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ほんとにあった!呪いのビデオ 4

1月に書き終えてたし、もうとっくにあげてると思ってたのに上げてなかった記事です。でもまぁ、趣味だし!

あらためてこの巻、他の巻と全然違うんですよね。トリッキーな1本と言ってもいいかと思います。中村監督も試行錯誤をしていた。と、でもいうのだろうか。

「ほんとにあった!呪いのビデオ 4」
(VHS版のみパッケージにも、サブタイトル「呪われた病院編」)
2000年4月22日 50min
構成:中村義洋、鈴木謙一
演出:中村義洋、鈴木謙一
演出補:中村義洋、鈴木謙一
ナレーション:中村義洋

【収録映像】
〈OP:元・医師 峰尾勇氏へのインタビュー〉
1.待合室
〈峰尾氏の体験談〉
2.診察室
3.レントゲン写真
4.リハビリ室
〈元・看護師の女性の体験談「ナースコール」〉
5.鳴り止まないナースコール
6.病室
〈現役看護師の体験談「誰もいないはずの病室から・・・」〉
7.病棟の窓に・・・
8.手術室
9.霊安室

映像のパターン:☆☆
(映像そのもので見せていく構成ではない)

観ているときの自分のテンション:☆☆☆★
(3周回って峰尾氏が好きになっている)

おすすめ度:☆☆★
(他にない構成なので一見の価値あり)

※5段階評価 ☆→1 ★→0.5


【押さえておきたいポイント】

○「病院」にテーマを絞ったコンセプチュアルな内容
○サブタイトルが付いている→「呪われた病院編」
○イメージVTRありの構成
○投稿者に証言してもらうというより、体験談を語ってもらう

次の『ほん呪5』にも「呪われた学校編」とサブタイトルがついているので、『4』『5』は2部作のような感じで僕は捉えているんですけれども、「場所」にまつわる映像にテーマを絞ったコンセプチュアルな内容となっています。初期3本を経て、こういう試みをしてみたというのは理解できることですよね。
ただ、コンセプチュアルである以外は、大体いつも通りの構成である『5』に対して、『4』はかなり挑戦的な1本だと思います。
というのも、最初の記事でも触れている通り、『ほん呪』らしさが、「心霊写真の映像版」の紹介と検証に特化した作り、ドキュメンタリーであることにあるとすれば、『4』ではハッキリと「テレビの心霊特番のような構成」をとっているんですね。シリーズの後の作品では見られない、「再現イメージ映像の挿入」や、「恐怖体験談の紹介」まであります。
なので、他と並べてしまうとはみ出て感じるのは確かではあるんですが、はみ出ているからこそ、実はだいぶ好きな1本です。愛おしい。


【クセが強すぎる男 峰尾勇氏】

見どころはなんといっても、元・医師 峰尾勇氏でしょう。少し5代目 三遊亭圓楽師匠に似てます。
今作のキーワードは「魂の名残り」というフレーズです。何度もくりかえし出てくるんですけれども、これは彼のインタビュー中に出てきた言葉
どんな感じでこのフレーズが出てくるのか、まずは、冒頭の峰尾氏のインタビューを全文書き起こしてみました。

(ナレーション)スタッフは、今では現役を退いた元・医師 峰尾勇氏に、病院で起こった数々の話を聞くことが出来た。

そうですね……もちろん、その、広い病院内の問題ですからね。病棟によっては、色んな方々を見てこなきゃいけないというのが我々の仕事ですから。もう、見てられないような生と死の接点を、もう何度となく、こう、みてこなきゃいけない場面にも色々たっしてきてます(?)からね。夜中の時間帯ともなると、歩いてて人の声聞いてるのも辛いくらいのことがいっぱいありますからね。まぁ……そうですね……慣れればなんてことないんだろうけど、慣れない方にとってはちょっとキツいかもわかんないですね。

(ナレーション)やはり、実際に不可解な現象が起こりうるのだろうか?

ないということはありえないでしょうね。やはりその、他界なさっていく方の気持ち、まぁ……俗に言っちゃえば、魂的なみたいなものが、残ってっちゃったその名残りというのがあるのかも分かりませんね。

(ナレーション)「魂の名残り」が病院内を浮遊しているとでもいうのだろうか。

どうでしょうか。
よくここから、「魂の名残り」っていうかっこいいフレーズを抽出しましたよね。峰尾氏の表現としては「俗に言っちゃえば、魂的なみたいなものが残ってっちゃったその名残り」ですから。なんていうか、だいぶかっこよく仕上げてっちゃってくれましたよね。

でも、言いにくいんですけど…………内容薄くない?
ベテランっぽい元・お医者さんが「見てられないような生と死の接点」みたいな言い方します?
なんというか、うさんくさ臭というか、ヤブみというか、そういうものを感じてしまいます。
峰尾氏のヤブみはこのあと、「レントゲン写真」でも炸裂します。

峰尾氏が所有する末期の胃がんの患者さんのレントゲン写真。その背骨近くに、「終」のような文字が写り込んでしまっている。

以下、峰尾氏の解説全文書き起こしです。

(ナレーション)ここでスタッフは、峰尾氏の所有する一枚の不可解なレントゲン写真を見せていただいた。

でーこれちょっとまぁ、よく見ないと気が付きませんけど、この部分ですね、ちょーどこの辺の部分に、妙なものが一緒に……妙なものというより……よーく見て追っていくと、文字に近いんですね。これみんなやっぱり当時不思議がりましてね、いやー上から誰か書いたんじゃないかとか、なんとかってことがあったんですけどね、どうもこうフィルム上でこう見透かしてみても全然凹凸がないんで書いたもんでもないと。(体の)表面に入れ墨だとかなんだとかって彫られてるもんであれば絶対的に写るもんでもないし、これは中にあるもんであるからこそ、中のもんが全部写る。何ら解明できるもんがないわけですよ。

……下手かよ!
最初からずーっと思ってたけど、説明下手すぎるよ!
全然頭に入ってこない!お医者さんのレントゲンの説明がこんなんだったら不安になるわ!

このあと「手術室」という映像の前にもまた峰尾氏の説明があるんですけど、そこではヘラヘラ笑ってて、めっちゃ腹立つんですよね……。
でもねー……なんか見ちゃうんですよね〜(笑)
もう言いたくなってるんですよ、「下手かよ!」って。


【好きなポイント】

今作では「これ!」というおすすめの映像がないんですけど、好きなポイントは結構あるので挙げていきます。

・「待合室」の投稿者、元・看護師の女性がしている指輪・時計・ネックレスがゴツくてファンキー

・病院での体験談を話してくれた元・看護師の女性 盛本さんの、モーニング娘。初期の中澤裕子さん感

・体験談「鳴り止まないナースコール」の再現VTRに出てくるナース役の方の、どうしても気になってしまうむちむち感

・「病室」での事象は、画面手前にいる投稿者の背後の鏡に現れるが、投稿者のメガネのレンズの向こう側にもちゃんと映っているように見える。

・「霊安室」スタッフが霊安室前にカメラを設置し、誰もいない深夜の霊安室前の廊下に響く声を撮影。テロップの出し方も含め、ほんとにテレビの心霊特番みたい。


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