20000時間プレイしたPCゲーム。あるいは、死の谷の話。

“「首相はリシ・スナク。この国は?」”

https://youtu.be/qDZlNpOGil8

この動画で出てきたクイズである。みなさんはわかるだろうか?


ぼくの特技の一つに、外国人の名前から、なんとなく民族がわかるというものがある。

「リシ・スナク」。「リシ」も「スナク」も見たことがない人名だが、それでも分かる。これはインド人の名前だ。

しかもインドの行政府の長は首相だ。マンモハン・シン首相という響きに覚えがあるから、これは確実だ。正解は絶対にインド。間違いない。


そう思って動画を見てみたら、答えは「イギリス」。

驚いて調べると、インド系の人物だった。
安心するとともに、自分の愚かさにも気付く。インド系の名前だからといって、インド人とは限らないのは、今の時代当たり前だ。

半端な知識がある人は思い込みをしやすい、という研究をどこかで見たが、自分もご多分に漏れずそのくちだった。気をつけなければいけない。


さて、どうしてそんな特技があるかというと、それは学習時間の賜物だ。

ぼくは人名を大量に見る、という学習を20000時間程度行っている。
Football Managerというゲームを通じて。


Football Managerは、サッカー監督シミュレーションゲームである。

圧倒的なデータ量が特徴で、各国の下部リーグも含め、大量の選手や監督・コーチが収録されている。最新作では日本語対応しJリーグも収録されたので、日本でのプレイ人口も今後爆発的に増える……とは限らない。


なぜならこのゲーム、とても初心者向きではないのだ。
親切なチュートリアルもなく、何をすれば何が起こるかもよくわからない。
選手の能力値は多すぎて、一体どの能力値がどう機能しているのかもさっぱりわからない。補強をしようとすれば、全世界50万人のプレイヤーから選ばなければいけない……。


Football Managerは大半の人にとって、楽しむ前にデータの海に溺れてしまうゲームだ。でも、その「死の谷」を乗り越えた少数の人にとっては圧倒的に面白い。

ぼくはもちろんその少数の人なのだが、コミュニティの掲示板で質問に答える側になったころ、こう思ったことがある。

なぜぼくはデータの海に溺れなかったのだろうか?


それは違った。ぼくも初めた当初は、掲示板に質問を投げまくっていた。

データの海に溺れていたのだ。乗り越えられた理由は、楽しそうにプレイしている他の人たちが、ぼくの雑な質問にも答えまくってくれたからだ。

楽しそうなゲームだな、と思わせてくれたからだ。
その後20000時間もプレイすることになるとは、考えもしなかったけれど。


勉強も同じことだ。「死の谷」を乗り越えてしまえば、あんがい面白い。
でも死の谷を乗り越えるのは苦痛で仕方ないし、ぼくもできればしたくない。


だから、そこで躓いている子には、助けてあげたくなる。

どの戦術を使えばいいのか分からない
どうすれば良い選手が取れるか分からない
どうすれば勝てるのかわからない

そんな掲示板の質問に答えまくったように。


早めに死の谷を乗り越えてもらおうじゃないか。
20000時間プレイしてもらえるように。


文:ココロミル講師 島名

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