ひとり旅が鮮やかになった、尾道の朝

そうか、こういう世界があるのか。

尾道水道の夜明けを眺めながら、こんな色合いをひとりじめしていることに達成感を覚えていた。

初めてのひとり旅は21歳・大学4年生の夏のこと。なぜ旅に出ようと思ったのかは忘れてしまった。普段と違うことをしたくなったんだと思う。当時は部活漬けだったので夏休みは5日間しかなかったが、そのすべてをひとり旅にあてこむことにした。

とはいえ、どうやって予定を立てたらいいか、わからなかった。とりあえず広島に行ってみたかったので、牡蠣を食べることと厳島神社に行くことを中心に据えてみる。それだけでは5日も埋まらないので、あれこれ調べて、「湯田温泉〜秋芳洞〜厳島神社〜尾道」という旅程を組んだ。

見たいところはたくさんありそうだから、あとは現地で適当にやろう。

尾道入りしたのは4日目。初めてのひとり旅、最後の夜。
ホテルの部屋でひとり、あれこれ振り返る。

ねえ、適当に、だなんてちょっと大人ぶってたよね。

夜ご飯を食べる場所はあれこれ思い悩んでしまったし、尾道のホテルまでは迷子になりかけて不安だったし、実際には緊張の連続だった。

でも、だからこそ、思い切って飛び込んだ小料理屋さんで話に花が咲いたことや、旅館の女将さんの丁寧なおもてなし、汗だくのわたしを見かねて制汗パウダーをくれた尾道の人のやさしさ、他にもいろいろ、ぜんぶわたしに染み入ってきた。

ひとりでいるはずだけど、結局、人のあたたかさを感じている。でもこれは、ひとりで来たからこそ際立って、見つけられた感覚だと思う。

まだ暗いうちから、刻一刻と変わる空の色を眺めつづけて、いろんなことに思いを馳せる。でもその中で、ひとり旅という新しい概念だけは、ひときわ色鮮やかだった。

なんだか、いいもの見つけちゃったな、これは。

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こけちゃん

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