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大切な人のために、学ぶこと

数年前から、父に認知症の症状が見られるようになった。
私は、以前のように色々な話が出来なくなっていく父を見ているのが辛く、長い期間、この現実を受け入れることを拒み続けた。父自身も、自分の中で起きている変化を認められず、アルコールを摂取することでその恐怖から逃れるようになっていった。認知症の症状、お酒を飲んで取り乱す父の姿。父に起きた様々な変化は、家族の関係をどんどん複雑なものにしていった。

あれから数年が経ち、アルコール依存症の診断を受けた父は現在、長期間の断酒に成功し、あの頃とは比べものにならないくらい落ち着いた生活をしている。

今私は、LGBTQ+*のアライ*であるために、少しずつだが学びを進めている。私がアライになりたいと考えるようになったのには、父の存在が大きく影響している。小学3年生の冬、私はひょんなことから、父がゲイであること、そして本人がそれを隠して生活していることを知った。まだ幼かった私には、父の秘密を知ってしまったこと、そして父が、母以外の性を性愛の対象と見なしているという事実をひとりで飲み込むのに、とても長い時間がかかったことを今でも記憶している。

父の秘密を示す当時の出来事を辿ると、私にはあの頃の父が、日々孤独を感じていたように思えてならない。ずいぶんと大人になった今、あの頃の父の気持ちを思うと、切なさで胸が苦しくなる。もちろん、父が私にカミングアウトしたかったかどうかなんて、本人にしかわからない。けれども、驕りかもしれないけれども、あの頃の父の孤独を、閉塞的なコミュニティで生きていくことの難しさを、私が少しでも受け止められていたらと考えずにはいられない。もうあの頃には戻れない現実に、悲しみがこみ上げてくる。

記憶から過去が消えつつある父の背中を見ながら、孤独や偏見に苦しむLGBTQ+当事者に寄り添うために、今の自分に出来ることをしていこうと心に決めた。LGBTQ+に関する正確な知識を身につけ、自分の中のバイアスと戦い続ける。そして、行動していく。このnoteで、LGBTQ+アライに関する情報を、少しでも多く共有していければと思う。

----------------------------------------------------------------------------*LGBTQ+ : LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエッショニング or クイア)を含む、多種多様な性的指向の総称として、このnoteでは「LGBTQ+」という名称を使用します。

*アライ(Ally):LGBTQ+当事者を支援する人。主にストレートの支援者を指すことが多い。


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