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J. J. Sakurai「現代の量子力学」

「現代の量子力学」の著者であるJ.J.Sakuraiは、ミドルネームが付いているので、日系アメリカ人なのかと思っていた。しかし、「現代の量子力学」を読んでみると、純粋な日本人であることが分かる。高校までは日本に暮らしていたようで、大学の学部からアメリカに留学して、そのままアメリカ滞在を続けた人のようである。本名は、桜井純だから、Jun Sakuraiとなるはずが、Jun John Sakuraiとなり、J.J.Sakuraiと呼ばれるようになったようだ。米国人にとって、日本語の発音は難しいらしく、Junに近いJohnと呼ばれていたことで、Jun Johnのように重なり、ミドルネームのようになったようだ。

話は変わって、私が米国のフェルミラボに滞在していたときに、「J.J.」と部屋のネームプレートに書いている方がいて、実際にもJ.J.と呼ばれていた。おそらく、James Jonesとかが本名なのだろうが、米国人は略したがる。これが、とってもカッコよかったので、自分も何かないかと考えたのが、「K.J.」だ。アルファベットで本名はKojiだが、漢字では「孝治」と二文字になっているから、KoJiが正しい。だから、「K.J.」でいけると考えた。そして、知り合いに「Please call me K.J.!」と言ってみると、「Why?」が返ってくる。漢字では二文字だからと説明してみても、分かってくれない。当たり前だ。ほとんどの米国人は漢字のことなど知らない。結局、K.J.はほとんど浸透せず終わり、面白がった一部の日本人に使われただけになった。

話は戻って、「現代の量子力学」は、シュテルンゲルラッハの実験結果のみから、量子力学の不思議さを明解に説明されていて、出版された当初は、確かに現代的な感じはあった。ほとんどの量子力学の本は、前期量子論から始めるというものが多かった。当時、量子力学は何で勉強してるの?と聞かれたとき、ジェイジェイサクライと言えば、カッコよかった。シュテルンゲルラッハの実験のように、2準位系で量子力学を説明するのは、分かりやすい。ファインマンの量子力学も、様々な2準位系を引き出してきては、くどくどと説明している。サスキンドの量子力学では、2準位系をキュービットと呼ぶところから始めていて、より現代的になっている。

量子力学を勉強するのに、これらの本はおススメだ。


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