女子キャンプ_焚き火

「女子キャンプ」ができるまで、そして今後。

今や当たり前になった「女子キャンプ」という言葉。一体なぜ”こいしゆうか”が発起人なのか、そこに至るまでどういうストーリーだったのか。

まだその名前がなかった頃、「女子キャンプ」という名前をわたしがつけて10年が経ちます。それから「女子キャンプ」発起人として、雑誌やTV、ラジオなどで「女子キャンプ」とはなんなのか、どういうことなのかを説明をしてきましたが、どこかにまとめて掲載しなきゃなぁと思っていたので10周年記念として、ここにまとめておくことにしました。


2007年 はじめてのキャンプ

2008年頃、会社の人に誘われて初キャンプに。当初は、キャンプはファミリーでやるんじゃないの?と思いつつ不安ながらも行ったキャンプ。実際行ってみると、夫婦がのんびりチェアに座ってコーヒーを飲みながら風景を楽しんでいる姿が多く、かなり衝撃を受けました。そしてたまたま流星群の日だったので、大量の流れ星を見上げながら夜を過ごしました。

2008年 はじめてのマイテント

それから何回か一緒にキャンプに行った後、「装備の大きさや設営の大変さを抜いてはキャンプ自体は楽しいなぁ」と思い、いろんなキャンプブログを読み尽くしました。その頃はあまりキャンプの情報は今よりも豊富になく、ファミリーが日記のようにブログを書いていたり、キャンプを趣味にするブログなどで繋がったグループなどの活動や道具などの情報がある程度。しかしそれが大変参考になり、そこでザック1つでもキャンプに行けることを知ります。いろいろ調べていると登山用とはまたちがう、バックパックに入るというワンポールテントを見つけ、当時としては一番高い買い物となったテント(ゴーライト/シャングリラ3)を購入。公式代理店はなく、ヤフオクで購入しました。あれは勇気がいりました。

・参考サイト ナチュログ https://blog.naturum.ne.jp

2009年 「女子キャンプ」というブログとSNSコミュニティを作る

テントを買ったんだから「キャンプがしたい!」と思ってもなかなか周りにキャンプ仲間ができず。ただ、男性がいると「僕がやってあげるよ!」祭りになってしまうので、女性限定でお誘いをしたところ「寒いからいやだ」暑い季節は「虫がいるからいやだ」という八方塞がり状態。なんとか無理やり誘ってフェスに一緒にキャンプをしに行ってくれた友人はわたしのテントで一緒に寝て、自分では道具は購入したくないということで、さすがに初心者のわたしが初心者を面倒をみていられないこともあり、

「初心者でも自立したキャンプで一緒にキャンプをしてくれる女友達が欲しい!」という想いと「キャンプってマイナーだからもうちょっと流行ってくれないかなぁ。山ガール流行ってるしキャンプにも名前つけとこ!」と思い、すぐさま『キャンプ女子』、『ガールズキャンプ』、『女子キャンプ』などと検索をして、どこにも出てこない(むしろ女性のキャンプ情報は皆無)ことを知り一番しっくりきた「女子キャンプ」という名前でSNSのコミュニティを作りました。

(2019スクリーンショット。当時の画面からは変わっています)

それと一緒に、自己紹介も含めて自分のブログも「女子キャンプ」に変更(元はcamp memoという自分のキャンプのメモブログだった)

(2019スクリーンショット。当時は20代でした笑)

(2019スクリーンショット。その当時のブログ。勢いしかない。)

その頃、別のコミュニティにて男性が主軸のソロキャンプ集団のようなオフ会があったので、そこに下見をしにいき(見ず知らずの女性一人の参加はその時がはじめてだったらしく動揺させてしまった)、その個人個人が自立するキャンプスタイルがやはり理想的で、これを女性にもできないかと思いオフ会を開くことを決意。

2009年 11月第一回オフ会を開催

放置キャンプと呼んでいますが、現在で言うと「個食個泊キャンプ」のこと。自分のテントは自分で持ってきて自分が食べたいものは自分で作る。もちろん装備はそれぞれで。そんなハードル高いオフ会に来てくれたメンバーが、現在の女子キャンプユニット"mijinco”(2010年頃に結成)

2010年 テレビ出演、雑誌掲載など露出が増える

(「女子キャンプ」ブログより。https://groove.naturum.ne.jp/d2010-01.html)

ちょうどタイミングが合うころに発刊された女性のためのアウトドア雑誌「ランドネ」さんの紹介により実際にキャンプを楽しむ女子たちの代表として「スッキリ」さんに出演させていただきました。

また、編集長が早くも目につけていただき「女子キャンプ」特集など名前を使ってもらったことから少しずつ日の目をみるように。

2010年 第三回オフ会は約40人参加

gif動画(笑)https://groove.naturum.ne.jp/d2010-01.html

メディアの影響やらブログやらで、だんだんとその輪が広がり1年後にはコミュニティは1000人を超え、オフ会なども開かれました。

2011年 徒歩キャンプ発足

(「女子キャンプ」ブログ抜粋https://groove.naturum.ne.jp/e1188778.html)

これについてはまた、別にて書きたいですが、女子キャンプをやっていると「クルマがなくて」「運転できなくて」といってキャンプを諦めている人が多かったことがわかり、バックパック1つで行ける「徒歩キャンプ部」をつくりました。徒歩部のメンバーたちはなぜかよく酒を飲み(笑)、今やキャンプを超えての大切な友人になっています。

mijinco/CS旅チャンネル「Hello!女子キャンプ」番組

http://www.tabichan.jp/travelogue/hello

女子キャンプユニットmijincoの全12回のレギュラー番組がはじまりました。これは再放送が5、6年あったようで今でも「見てました!録画してました!」などの声をかけられます。

2014年 PANDAオリジナルデザインテントを発売

(「女子キャンプ」ブログ抜粋https://groove.naturum.ne.jp/e2071000.html)

女性でもカンタンに立てれてバックパックに入れられて、なるべく手に入りやすい値段のものがあればいいのに、と思いながら活動を続けていたらテントを作ってもらえるチャンスがありました。

テンマクデザインさんとのコラボでできたPANDA(https://www.tent-mark.com/campanda/)。実はその前に「キャンプできちゃいました」というエッセイキャンプ漫画本を出版していたのですが、あまりキャンプ業界では騒がれることがなく、ぼんやり過ごしていたのですが、このテントは本当に需要があったようでいろんな方から「買ったよ!」と言っていただきました。

(あまり業界的には注目されなかったけれども意外と読んでくれてる人がいた本)

そのテントのおかげか何かか少しずつ「女子キャンプ」という言葉が広がって来ました。


2016年 マツコの知らない世界

話はぶっ飛びますが、この番組に出演させてもらいました。これはかなり大きく「女子キャンプ」のこいしゆうかから「ひとりキャンプ」の人になり、女性でもキャンプをするのか!こんな小さいテントがあるのか!などなど全国からお話や驚きの声を聞くことになりました。

2018年 アニメゆるキャンで女子高生がキャンプに

少し話は逸れますが、影響が大きかったアニメ。女子高生たちが「キャンプ」を楽しむシーンを見て、ひとりキャンプや冬キャンプがブームに。残念ながらわたしが書いたものではないのですが、女子キャンプを主軸とした漫画、アニメが主流となりました。ユーチューブ出演とDVDのノベルティなどにコラムを書かせてもらっています。女性がキャンプをすることが、作品になったのです。

(youtubeより抜粋https://www.youtube.com/watch?v=jYK0Rn07Z64)

「女子キャンプ」はどこへ行く

「男性に頼らずとも、女性だけでもキャンプはできる」と思ってはじめた「女子キャンプ」。mijincoや参加してくれた女子キャンパーたち、それを見てくれた人たちが徐々に広げていってもらい浸透し、今ではアウトドアキャンプメーカーなども女性を意識した商品を展開しています。また、アウトドアには関係がなかったショップやブランドでも、季節によってそれを意識した商品もよく見かけるうようになりました。「女子キャンプ」はこの十年でしっかり市民権を得たと思っています。

なんだかすごいことになってますが、わたしは単に自分が過ごしやすい(女子がキャンプを趣味にしてても普通な)世界を作りたく、そんな友達が作りたくてきっかけをつくっただけで、今のこの状況はわたしが仕掛けたことではありません。ただ、このキャンプという遊びがわたしの環境を変え、素晴らしい景色や友人たちに出会えさせてくれたことの感謝の気持ちを込めて、キャンプコーディネイターとしてこれまで活動をしてきました。

「日本オートキャンプ協会新聞」で「女子キャンプ日記」を5年以上連載を続けているのですが、そこでも書いたことを最後に残して終わりにします。

「女子キャンプ」という言葉がなくなるまで

2019.1(女子キャンプ日記から抜粋)

最近、女子キャンプというものが、1つのエンターテイメント的なコンテンツになったんだなぁとぼんやり思う。未開の地、「女子キャンプ」はもう開拓されてしまったのだ。そうなってくると、わたしの出番はない。いや、本当にないのか?
 自然を慈しむキャンプは、何年でも続けられて、人生とともにあっていいものだと思う。本末転倒なことを言っているようだが、実はその中身に、女性も男性も関係ないはずなのだ。「女子キャンプ」が、未だに少しキラキラとしたコンテンツになっているのは、まだこの言葉が消え去っていないから。男子だろうが女子だろうが、おじいちゃんだろうがおばあちゃんだろうがキャンプをするのが当たり前。そんなジェンダーフリーなものになれば、この言葉はもうこの世界にはいらないだろう。「女子キャンプ」、この言葉が消え去るまで、そして消え行くものにするために、私はもう少しこの日記を書かせてもらいたい。

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