当たり前の「家族」がなくなるなかで「人間つら!」にならないために、愛のある関係性をつくるということ

「生きていても、いいんだよ。おまえは……生きていても、いいんだ。本当に、生きていても、いいんだよ」
(『永遠の仔 第5巻』天童荒太 314頁)


生きていてもいいんだ、とたしかめ合える関係性


2年前にフリーランスになって以来、いろんなことをやっています。

キャリアや生き方について語る対話の場づくりだったり、キャリアカウンセリングだったり、企業の求人記事づくりのお手伝いだったり。先日は、「アイドルと人生」を語るライブ配信をやったりしました。(なんだそれ)

いろんなことをやってるから、たまに「自分は何者なんだっけ?」ということがわからなくなることもあったのだけど、最近、何かの拍子に、大学生の頃に読んで深い感動を覚えた『永遠の仔』の一節がふとおりてきました。それが冒頭の言葉。

そうか、僕は「生きていてもいいんだ」ということを、目の前の人と確かめあいたいんだな、と。

むずかしい言葉で言えば、「親密圏」をひとつひとつつくっていきたいんです。

親密圏とは、斎藤純一さんによれば「具体的な他者の生への配慮/関心を媒体とする、ある程度持続的な関係性」です。

まじでむずかしいので、僕は「言葉や身体的な関わりを通して、生きていてもいいんだ、とたしかめ合える関係性」くらいに考えています。もっとざっくり言っちゃえば、「愛のある関係性」ですね。


親密圏の空洞化


こうした「愛のある関係性=親密圏」をつくることが、なぜ今必要になっているかと言えば、これまで親密圏の役割を担っていた「家族」のあり方が大きく変わりつつあるからです。

皆さんご存知(…なのか?)「日本昔ばなし」のエンディングで、

「おいしいおやつに ほかほかごはん こどもの かえりを まってるだろな」
「みんなでなかよく ポチャポチャおふろ あったかい ふとんで ねむるんだろな」

と歌われたように、「家族」は「言葉や身体的な関わりを通して、生きていてもいいんだ、とたしかめ合える関係性」、つまり親密圏の役割を担っていました。(人間ていいなー!)

しかし、その「家族」のあり方が変わりつつあります。

平成 29 年6月1日時点の厚生労働省の統計調査では、日本全国の世帯総数 5042 万 5 千世帯のうち、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が 1489 万 1 千世帯(全世帯の 29.5%)、「単独世帯」が 1361 万 3 千世帯(同 27.0%)、「夫婦のみの世帯」が 1209 万 6 千世帯(同 24.0%)となっています。

ただ、現在主流である「夫婦と子」からなる世帯は2050年には少数派になり、単独世帯が約4割を占めて主流となることが予想されています。

これはつまり、こういうこと。

家に帰っても、おいしいおやつも、ほかほかごはんも待ってない。そもそも待っている人もいない。ひとり寂しくお風呂に入り、冷たい布団で眠るんだろな。
的状況の方が、たくさん増えるかもしれないのです。

えー!人間つら!!

もちろん「いや、ワタシはそれでいいんだよ。ひとりで生きていくんだよ。」という方もいるでしょう。でも、「愛のある関係性」がないまま生きていくのは、僕はつらいんですよね、正直。


愛のある関係性=親密圏をつくりはじめた人たち


一方、これまで当たり前だった家族のかたち(近代家族)が空洞化していく状況を受けて、新しい親密圏を自分たちでつくろう、という動きも、あちこちで生まれています。

たとえば、0歳から60代まで、60人のクリエイターが「ともに暮らし、ともに働く」意識で繋がる「拡張家族」である「Cift」

1984年に設立された、北海道浦河町にある精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点「べてるの家」も、新しい親密圏としてとらえることができると思います。

2008年より、港区と慶應義塾大学が協働して運営を続ける、子ども、大人、高齢者、住民や在勤・在学の人、誰もが自由に出入りできる地域のコミュニティづくりの活動拠点「芝の家」

HITOTOWAさんが取り組んでいる、近くに住む人々の信頼関係づくりを通して、防災減災、孤独な子育て、独居老人の増加、環境問題など都市におけるさまざまな課題を解決する「ネイバーフッドデザイン」も、まさに近隣の方との新しい親密圏づくりの取り組み。

他にもいろいろあると思います。(ご存知の方は、ぜひ教えてください!マジで!!)

これらの事例のように、「愛のある関係性=親密圏」は、近代家族のように当たり前に存在しているものから、自分たちでつくっていくものに変わってきつつあるように思うのです。

…そんなんめっちゃむずいやん。って思いますよね。だからこそ、僕は対話の場づくりなどを通して親密圏をつくるサポートをしていきたいと考えています。たとえば、家族会議のファシリテーションとか。

そのためにはカウンセリングやファシリテーション、システムコーチング、NVC、LEGO®SERIOUS PLAY®、オープンダイアローグ など、活かせそうな方法論がたくさんあって、もりもり勉強しないといけないのですが。


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今日は、生きていてもいいんだ、とたしかめ合える関係性をつくる、ということをお話しました。

家族や親密圏ということの探求じたい、ひとりではなくて同じ思いを持った方や、コラボレーションできそうな方と取り組んでいきたいと思っているので、「共感した!」「なんか一緒にできるかも!」という方は、ご連絡いただけると嬉しいです。

では、たぶんまた来週!


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山中康司

家族の風景

あたらしい家族のかたちについて考えるマガジンです。
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