ワーキングメモリを鍛える

ワーキングメモリは脳内で情報処理を行うための「作業場」としての役割を担う脳の機能だ。一時的に物事を記憶する短期記憶とも関係があるが、ただ単に情報を記憶する「貯蔵庫」なのではなく、会話や計算、推理など、貯蔵した情報を操作するための「作業場」としての役割を持っていると解釈する方が良い。

ワーキングメモリは簡単に言うと人が作業するときの机の広さのことだ。机が広ければより多くの資料を置けるし、作業自体もスムーズに行えるようになる。パソコンで例えるならメモリのことだ。

ワーキングメモリは脳の処理能力や短期記憶に関係している。また、うつ病の人はこのワーキングメモリの機能の中で、更新機能というものが低下していることが知られている。更新機能とは、ワーキングメモリの中で不必要な情報を新しい有意義な情報に置き換える能力のことだ。

必要以上に悩んでしまう人や、余計な心配をしてしまう人がいるが、それは狭い机で複数の作業を同時ににやっているという状態でどれも片付かなくなって悩みが消えていかないからだ。その状態を改善するためにはまずは机を広げること、つまりワーキングメモリを鍛えることが大事になってくる。

・ワーキングメモリを高めるメリット

①集中力が上がる

集中力が削がれる環境で作業しても集中力が保ちやすくなる。

②ストレス耐性が上がる

緊張感も低下し、不安や心配性にもなりにくくなり、考えすぎて思い悩むことも少なくなる。

③対人コミュニケーション能力が上がる

素早い判断が必要な場面ほどワーキングメモリの高さが重要になってくるのでよりスムーズなコミュニケーションが取れるようになる。

③何かを身につける能力が上がる。

学ぶことなどが長続きしない、身につかないことの対策につながる。何か新しいことを学ぶ以前に、ワーキングメモリを鍛えておくと学ぶ効率がアップする。問題を読み解く力が上がり、本を読む速度も上がる

・ワーキングメモリ機能を高める方法

速歩きの散歩

脳内に脳由来神経成長因子が分泌されて、新しい神経細胞のつながりができる。海馬も活性化するので記憶力向上にもつながる。

舗装された道だけでなく、山道など、足場の悪いところを歩くのも効果的で、ワーキングメモリ機能を高める。

Dual-N-Back課題に取り組む

無料アプリでゲーム感覚で取り組むことができる。アプリ名は

「DNB-15分IQアップ脳トレゲーム-」

Androidとiphoneのどちらでもダウンロードとプレイが可能だ。

このDual-N-Backを1日15分を15日間やって、上達した人ほど不安が激減し、リラックスしている状態になったという結果がある。

筆記開示

頭に思い浮かんだ悩み事や不満をひたすらノートに書きなぐる方法。緊張感やメンタル安定化、睡眠の質の向上にも効果がある。

瞑想

瞑想により脳機能を整えるとワーキングメモリ機能も向上する。

・まとめ

ワーキングメモリを鍛えれば何かを身につける能力も上がり精神面も強くなり集中力も上がる。特に不安感が減少したり、コミュニケーション能力が上がるという点でうつ病の人の能力アップにはワーキングメモリを鍛えることは非常に有効だと考えられる。

追記:ワーキングメモリ機能は脳内の海馬という部位が担っています。海馬は何歳になっても鍛えることができ、成長します。また、海馬は脳の前頭葉など、他の部位にも繋がっているので海馬を鍛えると他の部位も活性化され、論理を司る前頭葉の機能も向上し、他の部位にもいい影響を与えることができます。

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