同期しない

少し前に本田珠也さんがFBに書いていた記事を読んで、ここ数年悶々と感じ続けていたことがすごくクリアに書かれていて一気に視界が開けたようになった。

その内容は、坂本龍一さんが自身の新作について語った「同期しない、同調しない」というテーマによるもの。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/sakamoto/

珠也さんはそこから関連して、2011年の震災以来、現代のジャズシーンも「同調する」という風潮を伴っていて、音楽が何かを封印してしまっていたり世間に迎合してしまったりしていて、音楽家としては、そろそろいいんじゃないか、一個人の音楽に向かうべき各々の道を選択する時期に来ているのではないか、と述べている。

僕自身、この「同期しない」ことをすごく自然に感じている。

思えば昔から、あまのじゃくだったというか捻くれ者だったというか、人と同じことをするのが嫌だった。小学生の頃は、なんで毎日決められた時間通りに学校に行かなければならないのだろうかと感じていた。早く大人になって、自由に時間を使えるようになりたいと思っていた。その頃からうっすらと、毎日同じ時間に同じ電車に乗って通勤するサラリーマンには自分はならない、と決めていたのかもしれない。

そしてジャズを志すようになったのも実は、周りにジャズを知っている人はほとんどいないけど面白い音楽がある!と気づいたからかもしれない。けれどジャズの世界に入ると当然だけど周りはジャズを知っている人ばかりで、その中で自分は違うことがやりたいと思って、自分の音楽を模索し始めた気がする。

周りと同じ行動を強要されるのが嫌いだから、例えば聴きにいったコンサートなんかでみんなで一緒に手拍子をさせられたり一緒に歌わせられるのは大嫌いだ。聴き方、楽しみ方は人それぞれなのだから、何かを強要しないで欲しいと思う。

だから人とは違うこと、人と同期しないことは自分にとってとても自然なことで、同時に他の人がそれぞれのペースでいることも自然と受け入れることができる。そしてそれが即興演奏にも繋がると思う。

今週は珠也さんのトリオのレコーディングがある。このトリオはまさに3人がそれぞれのペースで存在することができる貴重なトリオで、非常に楽しみだ。

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