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BL・野良猫の飼い方2

5 僕の悟李

ーー寒い 凍える
助けて・・・・・・

「!・・・・・・夢?」
嗚呼、うたた寝して
いたのか。
雨が降っていたあの日
ーー悟李!
そうだ、悟李が助けてくれた。
なんで忘れていたのだろう。
逢いたい、悟李ーー

此処では、生活に必要な物は
全て栄枝が買ってきてくれる。
下着から、パソコンまで。
こう言うのが欲しいと伝えれば
ハズレ無しだ。
矩と聖は、アルバイトしているけれど
其のお金は、貯金させている。
僕は、買ってきて貰ったスマホで
悟李が持っている筈の自分のスマホに
電話をかけた。
解約していなければ、いいの
だけれど。

ーープルル プルル
繋がった!
お願い、悟李出て。
『は、はい?』
悟李!!
「・・・・・・僕だよ
分かる?」
『ーー航太?』
「悟 李・・・・・・」
喉に言葉が詰まる。
『無事 だったのか?
今何処にーー?』
とりあえず、安全な処に居ると
伝えた。
「ねぇ、悟李は僕に
逢いたい?」
スマホを解約出来なかった
程何だよね?
答えは分かっていた。
『逢えるのか?』
声が震えている。
「うん」
『航太ーー航・・・・・・』
嗚咽しているのが
聞こえてくる。
僕は、今から行くと言って
電話を切った。
栄枝は、今日はフリーの日だと
言っていた。
悟李と出遭った経緯を
話し、連れて行って欲しいと
栄枝に頼むとそういう事ならと
車を出してくれた。
アパートに着くと、近くの
喫茶店に居るから帰るとき
電話してねと言われ一旦別れた。

アパートの階段を上がり
2階の悟李の部屋のチャイムを
鳴らした。
ドアが開きーー其処には
少しやつれた顔が。
「航太・・・・・・」
その顔は、今にも泣きそう
だった。
「やだなぁ、そんな顔
しないでよ。」
僕は、悟李の首に腕を回し
抱きついた。
「僕は此処に居るよ」
《クス、脆いな此の男は》
ドアがパタンと、閉まった。