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ドライブレコーダーの映像は証拠にならない?-とても役立ってます!

こんにちは、筑豊の弁護士、藤岡です。

今日はドライブレコーダーについてのお話しです。

最近ドライブレコーダーを搭載している車両が増えてきました。

私の事務所では交通事故案件も数多く扱っておりますが、事故の状況をドライブレコーダーの映像で確認することもよくあります。

このドライブレコーダーですが、ネット上には「ドライブレコーダーの映像は証拠にならない」といった記事も散見されますが、そんなことはありません。

交通事故時の示談交渉や裁判の際に、事故状況を示す重要な証拠として大いに役立っています。

こんなところで役立つドラレコー過失割合

たとえば、交通事故案件でよく争点となる過失割合を例にとって考えてみましょう。

(1)過失割合とは?

過失割合とは、交通事故における過失の程度を割合で表示したものです。「この事故の過失割合は6:4だ」などと表現します。

過失割合に応じて、相手方に請求できる金額が変わってきます。こちらの過失が大きくなれば相手方に請求できる金額は少なくなりますし、相手方からの請求額も大きくなります。

人身事故、特に重い後遺障害が残ってしまったような事故の場合、過失割合がちょっと変わるだけで請求金額が数百万、数千万変わってくることもよくあります。

(2)過失割合はどうやって決まるの?

過失割合は、事故の状況・態様によって決まります。つまり過失割合を決定するにはその前提としてどのような事故状況だったのかを認定しなければなりません。

この事故状況を認定することができれば、過失割合についての争いはほとんど終わったも同然です。というのも「別冊判例タイムズ」で主要な事故類型についての過失割合の基準が整理されているので、どういう事故かが分かればだいたい一定の範囲に収まってくるからです。

しかし、過失割合の前提となる事故状況を認定するのがとてつもなく難しいのです。

証言・供述で事実を認定することは難しい

事故車に残されたキズや路上のブレーキ痕などから事故状況を再現できるケースもないではないですが、いつもできるとは限りません。

これまではもっぱら運転者や同乗者、事故の目撃者の証言・供述が事故状況を認定するための証拠として用いられてきました。

しかし、この証言・供述は証拠評価がとても難しいんです。

(1)人は見間違いをする

人は見間違いをすることがあります。特に夜に発生した事故の場合、車や歩行者の動きを正確に視認することは困難です。

また、事故は一瞬の出来事ですから、その一瞬の出来事を正確に視認すること自体、そもそも人間には困難です。

(2)人は忘れる、記憶を混同する

時間の経過とともに人の記憶はどんどん薄れていきます。事故が発生してから裁判で証言・供述を求められるまでかなりの期間が経過するケースもまれではありません。

数ヶ月以上前に起きたほんの一瞬の出来事を正確に記憶し続けるのは至難の業です。

また、他から得た情報と混同してしまうこともあります。

こうした記憶の減退や混同に本人自身気づくことができないこともあります。

本人が自信満々に「よく覚えている」と主張していても、そのまま採用されるわけではありません。

(3)人は嘘をつく

自分に有利なように意図的に嘘をつく人だっているでしょう。

このように証言・供述は「人」という非常にあやふやで頼りないフィルターを経て得られるものです。

したがって、当事者が言っているからそういう事故状況だったんだろうと直ちに認定するわけにはいかないわけです。

(4)当事者の証言・供述はたいてい食い違う

さらに事実認定を困難にさせる事情があります。

それは事故態様に関する当事者の証言・供述はたいてい食い違うという事実です。

自分の信号は青だった、いや、自分の方こそ青だった。
交差点での出会い頭の事故で、一時停止した、いや、していなかった。
相手が急ブレーキを踏んだ、いや、踏んでいない。
後続車に煽られていた、いや、そんなに接近していなかった。

こんな感じで証言・供述はたいてい食い違います。

そもそも証言・供述自体があやふやで頼りないものですから、食い違うのも当然です。

証言・供述が食い違った場合、相手が間違っているのか、自分が間違っているのか、それとも二人とも間違っているのか、分析・評価しなければ事実認定はできません。

証言・供述による事実認定の難しさはおわかりいただけるのではないでしょうか。

ドライブレコーダーの映像は客観的

ドライブレコーダーの映像は「人」が介在しない客観的な証拠です。その分、証拠としての価値は証言・供述よりもはるかに高い。

当事者の証言・供述とドライブレコーダーの映像とが食い違う場合、よほどのことがない限り、裁判官はドライブレコーダーの映像の方を信用するでしょう。

衝突の瞬間や周囲の車両の動き、車両の速度や位置関係、信号の色などいろんな情報を客観的な映像として記録してくれます。

人が証言・供述する場合にはこうはいきません。

ドライブレコーダーがあれば素早くトラブルを解決できる

こうして、ドライブレコーダーの登場によって事故状況の認定が格段に正確にかつ素早く行えるようになりました。

ドライブレコーダーを搭載しておくと事故状況の認定がスムーズに進みますから、過失割合についてもスムーズに解決することができます。その分、賠償金の支払いのタイミングも早くなります。

他方、ドライブレコーダーがなければ、訴訟を提起して双方を法廷に呼んで証人尋問・本人尋問をして、証言・供述を詳しく分析して、事故状況を認定して、そこから過失割合を・・・、という具合に、比べものにならないくらいの時間と労力がかかってしまいます。

交通事故トラブルを正確かつ早期に解決したい人には、ドライブレコーダーは絶対おすすめです。

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