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英国では支援団体が原告となって訴訟を起こせる。「収容迅速手続(Detained Fast Track DFT)」を差し止める判決を得て、100人以上が解放された。

2015年6月12日の記事です。日本でこのような裁判を起こすとすると、被害を被っている当事者本人に原告になってもらわないといけません。また、その結果違法だという判決が出たとしても、それによって救われるのは訴えた本人だけです。
すごくダイナミックで羨ましいと思いました。
DFTについての詳しい解説はこちらをどうぞ。


2015年6月12日付違法と断じた判決の記事


以下、一部引用します。


英国の迅速庇護手続が違法と判断された

 政府の庇護希望者の申請処理のための申請システムで、ここ10年用いられてきたものが、高等裁判所の判決で破棄すべきものとされた。
Alan Travis 国内情勢編集者
2015年6月12日金曜日13:26

 数千もの庇護希望者を毎年閉じ込めてきていた迅速移民要求手続が高等裁判所で違法であると宣言された。
 ニコル裁判官は英国に到着した庇護希望者を収容し要求のために7日しか与えられない手続は「構造的にアンフェア」であるとした。
 裁判官は、規定が庇護希望者を「深刻な手続的不利」な状態におき、「速度と便利さののために公正さを犠牲にしているのと気持ち悪いほど同様に見える」とした。
 収容迅速手続(detained fast-track)-内務省はこの手続をこう呼んでいる-は2000年に最初に導入され、数年で急速に広まった。
(中略)
 裁判官は、庇護申請者を代理する法律家は指導をし、主張文書を準備し、文書を翻訳し、保釈申請をし、専門証人を手配し、迅速手続から脱するための申立を行うことの全てが7営業日以内に期待されていたと述べた。裁判官は、示された事件経過はこれらの時間制限は、単に理論上のものではなく、現実の困難をもたらしていると述べた。
 裁判官はこのシステムは廃棄されるべきであると述べた。だが、この決定に対する異議申立をする機会を大法官(the lord chancellor)と内務省に与えるため、決定の効力が生じるのに猶予期間を設けた。
(中略)

 この事件の原告として戦いを挑んだDetention Actionの代表者、ジェローム・フェルプスは、この申請手続が単に違法なだけではなく、権限を越えていると判断されたことを喜ぶと述べた。
「けれども、私たちは猶予が認められたことにショックを受け、失望をした。これは最高水準の正義と公正さが求められる法分野であるのに。」彼は付け加えた「猶予を認めたことで、難民条約に反する送還を含む庇護希望者に対する過酷な潜在的な結果よりも、この手続を一時停止する内務省や大法官の不便さの方が勝ると裁判官が考えたように思える。」

100人以上が解放


こちらは2015年7月2日の記事です。
https://www.theguardian.com/uk-news/2015/jul/02/asylum-seekers-release-fast-track-detention-ruling

前の記事で、原告代表者が「私たちは猶予が認められたことにショックを受け、失望をした。」と述べていたのは、即時解放を命じたのではなかったことを意味するのだと思います。
ですが、こちらの記事では判決によって100人以上の庇護希望者が解放される予定と書かれています。

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