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迷った時に、どうやって決めるべきか? ~『THE TEAM』の4つの表紙案から考える「意思決定の法則」~

拙著『THE TEAM 〜5つの法則〜』が4/3(水)に発売になります。(都内の主要書店では4/1(月)午後から並び始めるところもあるようです。)

大変有難いことに発売前からご注目頂き、Amazon書籍総合ランキング1位を獲得し、重版も決定、3万部を突破しました。

実は『THE TEAM』の表紙には4つの案がありました。

どれも良い表紙案で、私は迷いに迷いました。

4つの表紙案の中からどれを選んだかというプロセスを共有することで、「迷った時に、どうやって決めるべきか?」つまりは「意思決定の法則」をお伝えできるのではないかと思うので本記事を書きます。

●『THE TEAM』の表紙に込めたかった想い

編集者の箕輪さんと決めた『THE TEAM』の表紙のコンセプトは「時代と国境を越えて残る本」でした。

私は「7つの習慣」という本を大学生の時から愛読しています。人生で壁にぶつかった時、いつも「7つの習慣」を読み返して、その内容を実践することで乗り越えてきました。初めて読んだ時には、その内容がいまいち理解できなかった箇所も、様々な経験を積む中で自分の中に落とし込まれていきました。私は、「7つの習慣」と共に人生を歩んできたと言っても過言ではありません。

『THE TEAM』も、遠く離れた場所にいる誰かの人生に長く寄り添い、共に歩み続ける、そんな本にしたいと思っていたのです。そして、私が死んだ後も、ずっと世界中のチームを照らし続けるような本にしたいと思っていたのです。

「時代と国境を越えて残る本」というコンセプトに従い、箕輪さんとデザイナーの方に提案頂いた表紙の案は4つでした。

案①

案②

案③


案④

(箕輪さんから送られてきた順で並べました。)

見た瞬間に思いました、「4つともいい!」と。

意思決定はかなり速い方なのですが、この時ばかりは迷いに迷いました。

●第一の軸(選択基準)は「感情や感覚ではなく、科学や論理を表す色」

まず、最初に決めたのが表紙の色は「青」で行こうということでした。

現在の表紙をSNSにアップした時に「赤かと思っていたけど、何でだろう?」というお声を複数頂きました。

私が働いているリンクアンドモチベーションがコーポレートカラーを「赤」にしていたからだと思います。リンクアンドモチベーションはコンサルティング会社の中でも「モチベーション」という人間の「感情」にフォーカスしているため、「感情」を表す「赤」を使ってきました。

しかし、今回の『THE TEAM』のコンセプトは、「チームを精神論や経験則ではなく、科学的に解き明かす」「チームづくりを国語のような感覚的なものではなく、算数のような再現性のあるものとして法則化する」というものです。

「感情」や「感覚」ではなく「科学」や「論理」のイメージに近いのは「青」だと考えました。

また、今回の本は、これまで代表の小笹や私を含めたリンクアンドモチベーションメンバーが発信してきた内容とは違う新しいフレームワークやメソッドで構成されています。

『THE TEAM』を書くために、改めて経営学や心理学、社会学などの書籍を数十冊読み直し、誰もが使える法則へと再構築しました。

良い意味で、今までのリンクアンドモチベーションの本とは全く違う内容です。

リンクアンドモチベーションのイメージをアップデートする意味でも「青」が良いと思いました。

表紙を選ぶ上での第一の軸(選択基準)は「感情や感覚ではなく、科学や論理を表す色」=「青」となり、赤を基調とした案④が外れました。

●第二の軸は「NewsPicksBookらしい攻めた感じ」

箕輪さんは一緒に考えた「時代と国境を超える」というコンセプトと同時に、「NewsPicksBookらしい攻めた感じ」にしようと提案してくれました。

案③は洗練された印象でとてもカッコ良かったのですが、「攻めた感じ」というのが薄いように感じたので、候補から外しました。

●最後の軸は…

案①と案②は非常に迷いました。

案①はより目立ち、案②はより品格があり、一長一短でした。

箕輪さんに相談した際に言われたことは、

「表紙は、最後は麻野さんが決めよう。どちらでもいいものだから、麻野さんが売りたいと思えるものにしよう。」

ということでした。

自分一人では決めきれず、社内外問わず色々な人に相談をしました。

社外のメディアやマーケティングのプロの方々は案①の青と黄の目立つものを推される方が多かったです。

「やはり、書店で目立つのは黄色が入っている案ですね。」と言われました。

案①に心が傾いたのですが、それでも決めきれず(苦笑)、

最終的には自分の部門のメンバーを集めて多数決を取りました。

メンバーたちが選んだのは、プロの方々の意見に反して案②の青と白のものでした。

案②の方が案①よりも品があると思ったのかもしれません。

案①と案②で非常に迷ったのですが、最終的には案②を選びました。

その時の私の軸は

「みんなが本を届けたくなる=意思決定後の実行力が高まる」

というものでした。

ここまで私が迷うということは、どちらを選んでも50:50くらいのメリット・デメリットがあるということなのかな、と。

その場合、どちらのデザイン案が良いかということだけではなく、意思決定した後の実行力が高まるような選択をすべきだと考えました。

結果として、みんなが選んだ案②にした方が、メンバーたちがその本をお客様や知り合いに広めたい、届けたいと思ってもらえて、実行力が高まるのではないかという結論に至りました。

案②に意思決定した時に、部門のメンバーたちにメッセージを送りました。

この瞬間に、『THE TEAM』は僕と編集者の箕輪さんや幻冬舎山口さんの本から、リンクアンドモチベーションのメンバーたちの本になりました。

見本が完成した時もメンバーに共有したら、とても喜んでくれました。

案①②③④がデザインとしてどれが一番良かったのか、それは未だに私にも分かりません。

どれも素晴らしいものだったので、もしかしたらデザインそのもので結果は大きく変わらなかったかもしれません。

しかし、案②をみんなで選んだことにより、その後リンクアンドモチベーションのメンバーたちの本を広める行動に大きくドライブがかかったことは疑う余地がありません。

メンバーたちの本を広める行動について、ワンキャリア執行役員で「転職の思考法」「天才を殺す凡人」の著者である北野唯我さんはこんなnoteを書いてくれました。

決めた後の実行部分まで含めて考えると、今回は非常に良い意思決定が、表紙についてできたと思っています。

ちなみに、『THE TEAM』にはこのような集団的意思決定のセオリーが「Decision(意思決定)の法則」としてまとめられています。

『THE TEAM』は4/3(水)発売、都内の主要書店には4/1(月)午後から並び始めるようですので、興味を持って頂いた方は是非お読み頂ければと思います。

また、4/2(火)の朝渋(7:30-9:00)で、サイバーエージェント取締役曽山さんと意思決定について対談します。

若いうちからリーダーを目指す人は、早めに「意思決定」について学んでおくと、キャリア形成にプラスに効いてくると思います。

まだ若干席が空いているようなので、是非お越しください!

最後になりますが、こんなにも迷うほど素晴らしい表紙案を4つもご提案下さったトサカデザイン戸倉さん、本当に有難うございました!

『THE TEAM』の表紙、最高に気に入っております!

※4/1(月)午後もしくは4/2(火)から都内では、4/3(水)から書店に並ぶようなので、もしも見かけたら、表紙がどのように見えるか知りたいので#THETEAMで共有頂けたりすると、とても嬉しいです!

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