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BL・漆黒の闇に響く旋律

三話、鬼哭

天は割れ雷鳴
とどろき
空には赤い目の
鴉が獲物を咥え
地では番犬が
腐肉を屠る

「今夜は随分と
騒がしいな」
俺はベッドから
躰を起こした。
直ぐに魔刀【まとう】の
手が伸びてきて
唇を求める。
「100回目のキス
だよ、爻黃【こうき】」
「千回でも一万回でも
お前の望むだけやるよ」
紅く濡れた唇は、触れた
だけで此方の躰を
熱くする。
汗ばんだ手で躰をなぞり
蕾に辿り着くと己の昂った
モノをゆっくりと挿入した。
蕾は血の様な真っ赤な
花を咲かせ、其の香りで
俺の五感を狂わせる。
「己が退魔師って事を
忘れそうだ。其れ程に
お前は美味い」
「あっぁぁ爻黃・・・・・・」
  あっあっはぁぁ
「爻黃、はぁはぁ
お願い 此のままで
逝かせてーー」
魔刀の躰が陽炎の様に
揺らいだ。
「待て!もう時が
来たのか?!」
魔刀の視線は俺の後ろに
向けられている。
其処には振り子時計が
有る!
「私の最期に付き合ってくれて
有り難う。」
  私のワガママに
   付き合ってくれて 爻黃
「まだ逝くな!まだお前に
言ってない言葉がーー」

ーー魔刀は、闇に溶けて
逝った。
美しい姿のままで・・・・・・
俺の心に後悔という
言葉を残し。
俺はカラになったベッドを
見つめていた。
「何故魔物に生まれて
きたんだ、魔刀よぉ。
お前が人だったならーー」
やめておこう、此れ以上は。
俺は、深く息を吸い込んだ。
「はぁー。下界も飽きたなぁ。
山に還るとしようか」
そうポツリと呟き、眼前の
闇を見た。
魔刀の居ない、ただの闇を・・・・・・

  愛してた

終幕