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旅20-『スティーブの居場所』

モンテネグロ。人口62万、福島県と同じ面積。旧ユーゴスラビアというかセルビアから認められた最後の独立国。その首都が、ポドゴリツァだ。歯に何か詰まっているような表現である理由はコソボの記事で書くことにして、今回はポドゴリツァ泊まったホステル、“Steve’s Place”について書こうと思う。

ここはベオグラード以上に何もない。この国の観光地は海沿いなのだ。今日は雨が降り続いたけど、濡れること以外はあまり痛くない。だってさ、見るものがほとんどないんだもの。この古い教会くらい(?)
こういうとき、小説とPCはいいよね。音楽聞いてまったりの一日。

ベオグラードからの鉄道はこの町に18時に着くため一泊する必要があるのだが、『Hostelworld』にも出展がなかった。。。現地のインフォメーションでも安くて€35以上と言われる。

しかし、見つけました、安宿。その名が“Steve’s Place”、€10/泊。民泊、ほぼプライベートルーム。つまり彼の家はこんな感じ。トイレは水が止まりにくいのでタンクを叩いて弁を閉めるべし。バスルームの流しは詰まってるので洗面器に受け、バスに流すべし。キッチンはあるがコンロはオーブンと一体型でなかなか温まらない。しかし、それ以外はOK。ネットもUSBアンテナを貸してくれた。ちなみにこの首都、ネットカフェが1件しかありません(2008年11月現在)。

Steveは51歳のアメリカ人。ここに住んで間もないとのこと。

とても温和な人で、いろいろ教えてくれるし、英語がきれい。一緒に歩いているとストリートチルドレンが気軽に声をかけてくる。彼は彼らに小銭を渡しながら簡単な英語を教えている。数字とか。彼の友人と3人で食事に向った時、後ろから遅くるはずの彼ががなかなか来ない。食事終わっての帰り道も彼はさっきとは違う子供と話し込んでいた。尋ねたところ、子供たちの将来のことを考えての行動らしい。彼は子供がいないらしく(奥さんも?)、その反動でもあるようだ。Steve の意図するように、彼らキッズがもっと学べる日が来てほしい。

ポドゴリツァに泊まりたい人はこの宿の位置、教えますよ。って、僕が着た直後に、『Hostelworld』に載せたらしいけどね。町からすぐなのに分かりにくく、地図があってもきつい。僕の場合は彼の携帯を教えてもらっていたし、結局、彼が駅で待っていてくれたからたどり着けた。電車は1時間も遅れたのに、約束してないのに駅で待ってくれた。

僕はこのホステルの最初の宿泊客だった。なんか嬉しい。
彼は1ヶ月前にモンテネグロにたどり着いて各地を廻り、10日前にポドゴリツァに落ち着き、一週間前にここを借りたようだ。観光案内所の人もその存在を知らなかったくらい、知られていない。でも、彼はこの町がすごく気に入っている。静かな町だから、って。今までホステルがなかったくらいに見るところがなく、人が来なさそうでちょっと心配になってしまった。副職すればいいのかもしれない。

住みたいところに人は住むべきなのだ。
彼はここを自分の生きていく街と決めた。彼のうちであり宿、“Steve’s Place”は“スティーブの居場所”と訳すのが正解では?、僕はそう思っている。僕は今旅をしているが、旅は終着点にはなりえない。仕事を辞め、旅を始めた今もその観念に変わりはない。“Crackpot’s Place”を何処にするか、まだ決めかねている。けれど、『決めなきゃならない時』、じゃなく、『決めるべき時』がいずれやって来る、僕は今(2008年11月)、そう思っている。

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