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ほんとにあった!呪いのビデオ 3

順調に更新していっております。
隙間を見つけてはレビューをこつこつと書き溜めているのですが、めっちゃ趣味っぽいですよね〜〜。はー楽しい。

「ほんとにあった!呪いのビデオ 3」
1999年12月22日 54min
構成:中村義洋、鈴木謙一
演出:中村義洋、鈴木謙一
演出補:中村義洋、鈴木謙一
ナレーション:中村義洋

【収録映像】
〈OP:白い着物の女 その後〉
1.野球場に現れる少年
2.車の窓にはりついた手
3.運動会の8ミリフィルムに・・・
4.闇に浮かぶ男の顔
5.心霊写真が撮られた現場にて
6.屋根裏に動めく人の顔(※原文ママ)
7.カップルを見つめる女の横顔
8.いるはずのない男の声
9.ビデオレターから見つめる目(☆おすすめ)
10.4人いる(☆おすすめ)
11.仏壇の遺影の顔が・・・
12.襲いかかるラップ音

映像のパターン:☆☆☆(「4人いる」は味わいが◎)
観ているときの自分のテンション:☆☆☆(「ビデオレターから見つめる目」でMAXに到達)
おすすめ度:☆☆☆(本数が多くてお得感)

※5段階評価


【総評】

前作『ほん呪2』から2ヶ月後にリリースされた、初期3部作の3本目と言ってもいいような1本です。
今作からはついに、ナレーションが中村義洋監督によるものになります。中村監督による初「おわかりいただけただろうか」は「車の窓にはりついた手」です。

いきなり余談ですが、ナレーションについてウィキペディアに「リメイク版は中村義洋」(パート1〜7は高橋眞三樹さんが担当)という記述があったので、VHS版とDVD版でバージョンが異なるということなのかな?と思い(※初期作品のDVD版は2003年リリース)、VHS版のレンタル落ちを購入して確認してみたんですが、VHS版も中村さんによるナレーションでした。このVHSが「リメイク後(DVD版リリース後)のVHS」ということなんですかね?
以前、中村さんと対談させていただいた際に、パート3から中村さんがナレーションを担当することになった経緯についても伺ったのですが、特に補足もなく話が進んだので、実際のところはどうなんでしょうか?このあたりの事情に詳しい方はぜひご教示ください……!

話は戻って、今作はクリスマスシーズンのリリースということで、ロゴが赤と緑のクリスマスカラーです(笑)。

中村 どれかわからないけど、12月発売のやつは、メインタイトルが赤と緑なんですよ。クリスマスカラーにしたの。
(一迅社ブックス「ほんとにあった!呪いのビデオ 恐怖のヒストリー」p.25より)

これはさすがに言われないと気が付かなかったです(笑)。

作品全体としては、収録された映像の本数は多いものの、アイデアが落ち着きを見せ始めている感はあります。それが、この次の『4』をトリッキーな1本にさせたのでしょうか。

タイトルはつけられていないですが、オープニングでは『ほん呪1』の「白い着物の女」の後日譚が語られます。『ほん呪1』をレンタルした視聴者から、自分も白い着物の女を目撃してしまったという声が寄せられた、と。最近では、映像に対しての視聴者からのリアクションを拾うということがほとんどないのですが、今もこういう手紙はスタッフルームに届くのでしょうか。

変わり種の収録映像として「心霊写真が撮られた現場にて」があります。タイトルの通り、心霊写真を紹介し、その撮影現場に取材に行くんですが、普通に心霊写真の紹介なので結構びっくりします(笑)。最後に、実は取材中に映像が乱れて、そこに女性の顔が……というのがちゃんとあるんですが、それも自分たちで撮れちゃった映像です。まだ探り探りやっている時期ならではということでしょうか。


【見どころ】

「ビデオレターから見つめる目」

投稿者夫婦は結婚前、北海道・神奈川の遠距離恋愛をしていた。3ヶ月に1度ほどしか会えないため、ビデオレターの送り合っていたという。
問題の映像は彼側のもの。当時住んでいた札幌のアパートで撮影された。カメラの向こうの彼女に向けて、1日の出来事を報告する彼。その背後の本棚の隙間に、巨大な目が映り込んでいた。

はい、きました。大好きな投稿者さんです。朴訥として優しそうなご夫婦でね〜。映像も最高なんです。
この手のビデオレターというのは、相手しか見ないつもりで撮ったプライベート映像なわけですよね。だからこそ「その人にしか見せない自分」をさらけ出していたりするわけです。そんな映像にね、もし心霊的なものが映り込んでしまっていたとしても、投稿なんてしちゃダメですよ!見てるこっちが恥ずかしいんだから!
では、どれくらい恥ずかしいのか。参考までに文字に起こしてみました。

(満面の笑みで手を振る彼 薄いイエローのYシャツ)
ひろこ〜!お父さんだよ〜!
えっと……10月4日午後8時21分。
今日は寒かった〜。
えーいま、あの、ご飯を食べました。ごちそうさまでした。
っていや、あんたに言うこっちゃないっていうね。(セルフツッコミ)
えーっと……今日のメニューはなんと、ペペロンチーノ!
にんにくをたくさん入れましたー。
ひとかたまり入れました。
う、うそですっ。(セルフツッコミ・弱)
でも、結構入れたのでくさいよ!
(画面に近寄りハァーと息を吐きかける)
におった?
唐辛子は種を取るとあんまり辛くないよ!
豆知識でした。
えー……

くぅぅぅぅぅぅ〜!恥ずいーーーー!
「ひろこ〜!お父さんだよ〜!」というつかみ!クラシック!
映像じゃないとわかりにくいですが、「っていや、あんたに言うこっちゃないっていうね」というセルフツッコミが最っ高!!一応ツッコミっぽい手も添えてみたりなんかしてね!!
「にんにくをひとかたまり入れた」というボケでは、自分でもわかりにくいかなと感じたのか、一応「う、うそですっ」とセルフツッコミをしてみるものの、弱い!!!自信なさげ!!でも、そこがかわいい〜!!
そして、この映像のいちばん恥ずかしい瞬間……画面にハァーと息を吐きかける!!こりゃ恋人にしか見せられない顔だわ!!でもこのくだりの本当の恥ずかしさは……ハァーとやってるその後ろに心霊的なものが映り込んじゃっているという!!残酷かよ!!別のタイミングでもよかったじゃん!!ブレるよ!!かわいそう!!!そこ何度も「Replay」されちゃうし!!
……そういう感じで、ぜひとも悶絶していただきたい1本です。


「仏壇の遺影の顔が・・・」

こちらは映像そのものよりも、後日譚にびっくりしました。

中村 『3』で、「仏壇の遺影の顔が…」っていう、仏壇のおじいちゃんの写真が大きくなるっていう投稿があるんですよ。あの場にいる赤ちゃんって、ひとりなんですけど、よく聞くともうひとり、別の赤ちゃんの声が入ってるんです。それは全部完パケしたあとに気づいたんですね。それで、「うわ!」ってなって。あれは怖かったな。
 
小出 マジですか! 気づかなかった!
 
中村 マジですね。でも、あとの巻で取り上げることもなく放っとくという(笑)。検証のしようもなくてね。でも、赤ちゃんの泣き声は全然違う。少なくともあの場にいる赤ちゃんとは別の赤ちゃんですね。
 
小出 視聴者からの指摘もなく?
 
中村 なかったですね。

(一迅社「ほんとにあった!呪いのビデオ 恐怖のヒストリー」P.20 より)

中村監督に取材させていただいてから、自分でも確認してみたんですが、確かにほんのりと赤ちゃんの泣き声が聞こえる気がするんですよね。はっきりとは聞き取れないけど、少し遠くから泣き声が混じってくる感じ。中村監督のお話通り、この映像に関しては再検証されていないので謎ですが、中村監督が思い出しながら改めて怖がっていたのが印象的でした。


「4人いる」

投稿者が男女4人で川辺でキャンプをしたときの映像。1人がビデオカメラで撮影した場合、当然、画面に映るのは3人。しかし、後日見直してみると、誰も撮影した記憶がない、画面に「4人全員が」映っているカットが紛れ込んでいることがわかった。

シンプルな内容なんですが、「ちょっとした違和感だけど、よく考えてみると怖い」をパッケージしたとても良い1本です。映像の構成を抜き出してみると、

テントの組み立て

火起こし/釣り

水際ではしゃぐ3人

(地面に置かれたような位置からの映像)
ピンぼけした4人のカット
カメラが浮遊するような動き

対岸から4人を撮った引きの映像

談笑する3人

こんな感じです。地面に置かれたカットから、明らかにそこまでと映像の人格が変わるんですよね。そこまでは友達とはしゃいでいるところを撮影しようという、人懐っこさを感じるんですが、対岸からの4人のカットまでの数秒間は、何を考えてるのかがわからない映像なんです。ただ、どこか少しかなしいニュアンスも感じる映像のタッチでもあって。どんなつもりで「5人目」がこんな映像を撮ったのかを想像してみると、味わい深いです。

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