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【書評】できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240

3回目の投稿となる今回は書評について書きたいと思います。

ITの世界にいる方は一度は見て触ったこともあるのではないかと思われるツールの一つにGoogleアナリティクスがあります。

主にマーケティングを担当されている方が利用するツールではありますが、昨今においてはふとクライアントからGAの設定の依頼があったり、内容について説明を求められることも少なくありません。そこでよくわからん!となってしまうのは非常によろしくないので、基本的な部分だけでも理解をしておきたいものです。

そこで活躍するのがこの本書です。

逆引きから確認することもできますし、設定に悩んだ際に確認するもよしの非常に役立つ本となっておりますので、こちらの本をご紹介していきます。

本書は以下の項目に分かれて記載されています。

第1章 基礎知識
第2章 導入
第3章 設定
第4章 用語の理解
第5章 レポートの分析
第6章 機能の活用
第7章 組織での共有
第8章 成果の改善
第9章 高度な分析
第10章 トラブル解決

第1章
Web解析の心構えやサイト改善の考え方などが記載されており、特に大事なワードとしては以下かなと思っています。

・Web担当者はアクションを提案、実行することを心がける
・マクロで要改善点を見つけ、ミクロで改善施策を引き出す
・困ったら1人で悩まずにフォーラムに相談してみる
・Googleアナリティクスの個人資格で対外的にアピールする

まずはなぜGAを設定するのか、目的、目標を定めようから始まります。
自分が担当しているサイトがECなのかコーポレートなのかで大きく変わりますので、どうなれば成功なのかを見極めることは大事です。
ちなみに一番最後の個人資格ですが、こちらは
「GAIQ」(GoogleAnalyticsIndividualQualification)などのことですが、実は私、昨年合格しています。その他にもデジタルワークショップの資格こちらも合格)もありますし、Googleには広告なども含め様々な資格があるので、せっかく勉強するなら資格も一緒に取得しちゃいましょう。

第2章
ここからいよいよ導入です。どのようにアカウントを作成するのか、どのようにトラッキングを設定するのかが記載されております。初期導入は割愛するとして、こちらも気になるワードは以下のとおりです。

・タグマネージャについて理解する
・Googleタグマネージャのメリットを理解する
・Googleアナリティクスのタグをタグマネージャに追加する
・プロパティ数やヒット数の上限を知る
・レポートの更新頻度を理解する
・トラッキングコードが適切に動作するか確認する

割とトラッキングだけ設定してタグマネージャを設定していないクライアントが多いように思えます。おそらく数値としては取得できているので良いと判断されているのかな。動作チェックは非常に重要で設定したけどカウントされていなかった!となるとショック以外の何者でもありません。リアルタイムに確認できるので、設定したらサイトの動作チェックとカウントチェックは欠かさず行いましょう。またタグマネージャの設定有無次第でイベントの設定内容記載方法が変わるので割と注意したい箇所ですね。

第3章
導入が終わったら設定です。このあたりからアナリティクスでよく使われる言葉(アカウント、プロパティ、ビュー)などが出てきますので、意味を理解するために一つずつ確認していきます。

・アカウント、プロパティ、ビューを理解する
・特に重要な設定項目を確認する
・トップページが[/index.html]と「/」に分かれないようにする
・通貨単位を日本円にする
・目標(コンバージョン)について理解する
・一定数以上のページビューを目標として設定する
・自分や関係者のトラフィックを除外する
・テスト環境へのアクセスを除外し、本番環境だけを計測する
・ECサイトで行うべき基本設定を理解する
・「何が、いくつ、いくらで売れたのか」を把握する
・サイト内に掲載したバナーのクリック率を確認する
・トラッキングIDとプロパティについて理解する
・ユーザーの年齢や性別、興味・関心を取得する
・GoogleAdWordsのアカウントとリンクする
・GoogleAdSenseのアカウントとリンクする
・イベントの発生が直帰率に与える影響を調整する
・セッションが切れる時間をカスタマイズする

いきなり情報が膨大な量になってしまった今回の設定ですが、最初にしっかりと定義をしないとあとでかなり悲惨な目にあってしまうため、じっくり読んで理解を深め設定する必要があります。特にECサイトにおけるコンバージョンの設定は基本中の基本ですので、関係ない数字を取得してあとで困らないようにしておく必要があります。
またGoogleAdWordsやGoogleAdSenseといった広告配信関連のワードも出てきましたが、サイトを運営するにあたり、広告からの流入はプロモーションの一貫として実施するため、こちらも利用方法や設定を確認しておく必要があります。ちなみに流入については最近の傾向でいえば、SNSはFacebookやTwitterは割と効果の高い数値を確認しました。また検索エンジンからの流入はGoogleが圧倒的で次いでyahooですね(だいたいどこのwebサービスも一緒かな?)

第4章
続いては用語の理解ですね。例えば「ユーザー」。これだけでもかなりの意味を持っていたりします。「ユニークユーザー」は1人のことを指しますが、アナリティクスではCookieによって判別された「ユニークなブラウザー」となります。と、いうことは、僕が自分のPCを使い、chromeとsafariでアクセすると「2ユーザー」になってしまうんですね。このあたり、割と誤解を受けるのでしっかりと理解しておきたいところです。

・新規ユーザーとリピーターの違いを理解する
・セッションを正しく理解する
・ページビュー数を正しく理解する
・「ページ/セッション」を正しく理解する
・「セッション時間」を正しく理解する
・「平均セッション時間」を正しく理解する
・「平均ページ滞在時間」を正しく理解する
・「直帰率」を正しく理解する
・「離脱率」を正しく理解する
・「コンバージョン率」を正しく理解する
・「ディメンション」を正しく理解する
・「セカンダリディメンション」を正しく理解する
・「チャネル」を正しく理解する
・「メディア」を正しく理解する
・「参照元」を正しく理解する
・「セグメント」を正しく理解する

見てわかるとおり「正しく理解する」が多く並んでいます。
このあたりの数字は割とマイレポートあたりで設定する項目ですので(担当している案件で実際に設定しています)一つ一つの意味と動きを理解した上で数値を確認し、施策やプロモーションの検討に役立てるための指標として活用することになります。
特に離脱率はソシャゲーは割とわかりやすくて、例えばチュートリアルの最中に離脱するユーザが多いようなら画面を減らすとか、特に離脱が多い画面は内容を見直してシンプルにする、SKIP機能をつけるなどの「対策を行うための検討」が行えます。前職ではマーケ担当が月一で数値を分析し、今月は○○を改善するために●●しましょう、来月は△△の数値をあげるために▲▲を実施しましょう!なんて会話も可能です。コーポレートは少々難しい部分ではありますが、ECなんかでは少し変更するだけでも効果が目に見えて変わることもめずらしくないため、しっかりと理解したい部分です。

第5章
ここからレポートの分析となります。見るべきポイントや活用方法などを記載していきます(本書のとおり!)

・新規ユーザーとリピーターの振る舞いの違いを知る
・ビジットカウント別とユーザーの振る舞いの違いを知る
・年齢や性別といったユーザー属性を把握する
・ユーザーがどのようなことに興味を持っているのかを知る
・地域別にユーザーの振る舞いの違いを知る
・デバイス別のユーザーの振る舞いからサイトの課題を見つける
・モバイルデバイスの機種からサイトのい要改善点を見つける
・似たサイトの平均的なパフォーマンスをベンチマークにする
・Googleで検索されたキーワードからの訪問数を類推する
・GoogleAdWordsの効果を分析する
・Yahoo!プロモーション広告の効果を分析する
・売上に貢献しているページを見つける
・特定のページの次にユーザーが遷移しているページを知る
・企業からのアクセスが何を求めているかを確認する
・表示に時間がかかっているページを知る
・サイト内検索からユーザーのニーズを汲み取る
・コンバージョンの価値から施策ごとにROIを把握する
・コンバージョンの導線からの離脱状況を把握する
・ユーザーのカスタマージャーニーを見える化する
・ECサイトでの購入に至る日数のパターンを測定する
・スマートフォンやタブレットからいつでもパフォーマンスを確認する

うーん、多い・・・と思いますが、これらの情報はまず見ることが大事で、実は見ているだけでもけっこう楽しいことがわかります。
年齢層や性別はサイト側でデータを収集している場合はそれなりに精度の高いデータとなりますが、サイト側でデータを収集していない場合はGoogleさんによる「推測」の値が入ってきます。何を根拠に推測しとるんじゃ!となりますが、ひらたく言うとエロサイトのバナーがあって、そのバナー広告が40代男性向けのものならあなたは「40代男性」と断言されることでしょう。一方で女性向けのページ(女性やファッション雑誌)は女性と判断され、年齢層も仕分けされる仕組みというワケです。よくできてますね。
この他にも振りまいの違いだったりとか、どこの企業がどこのページに興味を持っているのかなどを知ることができますので、まずはデータを見て、そしてそのデータを持って施策を検討していく、ということになります。

第6章
第5章でレポートの分析を行いましたが、これらのレポートを用いた機能の活用が行なっていくのが本章です。フィルタやセグメントを設定し、分析するワザを身につけていきましょう。

・対象期間のデータを同期比で比較する
・ショートカットキーで操作時間を短縮する
・フィルタやセグメントで正規表現を活用する
・2つの指標の相関の有無を確認する
・突然のセッション数や直帰率の大きな増減の原因を見つける
・サイトの直帰率を悪くしているランディングページを知る
・LPO対策が急務なランディングページを見つける
・仮説を検証するための新しいセグメントを作成する
・サンプリングが発生してしまう理由を理解する
・サンプリングが発生したレポートに適切に対象する
・カスタムキャンペーンのパラメータを大量に生成する
・長すぎるパラメータ付きURLを短くする

応用編に差し掛かってきた感じですが、やることはあまり変わっていなくて、前月比の傾向を確認したり、操作性工場のためにショートカットキーの利用や正規表現(昔から苦手意識があります)などを利用していきましょう、といった内容となっております。
その他、うまく数値が取れていないレポートに対しての発見や対処方法が記載されていますので、経過を見ていて「あれ?数値おかしくね?」といった場合に確認することが可能です。

第7章
応用編を理解したら次は組織での共有です。データを共有せずに個人でムフフするのもよいのですが、せっかくですからチーム内で共有し、チーム一丸となってサイトをよくしていきましょう。

・マイレポートの作成方法とウィジェットの種類を理解する
・世界中の解析者が作成した高度なマイレポートを利用する
・独自のレポートで新しい分析に視野を持つ
・マイレポートを共有する
・カスタムレポート を共有する
・セグメントを共有する
・チャネルグループやカスタムチャネルグループを共有する
・実施した施策をGoogleアナリティクスに記録する
・サイトパフォーマンスの異常を自動的に通知する
・部署ごとのミッションに応じた最適なビューを作成する
・アナリティクス設定に加えられた変更履歴を確認する

これ、何がすごいかっていうと、マイレポートを自分で考えなくても世界の誰かが考えた設定を拝借することで容易に設定することができるんです!もちろん自分で設定することも可能ですが闇雲になんでもかんでも設定するよりは、ある指標に向けた設定の内容を拝借することで、どの数値がどのように取れるかわかるようになりますので、それからでも遅くありません。
マイレポートは共有の有無を選択できるため、あまり見られたくないデータは非公開、どんどん見てほしいデータは共有していきましょう。僕の場合、自分で設定して自分だけが見たいデータは非公開にする傾向があり、基本レポート的な定常的に確認する数字は公開にしています。まあ、隠すこともないので公開にしてもよいのですが、せっかく設定したしもったいないなぁ・・・と変な感情が芽生えたりします。

第8章
これまではレポート設定や分析などがメインでしたが、それらの数値を元に成果の改善を考えていくのが本章です。ここがメインといっても過言ではないかも知れません。Web解析の目的である成果の改善に向けた施策を考えていきます。

・KGIとKPIを適切に設定する
・メディアサイトにおけるKPIの設定方法を考える
・コーポレートサイトにおけるKPIの設定方法を考える
・ECサイトの弱点を大きな視点で把握する
・集客したユーザーがどれだけ定着しているかを確認する
・メールマガジン登録ユーザーが何に魅力を感じたのかを推測する
・休眠ユーザーの再訪問につながった手段や施策を知る
・自然検索のキーワードとランディングページの適合性を確認する
・曜日、時間別のユーザーの習慣を把握する
・検索エンジンから訪問したユーザーの本当の探し物を知る
・3割を超えるデバイスには固有の施策を検討する
・直帰率が高いデバイスには早急な対策を行う
・スマートフォンでのコンバージョン率は慎重に分析する
・特集ページのコンバージョンの貢献度を知る
・不慣れなユーザーと常連ユーザーの利用状況を把握する
・ロイヤリティの高いユーザーが持つサイトへの期待値を知る
・サイトに興味を持ってくれたユーザーが求める情報を知る
・高収益軸を見つけてランディングページを改善する
・トップページの使いやすさを不慣れなユーザーの視点から推測する
・会員と日会員でセッションの価値を比較する
・ABテストを通じてランディングページを最適化する
・ユーザーが実際に入力した検索キーワードを確認する
・曜日、時間、デバイスによるコンバージョン率の変動を把握する
・広告から適切なページにユーザーを誘導しているかを検証する
・広告の掲載位置によるパフォーマンスの違いを確認する

見てわかるとおり、全てが重要な項目となっております。
第1章であった、そもそもなんで設定するのか?を再度確認する場所でもあります。例えばコーポレートサイトにてKPIの数値を取得する際、何を持って成功とするかを決めておく必要があります。アプリへのクリック数なのか、ECサイトへのクリック数なのか、採用ページのページビュー数や主力商品のページとかですね。何を持って成功なのかを改めて考えてみましょう。
このあたりはECサイトは楽なんですよねー、売上第一ですから。
ABテストなんかも割と効果を体感できる機能だったりします。ボタンの色を変えるだけ、文言を変えるだけ、掲載位置を変えるだけで劇的に変化が見られることも少なくありません。ただ単に変えるだけでは逆に離脱してしまう可能性もなくはないので、よく検討して決めることが大事ですね。合わせてヒートマップでもどこが多く見られているのか確認することが可能です。基本的にモバイルなどはファーストビューに偏る傾向があるものの、ページの真ん中あたりに重要な情報があればそこをユーザーは重点的にアクセスするため、その周りに訴求を行いたい特集バナーを設置することで流入数を増やすことが可能となりますので、検討をした上で実際に試してみるのが良いかと思います。
そして肝となるのは新規ユーザと常連ユーザです。ロイヤルユーザーなんて言われたりもしますが、ソシャゲーだと廃課金者ですね。この方たちがいるおかげで無課金者はゲームができると言っても過言ではありません(ゲームによります)
一方で、このロイヤルユーザーがいなくなってしまうと売上が減少傾向となってしまいシステムを維持できなくなるため、クローズに追い込まれてしまうケースは少なくありません。そのため、ロイヤルユーザー、新規ユーザともに継続して施策を行なっていく必要が出てきますし、中堅ユーザーに対しても課金を促す施策を実施することでロイヤルユーザーへ昇格させるための施策を検討しますので、全てのおいて対応が必須となります。

第9章
ここはさらに高度な分析のご紹介ですが、タグマネージャを使いこなしていない僕にはハードルが高すぎる・・・けど、効果の高いワザから試してみるのはありとのことなので、いくつかピックアップしてみたいと思います。

・デバイスが異なっても同一のユーザーとして捕捉する
・ページ内のリンクのクリック数を詳細に把握する
・2回目の購入を促進させる
・サイト内検索結果が0件になるキーワードを見つける
・ユーザーがフォームの入力を放棄する項目を見つける
・天気や気温と販売数の相関を確認する
・企業のサイト利用状況を詳細に分析する

こんなところでしょうか。意外と面白いのがフォームの入力を放棄する項目を見つける箇所じゃないかと思っていまして、ひと昔前のガラケー時代にお問い合わせをメールからフォームに変更した途端、お問い合わせがばったりと止まったことを思い出しました。要はお問い合わせするのが面倒くさくなるんですよね。入力項目が多いし入力は面倒くさいしでもういいやと思わせることが重要ですが、ここは逆ですね。その面倒くさい箇所を修正して入力を促すというものです。住所を入力する箇所がボトルネックになっているなら郵便番号を入れれば自動で表示させるとかその類かと思います。こういった情報も見るだけで勉強になりますね。
あとは天気や気温、時期的なものと販売数の相関などでしょうか。リアルの店舗だと二八といって2月と8月は割と暇だったりしますが、ネットの世界ではどう変わってくるのか興味あります。実際にECサイトは季節に左右される傾向が高いため、リアル店舗とネット店舗では繁忙期のルールが異なるのではないかと思っていて、このあたりを確認することが可能になります。

第10章
いよいよ最終章はトラブル解決です。僕はあまり感じたことはありませんが勝手にアップデートして使いにくくすることもあったりするので、そういった情報は事前に把握しておきたいものです。また、適度にチェックするぐらいの頻度なら影響ありませんが、毎日データとにらめっこをする人は気にしておくべき項目ですね。

・Googleアナリティクスからのお知らせに対処する
・Googleアナリティクスの障害情報を確認する
・新規とリピーターの合計がユーザー数の合計と違う理由を知る
・ダイレクトトラフィックの割合が異常に多い原因を知る
・メールマガジンの直接効果だけを調べる
・リスティング広告のクリック数と訪問数が違う原因を知る
・コンバージョン数が実際のコンバージョン数と違う原因を知る
・コンバージョンの参照元がほとんど自社ドメインになる原因を知る
・直帰率が異常に低い原因を知る
・Googleタグマネージャも設定が反映されない原因を知る
・突然、一切のアクセスが記録されなくなったときに対処する

これ割と気にしていてもまあいいかで済ますような項目だったりします。本当はちゃんと調べないとダメなのですが、そもそも調べ方がわからない時に役立ちますね。原因を知ることでもっと深い部分で分析を行うことが可能となりますので、あれ?この数値おかしくね?と思ったら確認してみようと思います。

第10章までピックアップして記載しましたが、これでもほんの一部だったりします。書籍を購入して見てみることをオススメしますが、いまだと240ではなく260というのが出ているみたいですね。項目や設定方法も異なっていっていますので、今度最新版も見てみようと思います。

ではまた。

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