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Vol.32: Beloved | 最愛の人

誰の人生も要約させない。
あなたのも、わたしのも。

荒井裕樹

Vol.32: Beloved | 最愛の人

今日は私が子供の担当だった。子供を保育園、学童にそれぞれ迎えに行き、2人にご飯を食べさせる。お風呂に入れる。そして寝る準備をする。

今回、いつもと違うのは妻の帰りが深夜になるという点だ。一緒にご飯を食べていても、お風呂に入っていても数分おきに子供達はこう尋ねる。

「お母さんは何時に帰ってくるの?」
「お母さんはまだ帰ってこないの?」

「お母さんと話したい….」と絞り出すようにつぶやき、遅くまで頑張って起きていたが、ついに子供達は眠りに落ちてしまう。

翌朝、目を覚ました子供に「お母さんが帰ってきているよ」と声をかける。パッと起き上がり、洗面所へ走って行く。そして妻にギュッと抱きついた。

その後ろ姿を見て、なんて愛おしいのだろうと心の底から思い、会社へ向かった。

K

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