ヒューマンドラマとは

ちまちま呟いてましたが、読み期がきてしまって7年ぶりに読書に浸っています。
書き手として読んだことが今までなかったので、好きなジャンル、好きな作家、読みたいものしか手を出してこなかったのですが、この読み期に「今までの自分だったら手を出さなかっただろうな」というジャンルにも手を出してみてます。
昔は結構色々読んでたんですが、そのときに「このジャンル読める」「このジャンル厳しい」という判断を中~高校生くらいでしてしまったがためにものすごく幅の狭い読書をしてきてしまったな、と思っています。
簡単に言うと「ミステリ」という名前の付いたものしか読んでない。
「ミステリ作家」が書いた他ジャンルなら読んでいる。基本そんな感じ。
あとは近代歴史もの。太平洋戦争付近のものはたまに好んで読んでます。山崎豊子さんとか。

で、「書くためにもうちょっと見分を広げよう」と思ったこと、そもそも中高生でした判断は今と違うだろうということを考えて、これからは色んなジャンルを読んでみようと思ってます。作家読みもしますけどね、7年分は溜まってるし。

そんな中で、まずは目下の目標である「ノベル大賞」へ向けて、「ライト文芸とは何ぞや」を知るために読みました、審査員でもある三浦しをんさん。
ライト文芸とはいったいなんなのか、知らずに出す「ノベル大賞」。
いや、一応定義としては調べてるんですよ。
・「ライトノベル」と「一般文芸」の間で、「一般文芸」に入るジャンルの一つであること。
・「キャラ文芸」とも言われて、キャラが立ってる話であること。

ただ、WEB小説の「ライト文芸大賞」の作品を読むと、上記のイメージよりかなりライト、というか、「少女小説」に近いものを感じたりしてました。「ラノベ」というより「携帯小説」に近いものと言うか。
最近出版される「ライト文芸」も表紙がかなり少女漫画よりの絵で、ラノベや漫画と見分けがつかなかったりもして(ライト文芸の走りと言われてる作品はもうちょっとデザインよりのイラストのイメージ)

ライト文芸って結局どんなのだろう、と思って、だったらライト文芸と言われてる作家さんを読もうと思って手にしたのが三浦しをんさんの「光」でした。

結論から言うと、思いっきり文芸でした。
全然ライトじゃない。寧ろ重め。
ちなみに有川浩さんもそう言われているのを知っていたのですが、読んだのが「ストーリーセラー」だったので「どこが?」と未だに思っています。
ライト文芸を書いたと言われる作家さんの重い小説を引き当てる率が高いのでしょうか。(感想にも、著者はこんな重いのも書くんですね、というのがあって、やっぱり違うんですね)

作家じゃなくて作品によるんでしょうね。素直にライト文芸と言われてる「舟を編む」「3匹のおっさん」「謎解きはディナーの後で」を読むべきでした。
「舟を編む」については表紙からしても完全に文芸(ライトじゃない)と思っていたので、これがライト文芸に分類されているのはちょっと意外なんですよね。そういう印象からの「光」だったので、やっぱり「ライト文芸ってなんだ?」から抜け出せません。

(リアルタイムに小説書き仲間の方のスペースで「舟を編む」はかなり軽いということを教えてもらいました。ありがたい。「光」がライト文芸だったらどうしようかと思っていたので)

それはそれとして、「光」が素晴らしかったです。
読書感想は別の場所で書いてるので内容については詳しく書きませんが、
「ヒューマンドラマとはこういうものだろう」というのを目の当たりにした気がしました。
「小説現代」の講評で指摘を頂いた
「惜しむらくは描かれているのが心理の説明止まりで、その先の情念、情感までは伝わってこず読後に残るものがない。」

(この話はこちらでどうぞ↓)

この指摘の答えがまさにこういうものなのだろうと思いました。私が書いてるものなんてヒューマンドラマと名乗るのも烏滸がましいと。本気でそう思いました。
ちなみに序盤はめちゃくちゃ苦手な感じで(子ども視点の性的な思想が本当に苦手)途中で無理かなと思ったんですがそこを乗り越えたら止まらなくなるほど面白かったです。
心理描写と言うか、個々の人間性の深みがすごく伝わってきて、「心理の説明の先の情念、情感」というのはこういうことなんだろうなと痛烈に感じました。

そんなわけで、「ノベル大賞(ライト文芸)」のために三浦しをんさんを読んだはずなのに、「ヒューマンドラマとはこう書くのだ」というのを教えられた気がして、今は凄く重めのヒューマンドラマが書きたいです。「幻日」も、この先に結果が出る作品二つも全然だめだ、としか思えなくなってしまった。

その流れで、ミステリではなくやはりもう一度ヒューマンドラマに挑戦したい。そうすると、今からだと3月31日締めの「小説すばる」を逃したら6月末までない。
なので、今のところ「小説すばる」、挑戦する方向で考えています。

これに送ることができたら、私の中で挑戦したいノンジャンル長編公募、残りはポプラと角川春樹しかなくなるので、一周してみるのもいいかなと思ったりしてます。

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