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オンライン講座でルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を読みました

 2023年11月1日の夜7時半から、NHK文化センターのオンライン講座「文庫で味わうアメリカ文学」で、ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を読みました。以前、他の講座でこの本に収録されている短編「沈黙」を英語で読んだのですが、今回翻訳でも読めてとても良かったです。
 驚いたのは、受講生の大部分が、単行本の刊行時に一度読んだ、と言っていたことです。これはものすごく売れたんですね。そして今回二度目に読んでも大いに楽しめたとか。ただし、読み方は変わった、という意見がありました。
 一度目は面白いところ、おかしいところに目が行った。でも二回目はもっと深い部分、どうしても親に褒めてもらいたくて、それでもそうして貰えなかったり、親に触れることができて嬉しかったり、友達を求めて、それでもなかなかうまく繋がれなかったり、といったところが気になったという話が多かったです。
 しかも、それでも相手を責めるのではなく、むしろ愛を持って記述している、というところに注目している人も複数いました。確かに、こうしたところがベルリンの魅力なのかもしれません。
 僕は読んでいてやっぱり「沈黙」が切なかったですね。ようやくできた友達と行き違い、やがて別れてそれきりになる、というのは子どもにとっても辛いものです。自分も親の転勤で引っ越しが多かったので、読んでいて身につまされました。
 次回は12月6日で、マーガレット・アトウッド『青ひげの卵』を読みます。最近は本当に受講生の方々がどんどん意見を言ってくださって楽しいです。次も楽しみです。


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