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Day.23 ダッタン人の踊り

30day song challenge」、二十三日目のテーマは「全人類が聴くべきだと思う曲」。なかなか難産なテーマでしたが、本日は歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」をお届けします。


「全人類が聴くべき」というテーマに半ば気後れがして、なかなか曲を決めることができませんでした・・・そもそも音楽の趣味なんて誰でも違うものなので、「これを聴かなかったら人生損してる!」みたいな押し付けになったら嫌だなぁ、と。そう思いつつも、わたしがクラシック音楽の中で最も美しい旋律だと感じる一曲、それがこの「ダッタン人の踊り」です。


フルートとクラリネットの蕩けそうな序奏から始まるこの曲は、歌劇「イーゴリ公」第2幕で流れる曲であり、科学者でもありながら作曲家でもあったボロディンの最も有名な曲になっています。

ロシアの若き英雄イーゴリ公が異民族に捕虜となるも、その勇気を讃えて開かれた宴席での踊りを、異国情緒たっぷりに表現しています。オーボエの甘く柔らかい旋律も好きですが、そのあとに入ってくるコール・アングレの中音域もひときわ切なく美しいメロディです。ハープと低音楽器が奏でるリズムが力強く、遠いモンゴルの草原をありありと思い描くことができます。

「イーゴリ公」は12世紀ロシアの叙事詩をもとに描かれたオペラですが、韃靼人(ポロヴェツ人とも)がイーゴリ公に敬意を払って舞い踊るシーンはボロディンの創作なのだそうです。原作は異民族を略奪を繰り返す敵とみなしていますが、歌劇の中では踊りを通じてモンゴルの草原の雄大さやロシアへの望郷、異なる民族の文化の尊重など、敵対関係の中に流れる敬意や親愛が描かれています。

ロシアを代表する美しい名曲を、皆さんのアルバムにも追加してくださると嬉しいです◎

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