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BtoB向けSaaSのCS担当者が集うLT会に行ってきました | #BSCS #5 イベントレポート

先日、Reproさんが開催されたBSCS第5回に参加して御話を聴いてきました。イベントURLは以下の通り。

登壇者の方

以下の方が発表されてました。

・(株)カヤックLiving 高垣 陽子さん
・(株)ビービット 礒野 亘さん
・りらいあデジタル(株) 齋藤 有登さん
・Hamee(株) 甲斐 愛佳さん
・(株)ロックオン 渡辺 真子さん
・(株)Synamon 武井 勇樹さん
・(株)ベーシック 塚本 雄介さん
※司会:Repro(株) 駒谷 徹さん

そもそもどういう会なのか

BSCSはその名の通り、BtoB向けSaaSに関わるCS担当者のためのLT大会です。

ひとくちにSaaSといっても、プロダクトの性質によって顧客のサクセスは違ってくるので、色々なSaaSに関わる方の体験をインプットすることは非常に重要だと思います。そういう意味で、LT会はとてもいいイベント。

前段では、Reproのコミュニティ運営についてのお話がありました。すでに参加人数が約1,000人に到達されていて、ユーザーがイベントを主催してくれることもあるとのこと!
最悪Reproの担当者さんが風邪引いてても回るそうです笑

尚、オンラインコミュニティはfacebookよりslackがオススメなのだそうです。理由は、大企業だと仕事中にfacebookを開いていることがマイナスに働きやすいから。

たしかにfacebookやtwitterは、私的なSNSというイメージが強そうです。堅い企業だと、facebookを開いていると遊んでいるように見られる可能性もありそうですね。貴重なノウハウ。

【LT1】(株)カヤックLiving 高垣 陽子さん

カヤックLivingは面白法人カヤックの100%子会社で、地域と住みたい人をつなぐSMOUTというサービスを運営されているそうです。

もともとCSチームが存在しなかったところから、どう啓蒙し、立ち上げていったかについてお話いただきました。

非常に面白かったのは、ユーザーと一緒にブレストを行うという点。カヤックにはブレスト文化があり、以下の決まりがあるそうです。

・結論を出さない
・自由奔放
・質より量
・結合、便乗、連想
・自分が面白いか

そもそもこの考え方自体結構好きですね。ユーザーと一緒に実施する際にも、上記に則って進めるとのこと。

「ご挨拶」や「提案」という形でお会いすると、お互い構えてしまいますし、お客様側が"教えてもらう"というスタンスになってしまいます。

ユーザーの事業のプロはユーザー自身なので、我々が全てを教えるのではなく、共創していきたいところ。一緒にブレストは、そうした共創に最適と思えます。

【LT2】(株)ビービット 礒野 亘さん

ビービットはUXデザインコンサルティングを行いつつ、UX改善を支援するクラウドサービスも複数提供されています。

今ある業務を楽にするものではなく、まだ見ぬ業務を浸透させる必要があるという性質から、ハイタッチ・啓蒙活動が非常に重要とのこと。

礒野さん曰く、顧客理解=顧客の声に真摯に耳を傾けることではないそうです。活用方法や他社事例を求める声が多かったとき、使い方相談会や、事例シェアセミナーを行ってみたところ、全く成功しなかったとのこと。

上記のような声が出る要因を深く分析してみたところ、以下のような状況が見えてきたそうです。

・自分で使ってみたけど活用するイメージがわかない。
・他社がどう使ってるのか聴けばイメージがわくのでは?
結局このサービスが何者なのか、腹落ちしていない(≒期待値がない)

そこでビービットさんが実践されたのが以下のフレームワーク。

顧客の発言の裏をしっかり分析し、理想を定義した上で対応するということ。

当たり前に見えて、実践するのは難しいことだと思います。チャーンレートが高いときほど、目の前のお客様の声が絶対のように思えてしまうから。

例えば「改善案は出てきているけど実行できない」という顧客の声がある場合には、以下のように活用されたそうです。

1)As-is/表層:改善案は出てるけど実行できていない
2)As-is/深層:決裁者である上長にどう説明していいかわからない
(ゆえに、説明していない。)
3)To-be/深層:分析結果を説得力ある形で簡単に上申したい
4)To-be/表層:USERGRAM専用の企画書シートを開発・提供

これを徹底することで、チャーンレートが8%から1%まで低下したとのこと。すごい効果ですよね。

また、カヤックLivingさんと同じくお客様に手を動かしていただくことも重視されていて、施策出しワークショップのようなことも実施されているそうです。

【LT3】りらいあデジタル(株) 齋藤 有登さん

りらいあさんではチャットボットを作れるサービスを提供されているそうです。

企業でチャットボットを利用する場合、9割以上がそのチャットボットにキャラクターを定義するらしいですね。キャラを定義すると、親しみやすさが向上し、利用率もアップするのだとか。

お話のポイントは、オンボーディングのタイミングでゴールについて合意することの重要性でした。

りらいあさんの場合には、キャラを定義した後に「そのキャラをどんな大人にしたいのか」を考えるそうです。具体的には、そのチャットボットの紹介ページを作るワークショップを実施されるとのこと。

導入に2〜3ヶ月以上かかるサービスだと、導入作業に集中してしまって、もともと持っていた期待値が顧客・我々双方の意識から消えてしまいがちだと思います。

ゴールをしっかり合意するワークショップを実施することで、確かな目標を定め、お互いに頑張ることができるのかも。
契約時の期待値設定が甘かった場合の再コントロール手段としても非常に有用と思われます。)

【LT4】Hamee(株) 甲斐 愛佳さん

ネクストエンジンという、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの管理業務(商品登録、受注管理、在庫管理など)を一元化できるサービスで、CS立ち上げを行われているそうです。

実は前職で元競合だったので、サービスの存在はよく知っていました笑

もともとネクストエンジンはカスタマーサポートが非常に強く、顧客満足はなんと93%にもなっていたそうです。すごい。

しかし、顧客が増え続けリソースが圧迫される中、サービスの機能も増え続け、その内容をインプットする負荷も上がり続けた結果、離職者がかなり増えてしまったとのこと。

カスタマーサポートの負担を下げつつ、ユーザーをプロアクティブに支援する組織が欲しくなり、カスタマーサクセスを立ち上げたそうです。

立ち上げを進めていく中で、以下のような課題が発生。

◆「設定が終わった」といつ言えるのか
→1度設定すれば終わりという性質のサービスではないため。
◆「運用できている状態」とは何か
→ユーザーによってやりたいことが多種多様。
→実際に使える機能も多種多様。
◆ユーザーに対するイメージが部署ごとにバラバラ
→営業、サポート、開発それぞれで見えている顧客像が異なっている。

これを解決するために、徹底的に可視化して、できる限りHiCustomerに落とし込んだそうです。HiCustomerとは、サービスの利用状況をトラッキングし、カスタマーサクセスの状況をステージで測ることのできるサービス。

非常に細かく設定されていて凄いと思いますが、それでも定量的に追えない指標が多く、ヘルススコアを具現化するのは非常に難しいそうです。

現在はこれを解決するために奮闘されていて、シンプルに取れないものでも組み合わせで柔軟に生成できる環境を作るために、TresureDataを用いてデータをとにかく蓄積できるようにしているそうです。

いろいろなカスタマーサクセスのセミナーに参加させていただいてますが、プライベートDMP(という言葉が正しいのか、若干怪しいですが)まで利用している御話を聞けたのは、流石に初めてでした。

たしかに、機能の利用率等で単純に顧客の成功を追えないSaaSであればあるほど、ヘルススコアを具体化するのは難しくなります。(私が関わっているSaaSもほぼ全くと言っていいほど追えないので、非常に困るところ。)

ただ、だからといってデータをとることを諦めてしまっては、感覚と人力でどうにかする、スケールしないカスタマーサクセスから抜け出せなくなってしまいます。

だからこそ、データを可視化しチームに浸透させつつ、100%完璧に間違いないものではないということを意識・啓蒙しながら、付き合っていくのが大事とのことでした。

【LT5】(株)ロックオン 渡辺 真子さん

広告の効果測定を行うアドエビスというツールを提供されているそうです。

部内の教育に非常に注力されていて、チームの7割が新卒で構成されているにも関わらず、チャーンは月次MRRベースで0.5%に抑えられているそうです。

具体的には、教育を部長/渡辺さんの2面体制にして、それぞれ違う観点からの講義を行っているとのこと。

【部長】ボトムアップ型:自社内におけるCS部の役割、ミッション、サービスの基本、業界基礎知識、1on1等
【渡辺さん】トップダウン、応用型:顧客成功事例共有、他社ツールとアドエビスの違い、業界別/施策別広告評価Howto、ビジネスモデル分析ワークショップ、コストアロケーション練習ワークショップ

この方式で、メンバーの立ち上げが半年から3ヶ月に短縮したそうです。

通常、部長とマネージャーだと追うべきKPIも見えている景色も違うケースがほとんどなので、その両方から教育をバランスよく受けることで、メンバーの知識範囲が拡大し、モチベーションが維持されるのかもしれないですね。

【LT6】(株)Synamon 武井 勇樹さん

Synamonは、VR技術を用いたサービスを開発されているそうです。以下はVRコラボレーション(会議)のサービス。

月額は数十万円以上で、ハイタッチよりのサポートを行われているそうです。そのため自然とターゲットが大企業になるとのこと。今回は大企業で全く新しいサービスを利用してもらうために、というテーマで御話いただきました。

大企業は関係者が多く、サービスを検討する担当者の方が啓蒙・調整しなきゃいけないステークホルダーが多くなります。

そこを突破する施策のひとつとして、お客様の社内で体験会を実施したとのこと。

ひらけた場所で大規模に体験会を実施することで、お客様社内の重要人物が通りがかってくれることもあり、調整のハードルが下がりやすいのだそうです。

また、営業フェーズで担当者の方からROIを求めるような話が出たときには、ROIを今みる必要はないという話をされているとのこと。代わりに「スマートフォンも誰も普及すると思わなかったけどこれだけ普及した、VRも普及するはず」という世界観の説明をされているそうです。

世界観ドリブンで行うセールスは「まだ見ぬ業務を浸透させる」という性質のサービスでは、かなり重要なポイントだと思います。

ROIを算出するのは難しく、もし数値的な指標を完璧に計算しきれたとしても、定性的な内容も含む本質的なReturnまでは、算出することができません。社内でも難しいことなので、社外から算出するのは至難のワザ。まだ見ぬ業務のこととなれば尚更です。

だからこそ、営業フェーズでサービスが目指す世界観を啓蒙し、共感・先行投資してくれたユーザーと契約し、そのユーザーのサクセスに注力するのが、限られたリソースで大企業向けのCSを行う上では特に重要だと思いました。

【LT7】(株)ベーシック 塚本 雄介さん

BtoBマーケティングに必要な機能が全て揃ったCMS、ferretOneを提供されているそうです。

ペルソナ作りと顧客スコアの設定について御話いただきました。以下のようなプロセスで実施されたとのこと。

1)既存顧客からペルソナを作成
2)ペルソナごとのサービス利用状況を調査
3)HiCustomerへ設定

ペルソナ作りは以下のように、既存顧客の導入背景や担当者の特徴を整理しながら行っていったそうです。

そして、ログインやページ作成などの主要機能を利用しているか否かや、分析機能を見ているかどうかで、HiCustomerのスコアを定義されていったとのこと。

スコアの導入を行うことによって、あれもこれもではなく焦点を絞ってチームで動きやすくなる効果があったそうです。

おわりに

比較的エンタープライズ向けSaaSを提供されている企業の方が多く、表層的な顧客の声の裏に隠されたものを分析するという御話や、世界観ドリブンなセールスに関する御話までお伺いすることができ、とてもいいLT会でした。

自分もカスタマーサクセスに取り組んでいて、定性的な状況しか追えない顧客の健康状態をどうスコアリングするのかについて、常に考える毎日です。顧客の声を取得することと、その真相を分析することは重要なキーポイントだと思うので、しばらくはそこに注力していきたいと思います。

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spmou

私的なアカウントで、発言は個人の意見です。某SaaS企業のCS職に。顧客と一緒に成功・成長し、プロダクトも成長させることを目指して奮闘中。
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