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中国人の人づきあい

◆老板(ラオバン)経営

私が中国に駐在をしていたころ、付き合っていた中国人は、経営者や企業のマネージャークラスが多かったんですが、彼らの商習慣・考え方とかマインド、ビジョンで面白いなと思ったのは、「老板経営」です。

中国企業って日本企業以上に、老板(社長)が絶対だと思っている人が多いんです。「ボス」が絶対!みたいな。老板が言った通りに伝えなきゃいけないし、たとえマネージャーであっても「老板の意向だ」とかなり強気で交渉してきます。

その時に、こちらも強気で正面から交渉してしまうと、上手くいきません。

僕は強気のマネージャーにでも、すぐ「お昼ご飯食べに行こうよ」って誘っちゃうんです。
その後、すかさずSNSのWeChatでお友達になってしまいます。
昼を一緒にとって会話すると、「なんだこの日本人いい奴じゃないか」みたいになり、本当の友達になれることが極めて多いです。
老板の命令があるから買い付けのときは強気ですが、プライベートでお互い分かり合えると、仕事もスムーズに進められることが多いように感じます。

だから僕、”お昼ご飯作戦”はどんな人・小さな販売代理店でも絶対決行したんです。
中国のお昼ご飯は基本的に安いです。(日本食は高いですが…)1000円とか2000円くらいご馳走してあげて、一緒に同じ釜の飯を食ってですよ、互いのことを知った後は、心が広くなるというか、優しくなれるというか、日中友好というか(笑)

「友達だろう?(笑)」みたいにお互いに交渉を進められるようになります。日本にはあまりない感覚だと思います。僕は、それでいろいろな場面でとても助けられたんですね、中国人に。

◆要望と希望のキャッチボール

ビジネス用の固いお面を取り払って、互いにプライベートな話をして、襟元を開いて何かを伝えるって言うのが第一歩。
彼らもね、どうしてもできないことは「老板が絶対ダメって言うんだよね」って教えてくれます。

こっちも、「友達対応でやってもらったから、今回は折れて、そっちに従うよ」って、要望とか希望のキャッチボールをきちんとできる人、その関係性があれば、細々とでも長くビジネスを続けていけます。

日本人の良くない慣行というか…「今度ゴルフいきましょうとか」って言っても、何年も行ってないみたいな、社交辞令的な挨拶って多いと思います。

中国人はご飯に誘ったら、基本は断らないし、本当に実現させるんですよ。
春ごろに、ある老板が「秋に上海蟹を食べに行こうね」って言ったら、時期になると陽澄湖(ヤンチャンフ)に行こうって実際に迎えに来てくれる。
たとえステークホルダーでなかったとしても、一緒に乾杯をするんです。

お互いに社交辞令で済まさない、人と人との関係を築こうとする中国的な考えは素晴らしいと思うし、僕はそういうことを今でも大切にするようにします。

同じことを日本でやると、「アナタはものすごく行動力ありますね」みたいに変わったもの扱いされますが、どこの国でも結果を出していくのはそういう人なのではないかと僕は思うのです。

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