自治体

 2023年。振り返ってみますと色々ありましたけれど、個人的には“地方自治体”がフューチャーされた年、という印象がありましてね。
 その象徴的存在なのが広島県安芸高田市の石丸市長な訳ですけれど、とにかくあの手この手で世間の注目を集め、でもおそらく彼の真意は地元有権者にキチンと考えて、しがらみだの付き合いだのに流される事無く、地元や自身の未来を踏まえて投票し、選挙が終わってからも常に監視の目を怠らない姿勢を求めているんだろうと思うんですがね。

 私が上京して以後の郷里なんか悲惨なもので、行政にしろ議会にしろまるで緩みきっているものですから、おまけに市長や市議会議員を選ぶ有権者達も無関心なもので、そりゃあ人口にしろ何にしろ衰退への一途をたどるわな、という典型です。

 竹下登首相の時代に『故郷創成一億円事業』というのがありましたでしょ?
 各自治体に「好きに使え!」と一億円をばら撒いたアレですよ。
 私の郷里は、その時ちょうど市制百周年を迎えておりまして、それを記念して記念塔を造ろうという事になったんだそうな。
 北海道には野幌という街に『北海道開拓記念館』という施設がありまして、その隣に『開拓記念塔』というのが建っております。道内の小中学校がすべからく一度は修学旅行や校外学習で訪れる象徴的な場所であり建造物なんですがね。
 つまり市制百周年を記念してシンボリックな塔を造ろうとした訳ですな。
 それで、何処に造ろうかという話になりまして、出来るだけ建物をゴージャスにしようとすると土地代のかからない市有地しかないので、とある場所に建てました。
 完成披露を兼ねた内覧会を賑々しく開催した途端、防衛省(当時はまだ防衛庁でしたな)から「待った!」がかかったんです。
 自衛隊の駐屯地の真横に塔を建てちゃったんです。
 塔ですから高いですわな。駐屯地全体が丸見え!
 たかだか一介の駐屯地とは言え国防の一端を担う施設が丸見えはアカンでしょ、と。
 正式オープンするより前に【使用禁止】命令が下りまして、止む無く解体処分となったそうです。
 ……用地選定の段階で分かるやろ?言う話でね。

 これだけじゃありません。
 もう十数年前になりますが“温泉ブーム”がありましたでしょ?
 掘ってみたら温泉が出ました!というのでアチコチに温泉施設が出来たでしょ。東京だと青海の辺りに『大江戸温泉物語』みたいな大きな温泉リゾートが出来ましたわね。
 ……ウチの郷里にも出たらしいんです。市街地からは結構離れた所に、ですけど。
 で、喜び勇んで市営の温泉リゾート施設を建てました!そしてオープンの直前!!
 ……枯れました。
 何故計画段階で埋蔵量を調べんかったんや!?と。
 ま、意地で一年間ぐらいはお湯を沸かして無理矢理営業したらしいですが……

 ただの銭湯やないかい!

 ホントに……市長さん、議員さんにはちゃんとした人を選ばんとこうなりますよ、の典型ですわ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?