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暗闇の話。


暗闇は恐ろしいイメージがあるけど
私にとっては優しいものでもある。

何故かというと
どうしても見たくないものを
さっぱり隠してくれるから。

寂しいとき、ぎゅうぎゅうと
まるで柔らかい毛布のように
体を温めてくれるから。

いくらでも奥行きを生んで
細く伸びた架空の希望をちらつかせ
気持ちよく酔わせてくれるから。

弱い自分を包み隠してくれる
都合のいいベールだから。

だから、暗闇と共にいるとき
私はひどく安心してきた。

でも、だからこそ暗闇から
早く脱したいとばかり考えていた。

暗闇の中にい続けることが
とても弱いことに思えて
甘えながらも、実は苦しかった。

陽の光の中で涙を流すなんていう
あからさまな苦しみに浸っている方が
まだマシだった。

暗闇の中で涙ひとつ流さない時間の方が
よっぽど格好悪かった。

だから、自分の中に眠っている
暗黒な部屋にも鍵をかけた。

陽の光の中だけで生きていくことを
私は自分自身に課し続けた。

でも、ある日ふと思ったのだ。

どうして夜があるのだろう。

自然の摂理の中に
どうして夜という不便な存在が
溶け込んでいるのだろう、と。

そうして気づいたのだ。

それは、夜が必要だからだ、と。

大きな夜の中で
人々が体を休ませる時間が
自分を慰める時間が
一人で悲しみに浸る時間が
本来必要なものであるからなのだ、と。

そう思うと、ようやく自分の輪郭を
取り戻せたような気がした。

初めて酸素を体の奥深くまで
取り込めたような気がした。

昼と夜を永遠に行き交う「時間」のように
私の心も光と影を溶かし合いながら
今を生きようとしている。

一番いけないことは
昼間ばかりを食べ続け
自分の闇を葬ってしまうこと
なのかもしれない。

暗闇は必要なのだ。

あなたの夜は、必要なのだ。



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Koji ( コジ )

「文学 × アート」をモットーに書いたり描いたり作ったりするマルチアーティスト。手作りブックカバーのお店「心象風景」店主。小説、イラストエッセイ、ブックカバー店のあゆみなどを残しています。HPはこちら👉https://koji-bookart.jimdosite.com/

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