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ほんとにあった!呪いのビデオ 83

【後半にネタバレあります】

『ほん呪82』に続いてリリースされた、2019年「夏の3部作」2作目『ほん呪83』のレビューです。
前段を知らないとわからない部分が多いと思うので、ぜひ一つ前の記事から読んでみてください。いや、それでもわかんないかもしれないけど。

「ほんとにあった!呪いのビデオ83」
2019年8月3日 60min
演出:KANEDA
構成:KANEDA、新津徳也、美濃良偲
演出協力:菊池宣秀、美濃良偲、藤本裕貴、細沼孝之
演出補:中田亮、知花はる

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今回のパッケージも「怖い」より「心配」が勝ちます。土砂降りの中大丈夫かな……。

【収録映像】
1.地鉄
2.長いトンネル
3.従兄弟の家
4.続・
静止する身体 前編
5.ポンプ車
6.不気味な彫刻
7.続・静止する身体 後編

映像:☆☆☆★ 
観ているときの自分のテンション:☆☆☆☆
おすすめ度:☆☆☆☆
※5段階評価 ☆→1.0 ★→0.5


『83』は、ほん呪フェチ的に見どころの多い巻となっています。
しかも、全体で60分という、前作に引き続きとても見やすい尺。全然疲れません!ありがとうございます!


【「長いトンネル」の緊張感が良い感じ】

2本目に収録されている「長いトンネル」は、ロケーションで勝っていると言っていいと思います。

どこなのかはわかりませんが、異様〜〜〜〜〜〜〜〜に長い直線のトンネル。奥が見えません。しかも、人っ子一人通らない。
さらに「ここは歩行者専用通路です。自転車を降りて通行してください。」という機械的なアナウンスが、くり返し流れていて不気味です。
投稿者は帰路だということでこのトンネルを通っているそうですが、毎日ここを通るのかと思うと、だいぶ怖いです。

深夜、投稿者がこの長いトンネルを歩いていると、背後から「コツコツコツ」と、足音が近づいてきます。
思わず立ち止まり振り返ると……誰もいません。遠〜〜くまで誰もいない。
再び歩き始めると、また背後から足音が。
少し早歩きになる投稿者。背後の足音も合わせるように早くなっていきます。
「コツコツコツコツコツコツ!」
かなり音が近づいてきたところで……振り返っても、やはり誰もいません。また元の方向へ向き直る投稿者。
そこで、少し先に、黒い人影が佇んでいることに気が付きます。さっきまでは誰もいなかったのに。
「えっ……」思わずカメラをズームして確認してしまいます。
そこにははっきりと、女性と思しき黒い人影が佇んでいます。
微動だに動かない人影から逃げるように、投稿者は歩いて来た方向へと逆走します。

……このトンネル怖すぎ!
場所と状況が生み出す緊張感がすばらしい1本だと思いました。


【フェチ的に楽しかった部分】

細かい部分の話なので、簡単に紹介します。

①「従兄弟の家」久しぶりの“事象スルー”

投稿者が小学生の頃、従兄弟の家に遊びに行った際の映像。
クローゼットを開けると高校生だった従兄弟の洋服がかかっていて、上の棚に腐敗したような女性が横たわっているのが映ります。

と、映像自体は「ふむふむ……なぜ霊は上の棚に横たわりがちなんだろう」というような感じなんですが、作中で指摘されている「クローゼットに横たわる女性」だけではなく、クローゼットを閉めたあと、カメラが右にPANした際に映る窓にも、女性の姿が映り込んでいます
この女性の姿への言及はないまま終わるので、お楽しみですね。
ピノでいえば、星型やハート型
雪見だいふくでいえば「雪見だい福」です。
ちょっとうれしい。ちょっとした幸せ。
「よしっ!午後もがんばるぞ!」みたいなパワーが湧いてきますね。

②ポンプ車

訓練中の消防団。ポンプ車の下から人影が這い出てきます。

僕が勝手に喜んでいるというだけなんですが、前作『82』収録「切断」と、ここで出てくる人影は出現パターンがめっちゃ似てます。
一瞬、同一人物かと思ったんですけど、違いますね。
「切断」はヨーロッパ旅行の映像だったんで。

③不気味な彫刻

地獄を模した不気味な彫刻が並ぶ場所での映像。
拷問を受けている彫刻の目が動き、こちらを睨みます。

前述の「切断」はヨーロッパでしたが、「不気味な彫刻」はタイの映像です。2巻続けて海外での映像が収録されているんですね。ちょいとめずらしいです。

ちなみに、この映像のロケーションは、タイにある「地獄寺」というところで、僕は佐藤健寿さんの「奇界遺産という書籍で知りました。
ネットでも記事が色々転がっているので、検索してみてください


【続・静止する身体 前後編】

前巻『82』からの続きであり、「静止する身体」第2話にあたるエピソードです。

〈前回のあらすじ〉
投稿者・三橋百合子さんが、友人・磯貝さつきさんの家に遊びに行った際の映像に、一点を見つめ完全に停止している磯貝さんの姿が映っていました。奥のドアのすりガラスには黒い人影が。
取材中にも同じ現象が起きたり、三橋さんも磯貝さんも怪我を負う事故に遭ったり、三橋さんの勤務先の大学の防犯カメラにも、磯貝さん宅に出現したものと同じと思われる黒い人影が映り込んでいたり。
スタッフは原因を探るために、磯貝さんの自宅マンションの取材を申し出ますが、再三断られてしまい、「マンション周辺に原因がある」という仮説を立てて取材を続けていました。

磯貝さんのマンションの近くに住む、田中勝さんという男性から、黒い服を来た女性が、何かを持ちながら磯貝さんのマンションを見上げてブツブツとつぶやいている所を目撃したという証言を得ます。

また、三橋さんの勤務先の大学に通う生徒から、黒い服の女性が映り込んでしまった動画が送られてきます。

その後、田中さんの取材中の映像に奇妙な音声が紛れ込んでいたことが発覚し、解析をすると『おまえがいなければいいのに』という音声が抽出されました。
その声は、磯貝さんの声に酷似しているものでした。

スタッフは、アジア魍魎研究所の関東局長・村井肇さんと日野敦さんに助言を求めると、磯貝さんが何かしらをやらかしている可能性があり、早く磯貝さんの家に行ったほうがいいと言われます。

演出補・知花の元に、演出補・中田から連絡が入ります。
例のマンションの509の住人だという男性が現れ、揉めているとのこと。
男性に話を聞くと、そこは自分の家であり、磯貝さんの家ではないというのです……。


あらすじのフリしてまた全部書いちゃいましたけど 笑、いよいよ面白くなってきました!


〈注目したいポイント〉


◯近所の住人・田中勝さんが妙にキャラが強い
→取材にやたら協力的。ぐいぐいくる。

フリーライター・瀬羽潤二さんが『ほん呪81』ぶりの登場
→「何か言ってるけど、何も言ってない」という胡散臭さがさすが。
でも、映像に「合成では?」と否定的な立場であり続けるのは、むしろ好感が持てます。

◯音声解析ソフトが高性能過ぎる
→おそらくカメラマイク1本で収録されたであろう音声から、雑音を取り除き、問題の音声だけをかなりキレイに抽出している。すごすぎ。

◯磯貝さんが家の取材を拒否していたことが伏線だったことが判明
→「プライバシー的に自宅はちょっと」なんて普通だと思っていたので、こういうことだったのかとちょっと感心。

など、見どころは多いんですが、やはり、アジア魍魎研究所 日本支部 関東局長・村井肇さんと日野敦さんの登場に興奮しました!
『ほん呪81』の記事でも書きましたが、瀬羽さん同様、KANEDA監督の作品『劇場版 ほんとうにあった怖い話 2018』内『殺人者、その後』に登場していた2人の登場が現実になりましたよ!よっしゃー!予想が当たったー!

村井さんと日野さんが『ほん呪』に現れたということは、KANEDAユニバースはやっぱりあった!ということですから、ぜひ『ほんとう怖2018』もチェックしてくださいね。

村井&日野はほんとにいいコンビなんですよねえ。スピンオフが観たいです。結構マジで。村井×日野でもいいかもしれない

さて、『ほんとう怖2018』での初登場の際にも、「(呪いについて尋ねられて)“呪い”ってのはDoする」という名フレーズをぶちかましていた村井さんですが、今回もぶちかましてくれています。

〈呪いと魍魎の関係性についての説明〉

村井「この人(日野)がすっげぇむかつくから呪ってやろう、メガネとかぶっ壊れてしまえばいいのにって言って、メガネが壊れる呪いをやっちゃいましたっつって。『パリーン』つってね(笑)。

日野「(メガネをクイッ)

村井「じゃあ、それっていうのはじゃあ誰がメガネを壊すんだって話であって、何かしらの執行者っていうのがいるんですよね。で、結局その、メガネを割るやつっていうのが、魑魅だったり魍魎だったりしまっせ。っていう。」

呪いのシステムについて、わかりやすい説明です。「呪い」そのものによって何かが起こるのではなく、「呪い」をきっかけにして「執行者」がDoしまっせ。その「執行者」が魑魅魍魎なんですよと。

そして、この説明が次巻『ほん呪84』での解決編「終・静止する身体」へとつながっていくわけですが…………

とりあえず、メガネのたとえよ!!!!!!!
むかついてかける呪いが「メガネとかぶっ壊れしまえばいいのに」!!!!!!
そんなたとえをされても、横でニコニコ聞いてる日野!!!!!!
なんだそのTシャツ!!!!似合いすぎだぞ日野ぉ!!!!!!
もう、ふたりともかわいいいいいいいいいいい!!!!!!

……と、いう感じで、今後のアジア魍魎研究所の活躍に期待です。

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