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旅24-教会は白くアラズ、鐘の音は湿るもヨシ

マケドニアに入りました。ティラナから5時間。
と言っても国境近くの町、オフリド。オフリド湖のほとり。この湖は両国にまたがり、なぜかアドリア海より荒々しい。オフリドはたくさんの古い教会が立ち並ぶ個性的な町だが、その前に“2000円札”についての話から始まる。

パッカーの誰しもが困ったことがあるであろう、“高額紙幣”。高価なものなんか買えないのだから細かいお金の方が使いやすいのだけれど、ATMだけでな両替所でもなかなか高額紙幣を避けられない。今回困ったのは2000円札、マケドニアでは“2000円札”=“1000DEN札”だ。

(分かりにくいので、以後円換算で進めます!)
僕は国境で50ドル両替したので2000円札が2枚。これがなかなか受け取ってもらえない。なかなか苦しい。昨日は旧市街の城塞へ行った。入場料は100円。2000円札しかないと言うと、“いらないから入れ”と言われる。高額紙幣を崩すくらいならタダにした方がいいとの判断である。

一枚は昨日ミニマーケットで頼んで使わせてもらった。100円しか使えなかったのに、なんとか1900円を集めてくれた。そして今日、手持ちは2430円。
2000円札1枚と200円札2枚と20円札1枚と10円硬貨1枚だ。

朝8:30、バスに30km程乗ってアルバニア国境近くの教会へ。料金は200円と聞いていたが、220円に値上がりしていた。これで2000円札と200円札と10円硬貨が1枚ずつになる。教会に着く。教会の入場料も220円。2000円札を使わねば。しかし、ここでもいらないと言われる。またも無料入場だ。でも、小さくしてもらえないと軽食も食べられない。その旨を教会で話すと、哀れに思ったのかパンとチーズをくれた。

さて、帰りのバス代をどうしたものか。2000円札しかない。教会とホテルしかないから銀行もATMもない。仕方がない。ホテルのレストランでコーヒーでも飲むか。レストランへ。コーヒーをこれで飲ませてと2000円札提示。答えはNO。ありえない。あんた達、ホテル経営してるんだろうが。教会に行けと言う。ダメなんだよ、それも。じゃあ、コーヒー飲ません!と来たか。仕事、やる気なしだな。確かにシーズンオフで僕しか観光客らしい人はいない。しかたない。手持ちの水を飲みながらバスを待つ。10円足りない。バスが来た。僕は手持ちのお金をすべて見せる。バスの運転手は困っている。でも、ホントに困っているのは僕だ。乗せてもらえなかったら、どうやって帰ればいいんだ。結局運転席の奥から昔の切符を取り出す。「200円でいいよ。」…、一応帰れるけど、僕にとっての問題は先送りに・・・。それにしても2005年の切符をわざわざ切る必要があるのか?

結局、宿で宿泊費を払うときに使った。1泊€10、3泊3600円だ。ということはここでの安宿経営は結構いい商売なのかもしれない。そして次の両替時、融通の利かない銀行を避けて両替商へ。50ドルを差し出して、「大きいのはいらない」と頑なに言う。「これしかないよ」と僕のポケットは100円札でふくれる。いやいや、これでいいのだ。もう、安心なのだ。一応1000円札は使えるし。小銭も紙幣なら軽いもんだ。

日本で一時期2000円札が出回った。そのうち、皆が2000円札を避けるようになった。理由は違うが、マケドニアでも“2000円札”は嫌われ者だった。まあ、僕のようなお金を使わないバックパッカーにとってはね。

高額紙幣の話ばかりで、マケドニアのオフリドについて何も書いていなかった。。。ここはマケドニアの中でもチョット別世界。キリスト教の街。旧市街には教会が立ち並びます。1,000くらいあると言われてます。しかしこの教会、白くないのですね。

教会は白いっていうのは僕の勝手なイメージなのだ、と気づく。白は純白とか潔白という言葉の素にもなる清純なイメージがある。しかし、それは単に僕の思い込みでしかなかったのだ。白くて古い、白が輝かない教会は寂れているように感じられた。古くて塗装が剥げているなんてナンダカナアと。
しかしここオフリドの教会の模様は美しかった。白くなくとも。
それも鐘の音が湿っている。乾いていない。
白くない教会に響く湿った鐘の音。バックには外海より荒々しい湖。
ここにはずっと居られる。

ちなみに、アルバニアに近いマケドニアの西側はマケドニアってもアルバニアの旗が立ち並ぶ独立意識の高いところなのだが、オフリドは全く違います。キリスト教・オーソドックス。オーソドックスは“正教”、十字の切り方もカソリックと違う。自分から見て、上→下→右→左、と切ります。“最後はハート”がオーソドックス。カソリックは左→右の順。
そんなベイシックなところに気づけるのも旅の良さなんだよな。

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