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エネルギー政策、逆転の発想

原発を廃絶してしまうことには多くの問題があり、反対の立場であったが、逆に無くすことで生まれるメリットはないか、考えてみた。

まず世界的に見ると、原発による死者数は、過去60年の間でチェルノブイリでの事故による59人、最大でも100人まで行かないとされている。
同じく基幹電力である火力発電所による死者数は、国連とWHOの発表によると、毎年100万人。過去60年だと、単純計算で6,000万人死亡している計算になる。これは大気汚染によるものだが、どれだけ誤差を見積もったところで、火力発電所のほうが比較にならないほど危険ということになる。

日本だけでいうと、原発の死者数は0。火力発電は毎年6千人という計算になるそうだ。火力発電の方は公式な発表ではなく、ざっくり計算によるものだが、世界的に100万人の死者が出ているなら、それくらいが妥当であろう。

原発を無くすということは、その分火力発電所を増やすということなので、
・大気汚染が増える。
・石油や天然ガスなどに依存する比率が高まる。
・火力のほうがランニングコストが高いため、電気代が上がる。
といったデメリットが有る。これら全ては死者数の増加に繋がる。

原発は、冷却用の大量の水が得られる海や湖・河川などの近くでないと建設できないため、場所は限定されてしまうが、上記の火力発電のデメリットを考えれば、原発の比率を極力増やすべきと考えていた。

しかし逆に、死者の増加を許容できるならどうか。それであれば原発は全廃できる。むしろ全廃することで大きな価値が出てくる。

「原発を世界に先がけて廃炉にした」という、環境ブランド価値が手に入る

日本の電力比率は、火力発電6:原発3:再生可能エネルギー:1、となっていた。※現在は国が法律を無視して原発を止めているため、火力が増えている。
原発を廃炉にした分の電力を補うため、火力発電は増えるが、割合としては、原発が担っていた3割分を増やしただけ。
それに比べ、「全原発廃炉」というのはインパクトが大きい。
環境対策においてはヨーロッパが先進的であるとされるが、彼らも原発に頼っている。そのブランドイメージを奪えれば、今後は環境先進国の日本の意見を尊重しようという流れになり、日本全体として大きな価値が生まれる。

廃炉のノウハウが溜まるので、他国の廃炉に際し、技術提供できる

これから、世界でもトップクラスだった日本の原発技術は廃れていくだろうが、廃炉にするためのノウハウは、間違いなく世界最高水準になる。すべての原発を片っ端から廃炉にするんだから。

他国も後を追うだろうが、そのときに、ダントツの実績を持つ日本に技術的な手助けを依頼してくることは間違いない。
外貨も稼げるし、廃炉を手助けすることで、環境先進国としての地位も確固たるものになるだろう。

空き地を有効活用できる

海や湖、河川など、価値の高い水資源を専有しなくて良くなるので、景観も良くなり、リゾート地やキャンプ場としての活用が期待できる。
日本の美しい自然がますます価値を高め、インバウンドも増えるだろう。

死者数の増加をどう考えるか

上記メリットと引き換えに、死者は増加する。火力発電を増やすことにより、大気汚染による死者は増えるからだ。3割を担っていた原発分を補うため、火力発電の比率を6割→9割に増加させると、単純計算で3千人程度、毎年の死亡者数が増えることになる。
これは、毎年1万人の死者が出ているインフルエンザよりもかなり少ない。そもそも日本人は毎年100万人くらい亡くなっているので、0.3%程度だ。誤差の範囲だろう。

だいたい火力発電所による大気汚染で死者が出てるなんて誰も思ってもいないし、マスコミが報道することもない(危険なのは原発ということにしたいから)ので、政治的にも問題ない。

それでも人命を重んじるなら、火力発電技術を海外、特に発展途上国に向けて輸出するのも手だ。
日本の火力発電所の発電効率は世界でもダントツトップで、2位のアメリカの倍以上になる。この技術を輸出しまくれば、毎年数万人単位で犠牲者を減らすことが出来る。日本で年に数千人の犠牲者が出るとしても、地球規模で考えれば、助かる命のほうが遥かに多い。
化石燃料にうるさいヨーロッパ辺りが反対しそうなら、無理にやらなくてもいい。

将来的には

そうしておいて、現在各国が研究開発中の第4世代の原発が完成したら、速やかに導入する。
第4世代の原発は、仕組み上、原理的にメルトダウンが発生しない。そのため、冷却用の大量の水も必要としないので、設置場所を自由に選べる。
また、現在のように大規模な発電設備を必要としない。トラック1台分くらいのスペースが有れば、一つの街の電力を賄えるそうだ。

これが実現すれば、電力の地産地消が実現する。
そのため、地方から伸ばしている送電線も、山の中に建てている鉄塔も不要になるので、メンテのコストがいらなくなるし、景観も良くなる。地方に迷惑施設を押し付ける必要もなくなり、協力金を払う必要もない。
もちろん、火力発電所も減らせる。

それまでの繋ぎとして、今ある原発を全廃し、火力発電を増やすのはアリだと思う。

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