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人生を一変させる瞬間を迎え入れるために、あなたの感受性のアンテナは立っているか。

すっかりご無沙汰してしまいました。

お盆の期間、長野にロングトレイルに行こうと思っていたものの、先日フットサル中に足の甲を怪我してしまったので無理はしないことに。不運なことは重なるもので、macが水没したってこともありましたし、「これはもう仕事するなってことだな」と割り切って(というか、ふてくされて)、ゆっくり自分の来し方行く末と向き合う時間にしていました。

先日、「転機のタイミングではしっかり自分と向き合うことが大事」とnoteで書いたことを実践したってわけですね。


その結果、だいたいの方向性は見えてきた気がします。具体的なことは、またあらためてnoteでまとめようと思いますが、今回紹介したいのは、自分のこれからを考えるにあたって僕が大切にした「エピファニー(epiphany)」という言葉。

村上春樹さんが『職業としての小説家』という本のなかで、「平たく言えば、『ある日突然何かかが目の前にさっと現れて、それによってものごとの様相が一変してしまう』という感じ」だと説明しています。

たとえば村上春樹さんで言えば、神宮球場で行われたデーゲームをビールを飲みながら観戦していて、トップバッターのデイブ・ヒルトンが二塁打をはなったその瞬間になんの脈絡もなく「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない」と思った…と。こうした、天啓のようなものがまさに「エピファニー」です。

「エピファニー」の瞬間は、誰にでも訪れるともいえるし、でも一方で、その来訪に気づけないこともあるのではないかと思います。

僕も思い返せば、「この仕事、やってみたいな」「この人とすごしたいな」「この場所にいたいな」という、理屈も脈絡もない、突然の感覚にうちぬかれたことがありました。

たとえば高校2年生のころ、オープンキャンパスに行ったとき。都内のいくつかの大学をまわったのですが、池袋にある立教大学のキャンパスに行って、まさにうちぬかれたんですね。「自分はこの大学に行くんだ」と。「行きたい」じゃないんです。もう、この大学に行く自分以外考えられなくなってしまった。

偏差値でいったら、もっと上の大学を目指したほうがいいとか、公立に行けとか、まわりからはいろいろと言われましたが、僕の中では、もう理屈じゃないんです。なんだかわからないけど、ものすごくあのキャンパスの雰囲気に惹かれている自分がいた。

結果、立教大学に無事入るわけですが、あのオープンキャンパスでうちぬかれた感動は、今でも僕のなかに残っていて、ちょくちょく池袋のキャンパスを訪れては、「やっぱりいいなぁ」と思っています。

そんな「エピファニー」ですが、大人になるにつれて、そんな瞬間が訪れても、あとづけできる「理屈」や「脈絡」を探すようになってしまった気がします。

「たしかにこの仕事にわけもなく惹かれるけれど、よく考えてみよう。これまでの自分の経験でできるのか?ちゃんと稼げるのか?社会的な信用はあるのか?」

「たしかにこの人にわけもなく惹かれるけど、自分とは釣り合ってないんじゃないか?」

そんなふうに考えるうちに、天啓のように手のひらに降りてきる「エピファニー」のあたたかい感覚はなくなってしまうんです。思えば、僕はそんなことをくりかえしてきた気がする。

もちろん、人生について考える上でさまざまな選択肢やリスクやつじつまを考えることも大切です。でもそうすることで「エピファニー」の感覚が失われてしまうのは、すごく寂しいことだと思うんです。

そうだな、たとえるなら、これから大切な存在になるはずの人が部屋をコンコン、とノックしてるのに、自分はその音に気づけないで、その人もその場を去ってしまうような。

そう考えると、寂しい気がしてきませんか?

だから最近僕は、自分にとっての「エピファニー」の瞬間を探してたんですね。探そうとして見つかるようなものでもないと思うんですが。

でも思うに、「エピファニー」の瞬間は何歳になっても、誰にでも訪れるんじゃないか、という気がします。それは今日、ランチでエビフライを食べているときかもしれないし、帰りに自転車をこいでるときかもしれないし、おしっこをしてるときかもしれない。

ただ、それを迎え入れることができるかは、その人自身にかかっている。

「かっこいいな」「素敵だな」「おもしろそうだな」「美しいな」。そんなことに気づける感受性のアンテナが立っていることが必要なんだと思います。

「自分の感受性くらい、自分で守れ。ばかものよ」という、茨木のり子さんの詩のことばがあります。自分の感受性を、自分で守ること。それが、「エピファニー」を迎え入れることにつながるはずです。ばかものにはなりたくないものですね。

それでは、また明日。

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