見出し画像

耳垂れつき旅行帽(鹿撃ち帽)をかぶったシャーロック・ホームズの話 - SILVER BLAZE -

小説に挿絵って重要だと思う。小さい頃の僕は、本を開くとまず挿絵を眺めてその近辺の文章を読んでいたように思う。頭から読むにしても、次の挿絵を目指して読んでいた。そして、多分、イラストからの情報で読み逃した文章を補完していたんだと思う。

佐藤さとるさんのコロボックルシリーズを大好きにさせたのは、村上勉さんの絵があったからだし、星新一さんのショートショートを選ぶ際には、真鍋博さんの幾何学的な近未来のイラストも理由になっていた。

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズでは、シドニー・パジェットのイラストが大活躍し、その後のホームズ像を構築した。(タイトルに付けた画像がシドニー・パジェットのイラスト。)
なんでも、ストランドマガジンは、パジェットの弟にイラストを依頼しようとして手紙を送ったのに、手違いでシドニーが描くことになったのだとか。(弟のウォルター・パジェットは、ホームズの「瀕死の探偵」のイラストを描いています。)

シドニー・パジェットのイラストによりホームズとワトソン像が確立され、グラナダTV版のホームズは、このイラストを忠実に再現したと言われています。

彼のイラストは、コナン・ドイルも最大の感謝を表明していて、ストランドマガジンでは、彼のイラストがどんどん大きくなっていき、彼もそれに合わせてどんどん精緻な絵を描くようになったのだとか。とても面白い。

彼のホームズのイラストの中でも、ホームズが鹿撃ち帽を被ったイラストが登場するのが「シルヴァブレイズ」と言う話。白銀号事件と訳されていたりします。今回、青空文庫に改訳として登場しました。大久保ゆうさんの素敵な改訳。今回、その文章を朗読し、オーディオブックとして発売となりました。

アーサー・コナン・ドイル原作「SILVER BLAZE」は、1892年、今から130年前に発表されたホームズ作品(「シャーロックホームズの記憶」に収蔵)です。

オーディオブックは、耳で聞くので視覚情報ってないんですけど、イラストを見ておくと聞いた内容を補ってくれていいと思います。
また青空文庫の訳文を見ながら、聞いていただくと、この文章をどうキャラクターに読ませているのかなど、私の格闘の後も感じていただけるかと。

僕のホームズ朗読シリーズは、女性以外は、自分で演じ分けると言う非常に個人的な趣向で作られています。人数分の役者に演じてもらった方がより立体的で素晴らしいものになるのはわかっていますが、予算も時間もかかるため、最低限のスタート地点として制作しています。ただし、丁寧に作者の思いに寄り添って忠実にオーディオ化することを心がけています。

よろしければお聞きください。今回が19作品目となります。
オーディブルの会員になれば、聴き放題になります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?