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超対称変換

ボーズ・アインシュタイン統計に従う粒子はボソン、フェルミ・ディラック統計に従う粒子はフェルミオンをよばれます。ボソンとフェルミオンを入れ替える変換が超対称変換です。

ボソンの状態を$${\ket{b}}$$、フェルミオンの状態を$${\ket{f}}$$で表しましょう。このとき、

$${Q\ket{b} = \ket{f}}$$

となるような変換$${Q}$$が超対称変換になります。

ボソンの生成演算子を$${a^{+}}$$、フェルミオンの生成演算子を$${c^{+}}$$として、真空状態を$${\ket{0}}$$で表すと、

$${a^+\ket{0}=\ket{b}}$$, $${c^+\ket{0}=\ket{f}}$$

となります。このように、真空状態からボソンとフェルミオンを生成することができます。ボソンの消滅演算子を$${a^{-}}$$、フェルミオンの消滅演算子を$${c^{-}}$$として、逆に、$${\ket{b}}$$と$${\ket{f}}$$に消滅演算をすると、

$${a^-\ket{b}=\ket{0}}$$, $${c^+\ket{f}=\ket{0}}$$

となって、粒子を消滅することができます。さらに、$${a^-\ket{b}}$$に$${c^+}$$を作用させて、$${c^-\ket{f}}$$に$${a^+}$$を作用させると、以下になります。

$${c^+a^-\ket{b}=\ket{f}}$$

$${a^+c^-\ket{f}=\ket{b}}$$

このように、ボソン$${\ket{b}}$$をフェルミオン$${\ket{f}}$$に、フェルミオン$${\ket{f}}$$をボソン$${\ket{b}}$$に変換することができます。$${a^+c^-}$$と、$${c^+a^-}$$が超対称変換の演算子になります。

ここで、ボソンの生成消滅演算子$${a^{\pm}}$$の交換関係を見ると、以下のような交換関係があります。

$${[a^+,a^+]=[a^-,a^-]=0}$$, $${[a^-,a^+]=1}$$

また、フェルミオンの生成消滅演算子$${c^{\pm}}$$の交換関係を見ると、以下のような反交換関係があります。

$${\{c^+,c^+\}=\{c^-,c^-\}=0}$$, $${\{c^-,c^+\}=1}$$

この関係性を使うと、面白いことが出てきます。
先ほどの$${a^+c^-}$$を$${Q}$$と置くと、$${c^+a^-}$$は$${Q}$$のエルミート共役$${\bar{Q}}$$になります。ここで、$${Q}$$と$${\bar{Q}}$$の反交換関係を見ましょう。

$${\{Q, \bar{Q}\}=a^+c^-a^-c^+ + a^-c^+a^+c^-=a^+a^- + c^+c^-}$$

$${a^+a^-}$$は、ボソンの合計の粒子数、$${c^+c^-}$$はフェルミオンの合計の粒子数を表しますので、$${\{Q, \bar{Q}\}}$$は系のボソンとフェルミオンの合計粒子数を表すことになります。$${\{Q, \bar{Q}\}}$$に粒子の質量$${m}$$を掛け算したものは系のエネルギーを表すことができますので、$$m{\{Q, \bar{Q}\}}$$をハミルトニアンとすることで、超対称性を素粒子の標準模型に組み込むことができるようになります。

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