人間だ。高いところが好きなのだ。僕は、バカでもあるが、ケムリでもある。P.M.Aである。Positive Mental Attitudeである。(PMAを知らない人はケムリ(KEMURI)と一緒に検索しよう!) 高所恐怖症の逆、高所大好症であるのでもちろん砦に登る。すべてのものを独り占めしている感覚。一人であり一人じゃない感覚。

先程今晩の宿をとったマリストンまで石の砦伝いに歩けることを知った。簡単なバーで閉ざされているが、旅行案内所情報なので信頼して行く。簡単な山登り感覚である。ツーリストでここを歩くのは僕だけだった。

眼下に見えるものが、山・海・塩田・町に加え、町を取り囲む砦が増えた。マリストン側に着くと、『マリ』付きだけあって、港が広がっている。マリストンの町の上に聳える砦を見下ろし、降りて行く。

食は名物の生ガキと大量のムール貝。それほど高くない。結婚式が行われていて、アコーディオンの音色が流れる中の食事。

次の日、今度はマリストンからストンまで、石の砦を歩く。逆からの眺め、朝の日差しで昨日とはまた違って見える。……ここまでは良かった。荷物をまとめ、バス停に向かうまでは。。。12:00に来るはずのバスが一向に来ない。上機嫌で少々待つのは楽しい。しかし、30分以上来ない。つまり、この時間のバスがないのだ。つまり、本日日曜日は昼のバスは運休なのだった。昨日、案内所で聞いた情報は彼女たちの勘違い。“日曜日移動”を確認したのに!、である。

ストンはスプリット~ドブロブニクの主要幹線から外れている。だから、次のバスは19時までない。17時には暗いから、待てない。こういう時には、旅行者を迷わす情報が集まるものだ。15:15にバスがある、主要幹線まで2km、そこまで行けば2時間に1本バスがある、5km先に大きなバスターミナルがあり、ドブロブニク行きが頻発…。荷物を持って歩いてみた。汗だくになり、数キロ歩いた。数キロというのは気休めである可能性が高いと感じた。行けばドツボにはまる可能性がある。幹線のバスも減便してるだろう。ヒッチハイクも試した。全く停まってくれない。15時台にもバスはなかった。宿に戻ったが、150kn(2700円)から下がらない。他は200kn以上。ザグレブやスプリットの100knの1.5倍。
何もいいことがない。
一日を、情報氾濫、右往左往、無駄歩き、高額宿泊に使うことに。気分はストーン↓と落ちまくる。怒りが込み上げてくる。いや、マイナス思考は旅の最大の敵である。しかし、人間堕ちやすく這い上がり難し、なのだ。

僕に結果として嘘を教えた皆さん、良心で対応してくれた結果だ。ヒッチハイクの習慣がないのかもしれない。髭面がいけないのかも。小さい町だから逆に宿泊費が高いのかもしれない。もっと念を押してバスの時間を尋ねれば間違わなかった。そもそも、日曜日移動は避けるべき。朝一移動が原則だし。でもね、なかなかポジティブにはなれないのだよ。気持ちの落差が激しいと。

そうしていると民宿(プライベートルーム)のおばさんが呼んでいた。ドイツ語とクロアチア語のみなので何を言っているのか分からないが、残りものらしい肉じゃがみたいなのをくれるという。ザクロも。温めてくれたけど、冷たくない程度。魚の出汁もうっすらと。熱いシャワーがだんだん冷たくなってきて途中で切り上げる。キッチン使えないからインスタントコーヒーも飲めない。椎名誠著作の雑誌批評(悪口)小説を読んで、少し気が晴れた。そして、この文章を書いたら、もう少し気が晴れてきた。

無理やり気分を上げなくてもいいかもね。心身ともに疲れた今日のような日は、ポジティブになることさえやめてただただ他の何かに集中するのがいい。

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