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彼が次元を越えるとき、過ごしてみたかった青春がここにある…?プリクラの彼氏「プリカレ」①

2015-03-30

顔を小さく、目を大きく、肌を白く、
脚を細くできるようになった。

そして2015年、
女の子の願いを叶えてきたプリクラは
ついに、ここまで来たーー。


今回の題材はそう、たった数百円で女の子の理想を叶える魔法の機械「プリクラ」。
最初に世に登場した1995年からその進化は著しく、現代のプリクラはいかに実物以上に美しく映るかが重視され、若い女の子たちはあの狭い小さな箱の中での一瞬に神経を研ぎ澄ませる。
しかしそれは確かに虚構であるかもしれないが、それでもなお理想を現実のものにしたいという願望が彼女たちを駆り立てている。

それと同じく女の子の理想とする擬似体験を、手軽に得られるものがある。

そう、少女漫画であるーー。



卒業シーズンのこの時期、高校を卒業して3年経った今でも高校時代に唯一実現できなくて心残りにしていることがある。

彼氏と制服でプリクラ撮ってない

コレですよ。
彼氏と制服デート、夏休みに浴衣で花火大会、とかに未練はないんだ。
それに辿りつくまでにかなりの時間を費やしそのうえタイミングに味方されないと実現し得ないというハードルの高さがあるから。
でもさ、プリクラはさ、あの長くて短い高校3年間の中でさ、彼氏(交際前でも可)とプリクラを撮るという、たった数分を生み出せなかったということが私の力不足な気がしてならないのです。

きっと、ただただ、形に残るものが欲しかったんだ。
高校時代のあの人との一瞬を形にしたものが。


でもさ、プリクラでしょ。
女の子の理想を叶える魔法の機械でしょ。
目を大きくしたり脚を長くしたりするのが出来るくらいなんだから、私のこの願いも叶えておくれ~


というこの何ともくだらない願望を、プリクラの機の小さな箱の中でみんなが自身最大のキメ顔で一点を見つめカメラのフラッシュが光る数秒前の無言のあの瞬間、Twitterで誰かのプリクラを拝見したとき、テレビで壁ドンの特集を見たとき、少女漫画を読んだとき、ここ2年くらいずーーっと持ち続けていて。


そんなとき、私の高校時代の特別な友人であり、『私は君の背中しか知らない』の作者でもある少女漫画家を目指す夏目志麻さんとお会いする機会があって。
思い切ってこの思いの丈をぶつけてみたのです。

そしたら、

「あの鯉沼が彼氏とプリクラ撮ったことないなんて事実がまだこの世に存在していたなんて……!!神様はまだまだ私の人生に刺激を与えてくれるようだね。鯉沼の企画に思う存分乗っかりたい!」 (長文より一部抜粋)



そんな今回のテーマはこちら。ドン!

女の子の願いを叶えるプリクラ機× 女の子の夢と理想が詰まった少女漫画

【何をするか】
プリクラを、本気で遊ぶ。

①まず私が本気のキメ顔でピンプリを撮る
②夏目志麻さんによる本気の落書き
→私の隣に少女漫画に出てくるような男の子を描いていただく。
(イメージ)


【実現性について】
・おそらくこの制作において一番のポイントになるであろう点は、プリクラ機のペンの精度、インクのカラーバリエーション。
・さらに、画面の層の厚さが薄くペン先からより近いところで実線が描ける機種ほど、ペンを動かしやすいのではないかと想像。
・しかし、どの機種がいいか悪いかを事前に把握しているほどの知識は持ち合わせていなかったので、地道に入ったとこ勝負。
・そしてこの制作に関する魔法代は一切惜しまない。夢を見るにはお金がかかるんです。


私達にしか成せない仕事だと思う。
プリクラに革命起こそうぜ、と彼女をインスパイアし、高校時代の制服に身を包み、約束の時間に約束の場所へ。






AM 10:20 at 池袋セガ

そこには朝早い時間にも関わらず集団で群れをなす女の子たちや本物のJKにおののきながらも、魔法の箱の中でカットを重ねる女子大生の姿があった。

「これ茶色あったっけ?」
「そう、それ茶色あるやつ。でも確か落書き時間が短い」

数回も撮影をこなすと、それぞれのプリクラの機種の特徴を把握し始める。

「どう?」
「あーこれペンが遠いな」

こちらは撮影前にペンの仕様をチェックする様子。

「他の機種より盛れるから」
「モデルの誰々ちゃんの機種だから」

ではなく、

「インクに茶色が入っているか」
「落書き時間がどのくらいか」

でプリクラの機種を選ぶ女の子が、未だかつて存在しただろうかーー。


夏目志麻さんの画力に見惚れる前に、まずは素人がプリクラのペンで描く絵とはどんなものになるのかをご覧いただきたい。
何も考えず普通に輪郭をなぞってみた。

夏目志麻が本気で落書きすると、こうなる。

プロは道具を選ばない、とはまさにこのこと。

私のくだらない妄想が、こうして彼女の手によってすぐ目の前で形になっていく様子に湧き上がってくる興奮を抑えきれなくて、二人してあまりにテンションが上がりすぎて、印刷されたプリクラシールを取り出し口に置き忘れたりもした。
(幸い受付に届いていて店員さんに説明してお返ししていただくときの恥ずかしさったらもう)

最大の課題は落書き時間の短さ。
プリクラ機の平均落書き時間は約3分。
さらに、次の撮影がどのタイミングで入るかによって、その時間は増減する。
落書き途中でタイムオーバーになり、描き込む時間が足りなかったものもあったが、ものの数分でこのクオリティ。

その頃となりで私はというと、お互い会わなかった間の空白の2年間の話をしながら、ひたすら遊んでた。
いまTwitterを賑わせるあの方も描いたよ。

「脚が長くなるってことはさ、これ顔を脚のところにもってきたら顔が伸びるんじゃない?」
「うわ見て顎が伸びた~!!」
「これはあの方描くしかないな」

これが今回撮った中で唯一のふたりで映っているプリクラだなんて……

所要時間:約4時間
魔 法 代:総額3200円


1日でこんなにプリクラを撮ったのは初めてですし、もちろんこれからもないでしょう。おそらく撮り納めです。







さてそれではお待ちかね、
私と高校時代を共にした(二次元で)、
歴代彼氏を並べてみました。






















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はいごめんなさい。課金制なんていたしません。

容量がいっぱいになってしまったので、次の記事へ続きます。



illustration by 夏目志麻
花とゆめ HMC受賞作 「私は君の背中しか知らない」

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