戦前の行政検束は翌日の日没まで。今の仮放免不許可による収容は無期限。きっと監理措置もそうなる。
せやろがいおじさんの最近の動画でも、入管の前身ではとして取り上げられている戦前の特高警察。
行政執行法による検束
荻野富士夫著「特高警察」(岩波新書 2012年)を読んでいたら、こんな事実が指摘されていました。
行政執行法は戦後廃止されていますが、条文を確認したところ、「公安ヲ害スルノ虞アル者ニ對シ之ヲ豫防スル爲必要ナルトキ」に検束を行うことができます(1条1項後段)。
裁判所の令状なしに、行政当局による「虞」の認定だけで身体拘束ができる点は、今の入管収容と変わりないです。
ですが、その拘束期間は翌日の日没までとされています(1条2項)。入管収容が収容令書では最長60日、退去強制令書による収容だと無期限となるのとは大きく違います。
2018年2月28日 仮放免運用方針では
そして、2018年2月28日に入管内で出された仮放免運用方針では、次の8類型に該当する方達について、「重度の傷病等、よほどの事情がない限り、収容を継続する。」として仮放免を許可しないとしました。
改めて見てみると、仮放免運用方針で原則不許可とされる類型は「公安を害する虞」に至らない程度のものばかりですね。「豫防スル爲必要」ということも考慮されていないです。
この運用方針が、戦前の治安維持法による予防拘禁よりひどい、というのは、以下のnoteや書籍はじめ、色々なところで書いたりお話させて頂いたりしましたが、「警察官が身柄を検束するのに濫用した」(前掲荻野)とされる行政執行法による検束よりも、要件は緩やかで、期間がずっと長いのがわかります。
収容に代わる監理措置ではどうなるか?
審議の始まった入管法案にある収容に代わる監理措置は、「その他の事情」を考慮して、主任審査官が「相当と認める」ときに、収容をしないで解放ができるというものです。
この「その他の事情」に、上記の仮放免運用方針が述べる8類型を読み込むことは容易に想像ができます。収容に代わる監理措置ができても、戦前の行政検束や予防拘禁よりひどいという状況は変わらないと思います。
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