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急拡大にも耐えうるスケーラブルなCS活動のポイントとは|JCSC#8 イベントレポート

私事ながら、転職等なんだかんだあり、時間がかかりすぎました……orz

1ヶ月前の話になってしまいますが、JCSCさん主催の「日本でもっと “カスタマーサクセス” を盛り上げよう!! Japan Customer Success Community#8」にお伺いし、お話を聞いてきました。

今回は「サクセスさせ隊」として参加させていただきました。
(サクセスさせ隊の中で最後のイベントレポートなのでは、とビクついております。)

登壇者の方

以下の方がお話されていました。

【発表者(兼パネリスト)】
マルケト Senior Customer Experience Manager 森山 裕之さん
【パネリスト】
Repro株式会社 CCO 佐々木 翼さん
【モデレーター】
ベルフェイス株式会社 カスタマーサクセス企画室 室長 小林 泰己さん

"いかにスケーラブルな体制を築き上げるか"というのが今回のテーマ。急成長されているサービスが、多種多様に拡大していく顧客の方々とどのように向き合っているのか拝聴できる、貴重な機会でした。

マルケトでは、ハイタッチ中心のサポートからカスタマーサクセスをスケールさせていく際、以下のようなプロセスで行われたそうです。

①顧客状況を把握・測定する仕組みを構築する。
②適切なタッチポイントでコンテンツを届ける。
③再現性を構築する。

このレポートも、その流れに沿って進めていきたいと思います。

①顧客の状況を把握・測定する仕組みを構築する。

ご存知の方も多いかと思いますが、マルケトはマーケティングオートメーション(MA)と呼ばれるサービスです。

自分はMAを「様々な場面で顧客情報を収集し、その情報を活かしてスコアリングを行い、シナリオを設計し、様々なチャネル(メール,プッシュ通知,SNS,etc)を通して1人1人の顧客へアプローチできるもの」と認識してます。 ※個人的解釈。

実際、顧客のゴール、マーケティングチームの習熟度、規模、etcによって、活用する機能の種類や頻度も多岐にわたるとのこと。

たしかに同じマルケトを使っていても、ユーザーによっては特定のチャネル・特定の機能は利用しないという状況は頻繁にありえそうです。
⇒WEBから得られる情報(例えば機能の利用率とか)だけでヘルススコアを設計・測定しても、ユーザーの一部の側面しか捉えられない度合が強いと推測します。

そこでマルケトではカスタマーサクセスを、以下のように多次元的に測定されているそうです。

①機能・サービスの利活用(縦)
 -基本機能、高度な連携機能の利用。
 -トレーニング、コミュニティ等の活用。
②理解・活用の”幅”の広がり(横)
 -登場人物の拡大:担当者、影響者、意思決定者、etc
 -活用部署の拡大:マーケ、営業、CS、採用、etc
 -活用プロセスの拡大:リード獲得、商談化、活用支援、人材獲得、etc
③戦略・組織の成熟度(高さ)
 -ビジネス戦略とマーケティング戦略
 -組織規模システムやデータの整備状況
 -人員、スキルの確保状況

CS担当がひとりで上記情報を追いかけるのは相当難易度が高そうなのですが、以下画像のように組織体制を工夫し取り組まれているとのこと。

CSの中でもかなり役割が分かれていて、1つの役割の担当者だけで顧客と接しているケースは非常に稀だということがわかります。

複数の側面から総力戦としてCSを成長させていくのが、スケールさせていく上では重要だということですね。(余談ですが、これってABMの考え方とも近しい気がしてます。)

②適切なタッチポイントで各コンテンツを届ける。

前提として、マルケトではどんなに小規模な顧客相手でも、最初の導入・活用支援はすべての顧客にハイタッチサポートを行うそうです。メニューは、導入コンサルティング(3ヶ月)と、対面での活用支援。

青本でも似たような御話があったかと思いますが、顧客に利用し続けてもらうためには複数の成功ポイントを定めつつ、早い段階で第1の成功を体験してもらうことが重要ですよね。だからこそ、最初こそハイタッチ。

が、それだけではスケールしないので、マルケト:顧客=1:nで効果を発揮するコンテンツを用意し、顧客のフェーズにより届けるコンテンツを厳密に変えているとのこと。これはMAツール提供企業ならではのノウハウがありそうな部分。

マルケトでは顧客の"マーケティング成熟度"を以下のように定義されています。

この成熟度と、抽象度でコンテンツをマッピングされているとのこと。以下画像のようなマッピングになります。

成熟度が高い顧客ほど、コンサルティング色の強いコンテンツが増加していることがわかります。ただ注意が必要なのは、コンサルティング色が強い=人的リソースをとられやすいということ。

更に、影響力とスケーラビリティという軸で、コンテンツをマッピングしているそうです。

成熟度と抽象度のマップだけで提供するコンテンツを考えていくと、成熟した顧客が増えれば増えるほど、CSに要する人的リソースも増えるという図式になってしまいます。
(ある程度それは正しいと思うのですが、"スケーラブル"とは言いにくいですよね。)

そこで、ユーザーへの影響力と、コンテンツのスケーラビリティという考え方を組み込むことで、バランスをとりながらコンテンツ提供ができるということですね。

森山さん曰く、自分の企業で活かす場合には"いま自分の企業に足りないコンテンツは何か"を、マッピングして考えていくのが重要とのことでした。

③再現性を構築する

マルケトでは再現性を担保するために、効果測定方法としてインパクトチェーンという考え方を採用されているそうです。

この考え方、自分達の活動を広く長期的な視野で捉えるために、凄く役に立つのではないかと感じています。

CSに限らず、ビジネスには色々な施策(上記でいうとActivity)があると思いますが、施策によっては長期的な目線で効果測定しないといけないモノもありますよね。

そこで施策ごとにインパクトチェーン(と、Impactまでの予想期間)を概算でも定義しておくことで、以下のメリットがあると推測しました。

・何に向かって活動しているか意識し続けられる。
⇒(参考記事の通りではありますが)インパクトを見失ったり、アウトカムとアウトプットの区別がつかなくなったり、といった危険が抑えられる。
・目先の結果ばかりに惑わされない活動がしやすくなる。
・短期的結果を期待する施策と、長期的結果を期待する施策のバランスがとりやすくなる。

また、森山さんから最後に「"顧客がどういう状態である場合、何をするか"を定義するだけでなく、顧客へ伝えることが重要」という御話がありました。

Q&Aセッション

※一部抜粋です。

最後にQAセッションがありまして、このタイミングからReproの佐々木さんも参加されていました。

Q:CSフェーズはどんなツールを使っている?
【マルケト】セールスフォース、マルケト、Tableau
⇒ヒアリングした内容はセールスフォースに集め、Tableauを使って整理している。
⇒カスタマーマーケティングにはマルケトを活用している。
【Repro】セールスフォース、Hicustomer
⇒Reproはこれからスケーラビリティを追及するフェーズで、まだデータ自体が整っていないので、頑張って埋めてデータを集めるというフェーズ。
Q:青本でいう”正しい顧客”をどう判断する? 正しくない場合どうする?
⇒自社サービスを利用して成果が出ない or 成果が出るとしてもコストパフォーマンスが悪い場合は丁寧に説明しお断りすることもある。
⇒無理に受注したとしても、最終的にチャーンになってしまうから。
⇒「顧客がハッピーになるのが大事」という文化を全チームで共有しているので、セールスが無理に取ってくるということもない。
Q:セールスとカスタマーサクセスの役割分担はどうしている?
【マルケト】マルケトでも、試行錯誤している部分
⇒現在は、契約後の責任は原則CS側で持つようにしている。が、人手が足りなければフォローしあう体制になっている。
【Repro】必要になるスキルセットが全然違うので、完全に分けている。営業は新規を受注する人、CSは既存顧客に伴走する人。
Q:想定したよりも当たり外れが大きいことが多いと思うが、どうか?
⇒ペルソナのようなものを作り、決め打ちした場合には当たらないケースが多い。
⇒行動の方をよく見るように意識している。既存顧客向けのイベントやセミナー等でデータを収集する。(定性的なデータはそろわないこともしばしばある。)
Q:ユーザー同士のコミュニティで苦労したポイントと、その打開策は?
【マルケト】コミュニティタッチは分科会が最も機能している。マルケト側から分科会に介入せず、ユーザー側に任せる姿勢で運営している。この点がユーザーからも評価されているポイント。
⇒ユーザー同士の中でスターが生まれていくようになっている。
⇒ポイントは少人数から始めたこと。課題を設定し、そこに熱意を持った顧客を1,2名集めて議論し、盛り上がるようなら分科会として5~6社集めて行うというプロセス。
【Repro】現在、計画しだして1年半、運用し始めて半年。オンラインコミュニティはすべてSlackで行っている。オフラインは分科会が1番機能していて、中でもワークショップが1番いい。
⇒特定のユーザーに関する課題をRepro側から提示し、参加者皆で考えるという方式
Q:顧客へ届けるコンテンツについて、CSだけだと作り切れないコンテンツがあると思うが、他部署との連携はどうしている?
⇒顧客と接する人間が作った資料やFAQを蓄積していき、その中から一般化できるものを定期的に整理し、体裁を整えてWEB等に掲載する。
⇒ハイタッチで響いたものをロータッチ・テックタッチに落とし込んでいくというプロセスが多い。

おわりに

完全に個人的憶測ですが、Salesforce等の一部の大規模プロダクトを除くと、いまの日本におけるSaaSチームはほとんどが数十人~百人強くらいの規模感だと思います。つまり、これからスケーラビリティの問題に差し掛かるフェーズのチームが凄く多いはず。

自分が現在関わっているSaaSも似たフェーズ、かつ成功の定義が顧客の業界や規模によって多岐に渡るので、今回のセミナーは非常に参考になりました。

JCSCのコンセプトは「勉強になった!」で終わるのではなく、何らかのアクションに繋がる会にすることなので、自分は以下から始めてみたいと思います。

・(jcsc関係ないですが、大前提として)転職直後なのでサービス仕様把握や、これまで社内で培ってきたCSノウハウを把握する。

お読みいただいた方、ありがとうございました!


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spmou

私的なアカウントで、発言は個人の意見です。SIer内でSaaS営業やチームマネジメント→某SaaS企業のCS職に。"三方良し"にこだわりたい。三方良しに自然に向き合えるSaaSを愛しています
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