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かわいいおじさん


昨日は,整備の話だったけれど,今日は僕の大好きな板金屋さんのはなしです。それは僕が初めて免許を取って,初めての車、’75年型の緑色、いや,かえる色の2馬力を運転し初めて間もない頃の事,方向転換していたら,一本のくいに,緑色のポッペがぺこっとヘっこんでしまいました。それで、近所の中山自動車さんに直してもらったのです。全く,あの時はショックでしたが,それは奇麗に仕上げてくれました。中山さんとはそれ以来のおつきあいです。中山さんはもう70歳になられると思いますが、なんとまあ、すばらしい、おじさんだなぁといつも思っています。何時行っても,ニコニコしていますし,誠実を絵に描いたようなお人柄,うちの長男を連れて行ったときは,おじさんの話に感動した,彼はおじさんの下で,働きたいと言いました。僕もおじさんの前に出るとなんだか,悪い事を白状しちゃいそうです。(でもそんなに悪い事はしていません。)どんな小さな嘘もおじさんの前では言えない感じです。おじさんに刑務所を回ってもらったら,きっとみんな悪い事を白状すると思います。本当にいいおじさんなのです。そのおじさんが、数年前に,コンピューターでペイントをする機械を購入しました。それで,僕の2馬力にペイントをしてもらう事になりました。ちょうど,個展を開催するところでした。一緒に展示するといいと思いました。4本のノズルからインクジェットプリントのように塗装されて行きました。そして最後にダイヤモンドというクリアーを塗装するのです。僕の最初、チャールストンだった,2馬力は奇麗なプリントをした2馬力に生まれ変わりました。ヨーロッパではこういう2馬力はよく目にしますが,さすが,日本ではあまり見る事がありません。沢山の視線を集める事となりました。最初は運転しているとよく,視線を感じたものです。銀座等を走っているとよく外国の方がたが素敵だという合図をしてくれます。あれから,もう5年以上,時がたっていますが,塗装は,外で,雨ざらしなのにそれほど変わっていません。たいしたものです。先日,その2馬力でおじさんの工場へ行くと,おじさんが出て来て,埃にまみれていた,僕の2馬力を見ると,奇麗にふき始めました。そうしてDizzy Gillespieのロボットが描かれている,ボンネットを嬉しそうに磨きながら、『これ,かわいいなぁ,』と言っているのです。すると横で、おばさんが、「お父さんは,犬でも猫でも,何でも,かわいいって,言うんですからねぇ』と言いました。僕は車を汚していて,すごく,申し訳が無い気がしました。僕はこんなおじさんを本当に尊敬します。こういう人になりたいですね・・・。

2006年12月19日1時49分

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